2018年7月18日水曜日

2018.07.14 東京大学フォイヤーヴェルク管弦楽団 第39回定期演奏会

ティアラこうとう 大ホール

● 開演は午後2時。入場無料(カンパ制)。事前に楽団のサイトからチケットを申しこんでおく方式。
 東京大学の冠は付いているものの,インカレ楽団で,社会人もいるらしい。現役の東大生の比率はそんなに高くない(ただし,大学別に見れば東大が一番多い)。

● かつてこの楽団の賛助会員になっていた。のに,だいぶ久しぶりの拝聴になった。
 賛助会員になったのは,この楽団の技術の高さに圧倒されたこと。行こうと思えば音大に行けた人たちの集団であることに間違いないけれど,そういうだけでは足りない。
 これは賛助会員になって,わずかなお金であっても,応援の意思を表明すべきではないかと思った。

● なのにだいぶ久しぶりの拝聴になったのは,年2回の定演のうち,冬に開催されるのは開演が19時であるため,聴きに行くことができないことだ。
 終演は21時を過ぎる。となると,その日のうちに帰宅することができなくなるのだ。宇都宮までは戻れるんだけど,その先がね。新幹線を使えば間に合うのかもしれないけれども,そこは生来のケチ根性が邪魔をする。泊まってしまうのはアリかといえば,翌日,定時までに出勤できるかどうかわからないし,それ以前に“奥様”のお許しが出ないだろう。
 というわけで,けっこうご無沙汰してしまったよ,と。2013年12月以来なのだ。思いだした。このときは,宇都宮まで自転車で出たんだった。まだそんな元気があったのだなぁ。

● この猛暑だ。開場を待って並んでいる間にも,面白いように汗が流れた。半ズボンにTシャツ,素足にサンダルといういたってラクな恰好なのだ。これ以上にラクな恰好をしたら,警察にしょっ引かれてしまうだろう。それでも立っているだけでクラクラする。
 誘導する団員はといえば,キッチリとした恰好をしている。ぼく,できないわ。意識で汗を抑えることはある程度までできると思うんだけど,この暑さの中で首をきっちり締めてるってすごいわ。

● 曲目は次のとおり。指揮は村井音文さん。
 メンデルスゾーン 「真夏の夜の夢」より“序曲” “スケルツォ” “夜想曲” “結婚行進曲”
 ベートーヴェン 交響曲第1番 ハ長調
 シューベルト 交響曲第4番 ハ短調「悲劇的」

● 毎年,団員の入れ替えがあるんだろうから,レベルを保ち続けるのはこちらが考えるほど容易ではあるまい。この楽団にしてもそこは同じだろう。
 しかし,ここまでの演奏ができるというのは,ある種の驚愕をもたらす。この楽団はアマチュアオーケストラのトップクラスのひとつに数えていいのだろう。

● シューベルトの4番を生で聴くのは,初めてだ。この楽団の演奏で初体験とはラッキーだ(と思って聴いた。が,自分のこのブログを検索してみたら,過去に聴いていたんでした。まったく記憶から脱落してた)。
 いい時間を過ごしているなぁと実感できるといいますかね。世の塵芥から遠く離れて,きれいなものだけを見つめていられる幸せというか。

● うわまえを刎ねているという後ろめたさ(?)もある。彼ら彼女らが幼少の頃から積み重ねてきたものの上澄みを,何もしないでちゃっかりいただいているという。
 聴衆がいなければ音楽は成立しない(グレン・グールドにしたって,レコードを聴く人がいればこそ,彼のスタイルが成立した)。そうではあるんだけれども,何とはなしの搾取感のようなものが伴ってくるんだな。つまり,奏者がいないと聴衆もあり得ないわけでね。

● 女子団員の美人度の高さ。これはカラフルなドレスで登場するので,そのドレス効果に幻惑されているのかもしれないんだけどね(いや,そうではないと思うんだけどね)。
 かつては,ウェディングドレスかと見紛うようなのもあったんだけど,今回はそれはなし。ウェディングドレスではさすがに弾きづらいんですかねぇ。

● コンマスは曲ごとに交代する方式。ヴィオラは大きくスウィングしながら弾く人,多数。そうしたことがらを含めて,眼で見る楽しみも豊富。耳でも目でも美味しい楽団なのだ。

● そこに,指揮者の村井さんがスパイスになっていたというか。もちろん,指揮者として将来を嘱望される人なのだろうが,いわゆる余白の部分がね。表情と仕草が面白い人だ。
 指揮を終えて舞台の袖に引っこむときの歩き方なんか,ペンギンか,おまえは,と突っこみたくなるし,話すときの表情も独特。何もしないでいても笑っているように見える,かなり得な造作の持ち主。
 そういう人はだいたいにおいておそろしく育ちがいいものだ。

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