2014年10月14日火曜日

2014.10.12 グローリア アンサンブル&クワイアー第22回演奏会

栃木県総合文化センター メインホール

● 今年はヴェルディの「レクイエム」。昨年の「ドイツ・レクイエム」もそうだし,ベートーヴェンの「荘厳ミサ曲」もそうだけれども,宗教曲はそうそう聴ける機会がない。栃木にあっては,このグローリア アンサンブル&クワイアーの演奏会が唯一のものではないか。
 というわけであるから,これは行くでしょ的な演奏会のひとつ。

● 開演は午後2時。チケットは2,000円。当日券を購入。

● プログラムの曲目解説には,「当時「僧服を着たオペラ」と揶揄されたほど,その音楽表現はドラマチックであり,個性的である」とある。
 第1曲は静かに始まり,静かに終わる。そうだよなぁ,キリスト教のことはよくわからないけど,死者を送るときの人の気持ちは,洋の東西を問わないよな,とか思った。
 が,第2曲に入ると,様相が一変。なるほど,「僧服を着たオペラ」と言われるのはこういうことか。このあたりは,頭で聴いていた状態。

● ソリストは,那知上亜美さん(ソプラノ),布施奈緒子さん(メゾ・ソプラノ),小野弘晴さん(テノール),加耒徹さん(バス)。
 独唱がこの水準だと,屋台骨がしっかりと支えられますね。何が起きても,たいていのことならまず問題として表面化することはない。つまり,屋台骨が揺らぐことはないから。
 といって,管弦楽や合唱がいただけなかったということはまったくなくて,あまり手間どることなく,ステージに没入できた。

● すみずみまでヴェルディですよね。劇的なうねりのようなものが溢れていて。
 ひょっとして,ヴェルディの頭の中には,歌詞とは別の台本があったのかと思うほどなんだけど,この感想は的をはずしているんだろうな。これがつまりレクイエムなんだよ,ってことなのだろう。ヴェルディ的には。

● 宗教色が他の作曲家の「レクイエム」に比べて少ないということは,ありがたいこともある。
 つまり,西洋の宗教音楽を聴けば,どうしてもキリスト教を考えないではすまされないわけで。その色が少ないってことは,オレ,キリスト教なんてわかんねーよ,とイジイジ内向きになる度合いが小さくなる。そういうありがたさだ。

● 唯一の不満は途中で休憩を入れたこと。これって休憩を入れるのが普通なんですか。没入から醒まされる感じがしたんだけど。
 そういうものなんだよと言われれば,ああそうなんですか,ってことではありますけどね。

● アンコールは,同じヴェルディの「ナブッコ」から「行けわが思いよ,金の翼に乗って」。
 次回(来年)はハイドンのオラトリオ「天地創造」。これも,来年聴かなかったら,一生聴かずに終わりそうだ。

● 今回の「レクイエム」もそうだけど,CDは持っている。持っているんだけど,なかなか聴かない。声楽が入っているCDは,相当な気合いを入れないとダメだね。アンソロジー的なものはときどき聴くんだけど,曲全体ってことになると,なかなか。
 その意味でもこの演奏会はありがたい。会場に体を運んで行けばいいんだから。

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