早起きしなくてはいかん。東京まで新幹線を使えばいいようなものだが,そげな贅沢をコケるほどの立場じゃない。
● 早起きが難しい。年寄りは早寝早起きだろと思うのは,典型的なステレオタイプというものだぞ。ぼくの就寝時刻は午前3時だ。放っておくと4時,5時まで起きているだろう。強いて3時には寝るように努めているのだ。
日の長い夏場だと,3時は夜の闇が薄くなりかける時刻だ。今時分だとそれはないが,起きて数時間もすると夜になりかかる。俺の人生に午前中はない,俺の人生に昼間はない,なのだ。
● 申しわけないことがひとつある。午前中の宅配便を受け取れないことだ。
寝る頃には新聞配達のバイクの音が聞こえ出す。まだ新聞を取っている人がいるのかとも思うのだが,この時刻に仕事している人もいるのだなと思うと,齢だけ取って無為徒食のくせに,こんな時刻まで起きている自分は何なんだと,わが身の卑小さを噛みしめるのでもありますよ。
● さて,無事に桜木町駅に着いた。みなとみらいホールまで歩いて,開演30分前には着座できた。
指揮は太田弦さん。音楽界の将来を託された若き指揮者のひとり(というか,その最右翼)。現在は九州交響楽団首席指揮者。
その太田さんのプレトークを聞くことができた。トークの内容よりも,話しているときの太田さんの様子(仕草とかね)と声質の方に興味がある。いや,いい声なんでした。
● 彼の指揮を生で拝見するのは初めてのはずだ。ミューザ・サマー・フェスタで神奈川フィルを振ったことがあって,それをぼくも見ているのだが,生ではなくてネット配信だったと思う。コロナ禍のことだ。
曲目は尾高尚忠の交響曲第1番(2楽章版)とブルックナーの9番。
● ユニコーン・シンフォニー・オーケストラは慶応中等部のOB・OGがメンバーの中核であるらしい。そのことを知ったうえで見るからなのかもしれないけれども,姿がいい。
演奏の姿がいいのに演奏はダメっていう例を,ぼくは知らない。達者なものだと思った。どのパートがどうということではなくて,全体のバランスがいい。それも,かなり高いところでバランスがいい。
平均年齢もかなり若い。若くて姿がいいのは,それ自体がひとつの価値だ。
● できるだけ地元に沈潜して,首都圏に出かけるのは最小限度にしたいと思っている。といっても,この趣味を続ける限り,東京に背を向けることはあり得ない。それでは成り立たない。いい悪いの問題ではなく,そもそも成り立たない。
いくつかの楽団は追いかけることになる。その “いくつか” にこの楽団も入る。

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