2012年10月9日火曜日

2012.10.08 作新学院吹奏楽部第47回定期演奏会

宇都宮市文化会館大ホール

● 作新学院高校の吹奏楽部の定期演奏会に行ってきた。5月に宇都宮北高校の演奏会を聴いて大いに感心した。機会があれば他校の演奏会も聴いてみたかった。
 ほとんどの高校に吹奏楽部はあると思う。公開演奏会も多くの高校で行っているはずだと思うんだけど,なかなかアンテナにひっかかってこない。こちらの情報収集の仕方に問題があるんでしょうけどね。

● そんな中で,宇都宮市文化会館のサイトを見てたら,この作新学院の定期演奏会があることを発見。開演は午後3時。チケットは当日券が1,000円(前売券だと800円。ぼくは当日券を購入)。OB・OG会,父母会の主催となっている。

● プログラムには「作新学院吹奏楽部の2012年の活動について」と題するレポートが載っている。これを読むと高校の吹奏楽部が何を目標にしているのかがわかる。「普門館への出場」なんだね。この全国大会に出場するためには,県,東関東のコンクールを勝ち抜かなければならない。
 「東関東支部は全国一レヴェルの高い激戦区」で,「たいていは150~200人,最低でも100人以上の部員がいる団体が出場する中で,初心者を含めわずか70人の我がバンドが挑戦するのですから,それなりの努力と覚悟が求められます」ということ。そのため「休日を返上し,連日早朝から遅くまで,ひたすら練習に打ち込みました」とある。

● ぼくはね,自分が何かに打ち込んだという経験を持たないものだから,打ち込みましたと言われると無条件で平伏してしまう。すごいねぇ,と。いや,実際ね,部員たちは得難い経験をしたんだと思いますよ。
 高みを目指して長期間集中して取り組むって経験は,誰にでもできるものじゃないからね。それを経験できる資格を備えていないとね。彼ら彼女らはその資格を備えていたわけですよねぇ。

● 結果は東関東吹奏楽コンクールで金賞。金賞=第1位=全国大会出場,かというと,そういうわけではないようで,残念ながら作新学院吹奏楽部は全国出場の枠(3つ)には入れなかった。
 県のコンクールでは,作新のほかに,真岡,石橋,宇都宮北の4校が金。東関東の出場枠は3つで,作新,真岡,石橋の3校が出場した。
 東関東で作新は金。真岡と石橋は銅だった。ということはつまり,只今現在,栃木県内の高校吹奏楽部のトップはこの作新学院ということ。
 コンクールで力量のすべてを掬えるのかといえば,もちろんそうではないんだろうけどもね。

● 開演後しばらくは,場違いなところに来てしまったかなと思った。
 校内行事なんですよね,これ。作新学院の関係者には馴染みのある雰囲気なのだと思うんだけど,部外者にはちょっと違和感があるなぁ的な。一般公開して入場料も取ってるんだから,もうちょっとユニバーサルにしてくれないかなぁ的な。

● けれども,3曲目の「CLARINETICS」を聴くに及んで,そんな気分も吹っ飛んだ。個々の技量の確かさがよくわかった。
 クラリネットはもちろん,フルート,サックス,トランペットなどなど,どの奏者も伸びやかに音を出しているんでした。メリハリもある。こなれている。けれども,弛みはない。ピンと張りつめているんだけれど,固さはない。
 理想的じゃないでしょうかねぇ。練習の裏打ちも伝わってくる。並みじゃここまでできない。

● ずっとティンパニを担当していた女子部員にも注目。残響を消すための鼓面を払うしぐさが格好よかった。ティンパニってこれがあるから,けっこう目立つんですよね。
 そのしぐさが美しい人は技量も優れているものだと,ぼくは単純に思いこんでいる。
 もっとも,彼女に限らず,パーカッションのレベルの高さは,このあとにもたっぷり味わう機会があったんですけどね。

● 演奏前に部員が曲を紹介する。こういうものはプログラムに掲載して,プログラムに語らせればいいと思う。この水準の演奏をするのであれば,余計なことはさせないで演奏に集中させた方がよかったのではないか。
 と思ったりもしたんだけど,観客サービスですな。部員たちのサービス精神は旺盛で,随所にそれは発揮された。喜ぶ人もいるだろうし,うるさいと感じる人もいるだろう。が,喜ぶ人の方が圧倒的に多かったから,彼らのやり方は正しかったのだ。
 っていうか,吹奏楽ってどこでもそうなのかもしれないね。それが吹奏楽の風土なのかもしれない。

● 第2部はポップスステージ。そっくり観客サービス。ディズニーメドレーとかカルピスソーダ学園応援曲とか。
 その演奏を聴きながら,これでジャズをやったら面白いのになぁと思っていたら,「ビッグバンド・ショーケース」と称して懐かしのジャズナンバーをメドレーで演奏してくれた。そうだよね,たいていジャズは入れますよね。
 気持ちよさそうに吹いてたなぁ。ジャズ,好きなんだろうなぁ。

● これだけの技術と表現力を持っているバンドであれば,それを使って今度は何をしようかと考えるのは楽しいだろうね。
 そのひとつの答えがこれ(ポップスステージ)なんだけど,これはこれでいいとして,ほかにもいろんなことができそうだ。

● 第3部は「屋根の上のヴァイオリン弾き」メドレー。ステージドリルショーとあるけれども,さてステージドリルとは? 鼓笛隊にして動きを入れる。人のラインを作り,そのラインの変化を楽しませるもののようだ。
 パーカッションのレベルの高さをたっぷり味わったのは,この第3部。

● 最後に部員代表があいさつ。気持ちのこもった立派なあいさつだった。最後まで感心させられた。
 ただ,ちょっと長すぎたかも。もっと言葉を刈りこんだ方が,かえって伝わるものが多くなるのでは。
 って,こういうダラダラした文章を垂れ流しているぼくが言っちゃいけないな。

● ZARDの「負けないで」を合唱して終わった。部員たちの客席への入り方が上手でスマート。またまた感心。

● に,しても。この水準でも東関東を突破できなかったとなると,「普門館への出場」を果たしたところはいったいどんな演奏をするのだろう。
 これに大差をつけている演奏というのは,ぼくの頭ではイメージできない。おそらく僅差のはずだと思うんだけどね。

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