鹿沼市民文化センター 大ホール
● この催事を知ったのは9月16日の鹿沼フィルハーモニー管弦楽団の定演を聴きに行ったとき。「第九」の全楽章を演奏するらしい。ソプラノは鹿沼出身の大貫裕子さん。
入場無料だが整理券が必要。ということは,かなりの聴衆が集まるのだろう。鹿沼市民の鹿沼市民による鹿沼市民のための催事なのだろう。
となれば,部外者は遠慮しておくのが吉だろう。整理券を取るために鹿沼まで往復するのも億劫だ。
● と思って静観するつもりだったんだけど,惹かれるものがあった。惹かれるものがあるのであれば,そこに素直になった方がいいだろう。
というわけで,某日,整理券を取りに鹿沼に行ってきた。鹿沼市立図書館でもらってきましたよ。もちろん,1枚だけね。
● わざわざ取りに行かなくても,当日も整理券を配布しているのではないかとも思った。のだけど,これは事前に取っておいて正解だった。
当日,整理券を配布している様子はなかったし,会場はほぼ満席だった。空いている席もなくはなかったけれども,整理券は取ったものの都合で来れなくなった人がいるのだなと思う程度の空席しかなかった。
● 開演は午後1時半。内容は2部構成で,「第九」は第2部。大貫裕子さんのソプラノで「第九」を聴けますよ,と。しかも,無料でね。鹿沼市民でもないのに申しわけない。
聴衆のごく一部に,どうしようもないのがいた。が,部外者の自分がそれに対してどうこう言う筋合いはない。筋合いがないというか,その資格がない。そのまま受けとめておく。
● 管弦楽のメンバーの多くはジュニアオケの団員かと思われる。鹿沼西中と東中に管弦楽部があることの効用は絶大で,それなしにこの「第九」は成立しない。
加えて,高校生や中学生が「第九」を演奏することにも少し驚く。少ししか驚かないのは,ジュニアの定演でこれまで演奏してきた曲目を知っているからだ。マーラーやブルックナーをやってのけるのだから,「第九」をやっても不思議はない。
● 緊張感がピンと張りつめた見事な「第九」だった。中でも第2楽章の木管(特にフルート)の歯切れの良さと,緩徐楽章のヴィオラの艶っぽさ。
第4楽章の,あの有名な旋律をチェロ・コントラバス→ヴィオラ→ヴァイオリンと受け渡し,最後は管弦楽全体で歌いあげるところが,この曲の第一のハイライトかと思うんだけど,そこもスムーズ。
中小の事故はあった。が,それなしに「第九」を渡りきったアマチュアオーケストラの演奏をまだ聴いたことがない。仕方がない。いや,本当にこれは仕方がないのだと思う。
● 指揮者からすると,「第九」で最も表現に気を遣うのは緩徐楽章ではないかと思っている。ちょっと気を抜くと散らかりやすい。散漫になる。
木管が歌わなければ話にならないのだが,かといって響かせすぎは致命傷だ。どこまでの音量にとどめおくか。あまたの先例が録音されてはいるものの,現場では悩むことになるのではないか。
奏者も何度も「第九」を経験しているわけではない。初めての人もいるだろう。加減の仕方を経験的にわかっているわけではないだろう。
● つまり,ですね。ん???と思ったところもあって,それは緩徐楽章に集中していた。聞こえすぎもあったし,逆にちょっと萎縮しちゃったかなと思うところもあって。
“緩徐”の演奏はそもそもが難しいのだろうけど。ぼくには聞こえすぎでも,いやあれくらいがちょうどいいと思う人もいるだろうし。考えだすとキリがない。
● その指揮は益子和巳さん。東中オーケストラ部の顧問の先生。最も異論の出ない人選だと思うのだが,この人,教師としての仕事の他に,ジュニアオケの指導やこうした催事にもかりだされて,尋常ならざる活躍ぶり。
たぶん,大学で指揮法を習ったわけではないと思う。自己流で身につけたものだろう。暗譜で振っていた。ぼく一個は暗譜がいいとも思わないのだが,うぅん,尋常ならざる精進ぶりだな。おろらく,本人はそうは思っていないと思うんだが。
● ソリストと合唱団は第4楽章の前に登壇。最初からいるのが一番いい。のだが,それはなかなか。第3楽章の前に入るパターンが多いんだろうか。
第3楽章から第4楽章へは間をおかず,アタッカ気味に入ってもらうのが,自分としては好みだ。対照の妙というか,唐突な変化というか,何が起きたのだという驚きというか,そういうものを味わいたい。だから,第3楽章の前には登壇していてもらいたいのだけど。
● ともあれ,第4楽章。管弦楽の舞踊を経て,バリトンが一段落してから,ソリスト4人が立って,“さて,アテナイ人諸君,君たちが私の告発者たちによって・・・・・・”と語りかけるところ(→ 嘘)で,少し涙腺が緩む。
「第九」が日本において年末の風物詩になった由縁はぼくの知るところではないし,「第九」も数ある管弦楽曲のひとつに過ぎないと思おうとするんだけど,やはり「第九」は特別なのかもしれない。どんな由縁であるにせよ,毎年,年末になると日本のソチコチで演奏されるのは,「第九」だからこそ,か。
● ソリスト陣は大貫さんのほか,城守香(アルト),安藤純(テノール),坂寄和臣(バリトン)の4人。今回のこの催しは市制70周年記念という冠がつく。それゆえの豪華布陣だったかもしれない。
その豪華布陣で客席も盛りあがった。半日つぶして整理券を取りに行ってよかった。
約2時間のコンサートが終了した直後の満足感は,他のものでは代替できません。この世に音楽というものが存在すること。演奏の才に恵まれた人たちが,時間と費用を惜しまずに技を磨いていること。その鍛錬の成果をぼくたちの前で惜しみなく披露してくれること。そうしたことが重なって,ぼくの2時間が存在します。ありがたい世の中に生きていると痛感します。 主には,ぼくの地元である栃木県で開催される,クラシック音楽コンサートの記録になります。
2018年11月19日月曜日
2018年7月20日金曜日
2018.07.16 第4回オーケストラフェスティバル in 鹿沼
鹿沼市民文化センター 大ホール
● 3年前に続いて2回めの拝聴。開演は午後2時。チケットは1,000円。当日券を購入。
● 登場する団体は,鹿沼市立西中学校管弦楽部,東中学校オーケストラ部,鹿沼高校音楽部管弦楽団,鹿沼ジュニアフィルハーモニーオーケストラ,鹿沼フィルハーモニー管弦楽団の5つ。それぞれが演奏したあとに,大編成の合同演奏がある。
鹿沼ジュニアフィルは,西中,東中,鹿沼高校のメンバーが主要な構成員だろうから,中学生,高校生の中には出ずっぱりに近い人がいるだろう。
● 鹿沼のような地方の小都市でこういう催しができるのは,西中と東中に管弦楽の部活があるからだ。どういうわけで,この両校に管弦楽部ができたのかは知らないけれど,できたことよりも,それが現在まで継続していることがすごい。
鹿沼にもともとそうした風土があったとは考えにくい。起爆剤になった人がいて,いくつかの偶然が重なって現在に至っているに違いないのだけれども,いったん軌道ができれば,諸々のストックが溜まっていく。おそらくそれは,鹿沼市の無形財産のひとつになっているのだろうと想像してみる(なかなかそういう綺麗事ではすまないのだろうけどね)。
● まずは西中学校管弦楽部。ヨハン・シュトラウスの喜歌劇「こうもり」序曲。
中学生をなめてはいけないということ。クラシック音楽を代表する楽曲をここまで形にできるのだ。楽器を始めて間もない生徒が多いと思えた。それでも,ここまではできるのだ。
これ以上はできないというラインははるか上にある。したがって,まだまだ上達できる。
東中の益子先生が指揮をしていたのだが,ひょっとして彼は西中に異動になったんだろうか。
● 鹿沼高校音楽部管弦楽団。「アルルの女」第2組曲から2曲。“ファランドール”は音が割れないだけでもたいしたものだと,ぼくなんぞは思ってしまう。ミスるまいと守りに入らず,向かっていってるのが素晴らしい。
実力は相当なもので,大人の演奏に近い。基本,オーケストラは大人が演奏するものだと思う。作曲家の意図を汲むとか,作曲された当時の時代背景を考えるとか,その他いわゆる解釈と呼ばれる細かい作業は,大人の領分に属するものかと思っている。
が,できあがる演奏は少年少女が大人を超えることがある。艶っぽさというのか色気というのか,ゾクッとするなまめかしさが載っていることがある。
● 東中学校オーケストラ部。ストラヴィンスキー「火の鳥」から“魔王カスチェイの凶悪な踊り”と“終局”。
東中は例年,「火の鳥」を取りあげている。中学生がストラヴィンスキーをやるというのもなかなかねぇ。とんでもない難物だと思うのだが。その難物をここまで仕上げてくるのには,いつもながら驚かされる。
● 鹿沼ジュニアフィルハーモニーオーケストラ。6月の定演で演奏したサン=サーンスの第3番の後半部を。
最初からやる場合と,こういうふうに途中から入る場合とでは,気持ちの持って行き方に違いがあるんだろうかね。案外,そうでもないものなんだろうか。
● 鹿沼フィルハーモニー管弦楽団。ブラームスの4番の第1楽章。
ブラームスの作品はどれもそうだと思うんだけど,密度がすごいというかねぇ。ギュッと中身が詰まっているというか。
第1楽章だけで4つの楽章分の質量がある。これを聴いただけでグッタリと疲れてしまった。
● 休憩後,合同演奏。ボロディン「ダッタン人の踊り」とチャイコフスキーの第5番第4楽章。
アンコールは「ラデツキー行進曲」。3年前も同じだった記憶があるのだが,違っているかもしれない。
● 昨年は8月に開催される,鹿沼高校,西中,東中の定期演奏会をすべて聴くことができた。が,今年はどうやら無理っぽい(聴けるといいのだが)。
ので,抜粋ながらまとめて聴ける今日の機会を逸したくなかったっていうかね。帰りは,鹿沼駅に着く前に夕立に遇ってしまって,あまりありがたくない体験をすることになったんだけど。
● 3年前に続いて2回めの拝聴。開演は午後2時。チケットは1,000円。当日券を購入。
● 登場する団体は,鹿沼市立西中学校管弦楽部,東中学校オーケストラ部,鹿沼高校音楽部管弦楽団,鹿沼ジュニアフィルハーモニーオーケストラ,鹿沼フィルハーモニー管弦楽団の5つ。それぞれが演奏したあとに,大編成の合同演奏がある。
鹿沼ジュニアフィルは,西中,東中,鹿沼高校のメンバーが主要な構成員だろうから,中学生,高校生の中には出ずっぱりに近い人がいるだろう。
● 鹿沼のような地方の小都市でこういう催しができるのは,西中と東中に管弦楽の部活があるからだ。どういうわけで,この両校に管弦楽部ができたのかは知らないけれど,できたことよりも,それが現在まで継続していることがすごい。
鹿沼にもともとそうした風土があったとは考えにくい。起爆剤になった人がいて,いくつかの偶然が重なって現在に至っているに違いないのだけれども,いったん軌道ができれば,諸々のストックが溜まっていく。おそらくそれは,鹿沼市の無形財産のひとつになっているのだろうと想像してみる(なかなかそういう綺麗事ではすまないのだろうけどね)。
● まずは西中学校管弦楽部。ヨハン・シュトラウスの喜歌劇「こうもり」序曲。
中学生をなめてはいけないということ。クラシック音楽を代表する楽曲をここまで形にできるのだ。楽器を始めて間もない生徒が多いと思えた。それでも,ここまではできるのだ。
これ以上はできないというラインははるか上にある。したがって,まだまだ上達できる。
東中の益子先生が指揮をしていたのだが,ひょっとして彼は西中に異動になったんだろうか。
● 鹿沼高校音楽部管弦楽団。「アルルの女」第2組曲から2曲。“ファランドール”は音が割れないだけでもたいしたものだと,ぼくなんぞは思ってしまう。ミスるまいと守りに入らず,向かっていってるのが素晴らしい。
実力は相当なもので,大人の演奏に近い。基本,オーケストラは大人が演奏するものだと思う。作曲家の意図を汲むとか,作曲された当時の時代背景を考えるとか,その他いわゆる解釈と呼ばれる細かい作業は,大人の領分に属するものかと思っている。
が,できあがる演奏は少年少女が大人を超えることがある。艶っぽさというのか色気というのか,ゾクッとするなまめかしさが載っていることがある。
● 東中学校オーケストラ部。ストラヴィンスキー「火の鳥」から“魔王カスチェイの凶悪な踊り”と“終局”。
東中は例年,「火の鳥」を取りあげている。中学生がストラヴィンスキーをやるというのもなかなかねぇ。とんでもない難物だと思うのだが。その難物をここまで仕上げてくるのには,いつもながら驚かされる。
● 鹿沼ジュニアフィルハーモニーオーケストラ。6月の定演で演奏したサン=サーンスの第3番の後半部を。
最初からやる場合と,こういうふうに途中から入る場合とでは,気持ちの持って行き方に違いがあるんだろうかね。案外,そうでもないものなんだろうか。
● 鹿沼フィルハーモニー管弦楽団。ブラームスの4番の第1楽章。
ブラームスの作品はどれもそうだと思うんだけど,密度がすごいというかねぇ。ギュッと中身が詰まっているというか。
第1楽章だけで4つの楽章分の質量がある。これを聴いただけでグッタリと疲れてしまった。
● 休憩後,合同演奏。ボロディン「ダッタン人の踊り」とチャイコフスキーの第5番第4楽章。
アンコールは「ラデツキー行進曲」。3年前も同じだった記憶があるのだが,違っているかもしれない。
● 昨年は8月に開催される,鹿沼高校,西中,東中の定期演奏会をすべて聴くことができた。が,今年はどうやら無理っぽい(聴けるといいのだが)。
ので,抜粋ながらまとめて聴ける今日の機会を逸したくなかったっていうかね。帰りは,鹿沼駅に着く前に夕立に遇ってしまって,あまりありがたくない体験をすることになったんだけど。
2017年8月12日土曜日
2017.08.11 鹿沼市立西中学校管弦楽部 第27回定期演奏会
鹿沼市民文化センター 大ホール
● 鹿沼西中管弦学部の定演を拝聴。開演は午後2時。入場無料。
西中学校の演奏を聴くのは,これが3回目。第23回と第25回を聴いている。つまり,1年おきになっている。意図してそうしているわけではなく,偶然の結果。
平日開催のときにはなかなか行けないわけで,たぶん,そうした事情によるものだと思う。
● プログラムは前半が室内楽的アンサンブルで,後半がオーケストラ演奏。
まずは,1年生による「聖者の行進」。3年生の管がアシストに入った。その結果どうなったかというと,管の音しか聞こえてこなかった。弦が消されてしまった。
ま,でも,これは仕方がないか。さすがにオズオズと弓を動かしている気配があった。これからどんどん巧くなっていくのだろう。この年齢の子たちの上達速度は,ぼくらの予想を上回るものだから。
● 2年生による木管三重奏。ジョプリン「エンターテナー」。2年生になると,これだけの安定感が生まれてくるんですねぇ。
まだ生硬さはあるけれど,1年間でここまでの水準に到達できるという,歴然たる実例。
● 次は2,3年生による弦楽合奏。パッフェルベル「カノン」。これはしっとりと聴かせる曲。この曲のファンは多いに違いない。
やはり硬い感じはする。もっとふくらみやふくよさかがあればな,とは思う。妙にとんがってる感じも受けた。
しかし。中学生がここまで弦楽器を操る。その事実は知っておくべきだろう。
● 2,3年生による金管五重奏。メンケン「美女と野獣」。両端のホルンの女子生徒に注目。
● 3年生による木管五重奏。ここでもメンケン。「アンダーザシー」と「パートオブユアワールド」。
木管五重奏になぜホルンが入っているか。その理由を演奏が教えてくれる。ホルンの音色は木管に合うというか,木管に近いというか。柔らかくて伸びやかな音なんだよねぇ。つまり,ここでもホルンの女子生徒に注目。
ぼくはホルンが好きなのかもしれない。だものだから,肩入れしてしまうのかも。
● 弦楽合奏。ヴィヴァルディの「四季」から「春」。この曲はポピュラーだから,誰もが評論家になれる。
メロディーを奏でるのはヴァイオリンだけれども,低弦部隊が下からキチンと支えていればこそだ。その低弦部隊がしっかりしている。
● 次も弦楽合奏。グリーグ「ホルベルク組曲」。演奏したのは「前奏曲」だったか。
どんどん調子が上がってきている感じ。流れがよくなっている。なめらかな演奏だ。この後,もう一度「春」を演奏してみてくれないかと思った。
● 管楽合奏。タケカワヒデユキ「銀河鉄道999」。お見事。演奏しているのが中学生であることを忘れる。
● ここで休憩。後半はオーケストラの演奏となる。まずは,ウェーバーの「オベロン」序曲。
全体は部分の総和を超える。これ,“複雑系の科学”の基本テーゼらしい。そのことを思いだした。
前半のアンサンブルを全部足しても,この管弦楽にはならない。部分の総和を超えている。そこがまた,オーケストラの妙でもあるのだろう。
● それこそ,ふくらみがある。ふくよかでもある。空気をたっぷり孕ませた生ハムのようだっていうか。
どうもたとえが適切ではないかもしれないけれど,空気を孕ませてお皿に載せた生ハムは,スーパーで売ってる状態の生ハムより断然,旨そうに見える。実際,旨い。
● ステージで演奏している中学生が,紳士淑女に見えてきた。特にヴァイオリン。
コンミス,かっこいい。ただ,1stの最も客席に近い列に並んでいる女子生徒4人は,誰がコンミスを務めてもおかしくない感じがする(実際,曲ごとにコンミスは替わった)。
部活だけでここまでになれるんだろうか。部活のほかに個人レッスンを受けていたりするんだろうかねぇ。鹿沼ジュニアフィルの活動もやっているんだろうから,まぁ,部活だけってことはなさそうなんだけどねぇ。
● 次は「ジブリ・メドレー」。ジブリの曲に駄作なし。それをメドレーにしているわけだから,曲としては鉄板のはず。
オーボエで一人気を吐いている男子生徒がいた。彼,1週間前の鹿沼高校の演奏会にも出ていたな。OB君だね。ここでは,そのOB君が最も目立っていた。
● ロッシーニの「セビリアの理髪師」序曲。金管の見せ場が多い。ヴィオラにも達者な奏者がいたようだ。気づくのが遅くてごめん。
● 最後は,ベートーヴェンの5番。演奏したのは第1,4楽章のみ。奏者も曲に乗って演奏するところがあるのじゃないかと思う。おそらく全楽章を演奏する方がやりやすいのではないか。が,それは6月のジュニアフィルでやってるもんな。
ここでオーボエの1番を担当したのは,先のOB君ではなくて,(たぶん3年生の)女子生徒だった。そのオーボエが役割をきちんと果たし,フルートも演奏を引き締めた。
● アンコールの「カノン」も含めて,後半のオケ全体の演奏はどれも聴きごたえがあった。
演奏しつつ場に慣れるということがあるのかもしれない。尻あがりに良くなってきた感があった。
● ただひとつ,惜しむらくは客席。
この演奏会は一般公開ではあるものの,基本は校内行事なのだろう。客席にいるのは主に保護者だと思われる。校内行事であれば,客席が屋内運動会的なものになるのは致し方がないのかもしれない。
自分の方が闖入者なので,そこのところをあまり非難する資格はないのだが。
● 動き回る幼児を放置したり,演奏中に入ってきて,空いている席にすぐに座らず,場内をウロウロしたりっていうのは,まぁ,仕方がないとしよう。
けれども,フラッシュ撮影は,フラッシュ撮影だけは,どうにかやめさせる手だてはなかったものか。あれはステージで演奏している生徒たちへの冒涜で,自分の子どもだったら冒涜してもいいのか,という話になる。
と言うと,少々以上に大げさになるのかもしれないけれども,演奏が素晴らしかっただけに,この点だけが惜しまれる。
● 鹿沼西中管弦学部の定演を拝聴。開演は午後2時。入場無料。
西中学校の演奏を聴くのは,これが3回目。第23回と第25回を聴いている。つまり,1年おきになっている。意図してそうしているわけではなく,偶然の結果。
平日開催のときにはなかなか行けないわけで,たぶん,そうした事情によるものだと思う。
● プログラムは前半が室内楽的アンサンブルで,後半がオーケストラ演奏。
まずは,1年生による「聖者の行進」。3年生の管がアシストに入った。その結果どうなったかというと,管の音しか聞こえてこなかった。弦が消されてしまった。
ま,でも,これは仕方がないか。さすがにオズオズと弓を動かしている気配があった。これからどんどん巧くなっていくのだろう。この年齢の子たちの上達速度は,ぼくらの予想を上回るものだから。
● 2年生による木管三重奏。ジョプリン「エンターテナー」。2年生になると,これだけの安定感が生まれてくるんですねぇ。
まだ生硬さはあるけれど,1年間でここまでの水準に到達できるという,歴然たる実例。
● 次は2,3年生による弦楽合奏。パッフェルベル「カノン」。これはしっとりと聴かせる曲。この曲のファンは多いに違いない。
やはり硬い感じはする。もっとふくらみやふくよさかがあればな,とは思う。妙にとんがってる感じも受けた。
しかし。中学生がここまで弦楽器を操る。その事実は知っておくべきだろう。
● 2,3年生による金管五重奏。メンケン「美女と野獣」。両端のホルンの女子生徒に注目。
● 3年生による木管五重奏。ここでもメンケン。「アンダーザシー」と「パートオブユアワールド」。
木管五重奏になぜホルンが入っているか。その理由を演奏が教えてくれる。ホルンの音色は木管に合うというか,木管に近いというか。柔らかくて伸びやかな音なんだよねぇ。つまり,ここでもホルンの女子生徒に注目。
ぼくはホルンが好きなのかもしれない。だものだから,肩入れしてしまうのかも。
● 弦楽合奏。ヴィヴァルディの「四季」から「春」。この曲はポピュラーだから,誰もが評論家になれる。
メロディーを奏でるのはヴァイオリンだけれども,低弦部隊が下からキチンと支えていればこそだ。その低弦部隊がしっかりしている。
● 次も弦楽合奏。グリーグ「ホルベルク組曲」。演奏したのは「前奏曲」だったか。
どんどん調子が上がってきている感じ。流れがよくなっている。なめらかな演奏だ。この後,もう一度「春」を演奏してみてくれないかと思った。
● 管楽合奏。タケカワヒデユキ「銀河鉄道999」。お見事。演奏しているのが中学生であることを忘れる。
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鹿沼市民文化センター |
全体は部分の総和を超える。これ,“複雑系の科学”の基本テーゼらしい。そのことを思いだした。
前半のアンサンブルを全部足しても,この管弦楽にはならない。部分の総和を超えている。そこがまた,オーケストラの妙でもあるのだろう。
● それこそ,ふくらみがある。ふくよかでもある。空気をたっぷり孕ませた生ハムのようだっていうか。
どうもたとえが適切ではないかもしれないけれど,空気を孕ませてお皿に載せた生ハムは,スーパーで売ってる状態の生ハムより断然,旨そうに見える。実際,旨い。
● ステージで演奏している中学生が,紳士淑女に見えてきた。特にヴァイオリン。
コンミス,かっこいい。ただ,1stの最も客席に近い列に並んでいる女子生徒4人は,誰がコンミスを務めてもおかしくない感じがする(実際,曲ごとにコンミスは替わった)。
部活だけでここまでになれるんだろうか。部活のほかに個人レッスンを受けていたりするんだろうかねぇ。鹿沼ジュニアフィルの活動もやっているんだろうから,まぁ,部活だけってことはなさそうなんだけどねぇ。
● 次は「ジブリ・メドレー」。ジブリの曲に駄作なし。それをメドレーにしているわけだから,曲としては鉄板のはず。
オーボエで一人気を吐いている男子生徒がいた。彼,1週間前の鹿沼高校の演奏会にも出ていたな。OB君だね。ここでは,そのOB君が最も目立っていた。
● ロッシーニの「セビリアの理髪師」序曲。金管の見せ場が多い。ヴィオラにも達者な奏者がいたようだ。気づくのが遅くてごめん。
● 最後は,ベートーヴェンの5番。演奏したのは第1,4楽章のみ。奏者も曲に乗って演奏するところがあるのじゃないかと思う。おそらく全楽章を演奏する方がやりやすいのではないか。が,それは6月のジュニアフィルでやってるもんな。
ここでオーボエの1番を担当したのは,先のOB君ではなくて,(たぶん3年生の)女子生徒だった。そのオーボエが役割をきちんと果たし,フルートも演奏を引き締めた。
● アンコールの「カノン」も含めて,後半のオケ全体の演奏はどれも聴きごたえがあった。
演奏しつつ場に慣れるということがあるのかもしれない。尻あがりに良くなってきた感があった。
● ただひとつ,惜しむらくは客席。
この演奏会は一般公開ではあるものの,基本は校内行事なのだろう。客席にいるのは主に保護者だと思われる。校内行事であれば,客席が屋内運動会的なものになるのは致し方がないのかもしれない。
自分の方が闖入者なので,そこのところをあまり非難する資格はないのだが。
● 動き回る幼児を放置したり,演奏中に入ってきて,空いている席にすぐに座らず,場内をウロウロしたりっていうのは,まぁ,仕方がないとしよう。
けれども,フラッシュ撮影は,フラッシュ撮影だけは,どうにかやめさせる手だてはなかったものか。あれはステージで演奏している生徒たちへの冒涜で,自分の子どもだったら冒涜してもいいのか,という話になる。
と言うと,少々以上に大げさになるのかもしれないけれども,演奏が素晴らしかっただけに,この点だけが惜しまれる。
2015年8月4日火曜日
2015.08.02 鹿沼市立西中学校管弦楽部第25回定期演奏会
鹿沼市民文化センター 大ホール
● 一昨年に続いて,二度目の拝聴となる。西中の生徒さんからこのブログに,8月2日にやるから見に来てくれとコメントをいただいた。
それに対して,必ず行きます,と返していた。約束は守られなければならない。小さな約束ほど履行厳守でなければならぬ。
中学生に来てと言われ,はいと答えたのに,結果,行きませんでした,というのでは,たぶん,生きている資格がない。
● というわけで,聴きにきましたよ,と。
しっかし。この猛暑は何事であるか。鹿沼駅から会場まで歩く途中,太陽のギラギラ光線を受けて,頭のてっぺんに穴が空くんじゃないかと思った。これだけ暑いと,太陽光に圧を感じる。
● 開演は午後2時。入場無料。
まず,1年生による合奏で「聖夜の行進」。楽器に触るようになって間もない生徒たちによる演奏だとのアナウンスがあった。
次は木管五重奏で「世界の車窓から」。クラリネットのみ女子で,あとの4人は男子。
続いて,弦楽合奏でブラームスの「ハンガリー舞曲第5番」。全員(4人)が男子。各パートひとりでこの曲を演奏するのは,しかし,音の絶対量を満たすのが難しいかもしれない。音があふれるくらいじゃないと,舞曲的,聴いてるだけで踊りたくなるような感じ,にならないものだろうし。
● ここまで男子優位。かなり以上に珍しいのじゃないかと思う。次は,金管五重奏で「情熱大陸」。これまた3人が男子で,ここまで男子優位が続いている。
この曲を直立不動で演奏。楽譜を正確に再現することに意を注いでいたのだろうと思うけれども。
● メンデルスゾーンの「弦楽八重奏曲」(第4楽章のみ)。当然,弦楽合奏ということになる。ここで一転して,全員が女子になった。
リーダー格のヴァイオリン奏者が圧巻の巧さ。彼女だけじゃなくて,全体が達者の集合という印象。これなら第4楽章だけじゃなくて,全楽章の演奏もやってのけるだろう。
学校の部活だけでここまでになれるんだろうか。あるいは個人レッスンもやっているんだろうか。やっているんだろうなと思いたいっていうか,そう考えたほうが腑に落ちる。
● 管楽合奏の「秋の童謡メドレー」のあと,モーツァルト「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の第1楽章。弦奏者の揃い踏みだったんだろうか。かなりの人数だった。
それが普通だろうけど,指揮者はいない。コンミスの無言の合図で乱れなく始まった。始まってしまえばあとは,流れに乗るのには長けた生徒たちなのだろう。
合奏の場が生まれるのかもしれない。場の誘因力に引っぱられて,ひとりで弾くときよりも力がでるってことがあるのかも。
● 休憩後に第2部。ここからはオーケストラの演奏。
ディズニーメドレーから始まって,グリーグの「ペールギュント」第1組曲から,“朝”,“アニトラの踊り”,“山の魔王の宮殿にて”。
先月20日の「オーケストラ・フェスティバル」でも,鹿沼ジュニアオケが同じ曲を演奏した。そのときは,フルートが印象に残った。この学校の生徒だったんだろうか。
今回はオーボエの男子生徒に注目。それと,“アニトラの踊り”でのヴァイオリン。かなり聴かせる水準。
● ウェーバーの「オベロン」序曲,ベートーヴェンの「エグモント」序曲と続いた。
「エグモント」序曲はやはり先月20日にも聴いている。あのときは,後半やや失速したような印象を持ってしまった。
が,今回はそんなことはなく,最後まで重厚なベートーヴェンが立ち続けていた。ほどの良い緊張感と集中が切れなかった。そういうものは自ずと客席に伝わってくるわけで,お見事な演奏だったと言っていいのではあるまいか。
● アンコールはラデツキー行進曲。ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートの映像がYouTubeにいくつもあがっている。ぼくもこの映像を時々楽しんでいる。
生でも何度か聴いているけれども,この曲はノリの良さが身上で,中学生もいい感じで乗っていたように思えた。客席にいるおまえも乗れよってことだね。
● 終演後,雷が鳴りだした。これは降ってくるかと思ったけれども,何とか駅に着くまではもってくれた。
早足で歩いたので,16:30発の宇都宮行きに間に合った。ラッキーと思ったんだけれども,その宇都宮行きが待てど暮らせど来ない。
日光はまたも大雨と雹に見舞われているらしかった。
● 一昨年に続いて,二度目の拝聴となる。西中の生徒さんからこのブログに,8月2日にやるから見に来てくれとコメントをいただいた。
それに対して,必ず行きます,と返していた。約束は守られなければならない。小さな約束ほど履行厳守でなければならぬ。
中学生に来てと言われ,はいと答えたのに,結果,行きませんでした,というのでは,たぶん,生きている資格がない。
● というわけで,聴きにきましたよ,と。
しっかし。この猛暑は何事であるか。鹿沼駅から会場まで歩く途中,太陽のギラギラ光線を受けて,頭のてっぺんに穴が空くんじゃないかと思った。これだけ暑いと,太陽光に圧を感じる。
● 開演は午後2時。入場無料。
まず,1年生による合奏で「聖夜の行進」。楽器に触るようになって間もない生徒たちによる演奏だとのアナウンスがあった。
次は木管五重奏で「世界の車窓から」。クラリネットのみ女子で,あとの4人は男子。
続いて,弦楽合奏でブラームスの「ハンガリー舞曲第5番」。全員(4人)が男子。各パートひとりでこの曲を演奏するのは,しかし,音の絶対量を満たすのが難しいかもしれない。音があふれるくらいじゃないと,舞曲的,聴いてるだけで踊りたくなるような感じ,にならないものだろうし。
● ここまで男子優位。かなり以上に珍しいのじゃないかと思う。次は,金管五重奏で「情熱大陸」。これまた3人が男子で,ここまで男子優位が続いている。
この曲を直立不動で演奏。楽譜を正確に再現することに意を注いでいたのだろうと思うけれども。
● メンデルスゾーンの「弦楽八重奏曲」(第4楽章のみ)。当然,弦楽合奏ということになる。ここで一転して,全員が女子になった。
リーダー格のヴァイオリン奏者が圧巻の巧さ。彼女だけじゃなくて,全体が達者の集合という印象。これなら第4楽章だけじゃなくて,全楽章の演奏もやってのけるだろう。
学校の部活だけでここまでになれるんだろうか。あるいは個人レッスンもやっているんだろうか。やっているんだろうなと思いたいっていうか,そう考えたほうが腑に落ちる。
● 管楽合奏の「秋の童謡メドレー」のあと,モーツァルト「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の第1楽章。弦奏者の揃い踏みだったんだろうか。かなりの人数だった。
それが普通だろうけど,指揮者はいない。コンミスの無言の合図で乱れなく始まった。始まってしまえばあとは,流れに乗るのには長けた生徒たちなのだろう。
合奏の場が生まれるのかもしれない。場の誘因力に引っぱられて,ひとりで弾くときよりも力がでるってことがあるのかも。
● 休憩後に第2部。ここからはオーケストラの演奏。
ディズニーメドレーから始まって,グリーグの「ペールギュント」第1組曲から,“朝”,“アニトラの踊り”,“山の魔王の宮殿にて”。
先月20日の「オーケストラ・フェスティバル」でも,鹿沼ジュニアオケが同じ曲を演奏した。そのときは,フルートが印象に残った。この学校の生徒だったんだろうか。
今回はオーボエの男子生徒に注目。それと,“アニトラの踊り”でのヴァイオリン。かなり聴かせる水準。
● ウェーバーの「オベロン」序曲,ベートーヴェンの「エグモント」序曲と続いた。
「エグモント」序曲はやはり先月20日にも聴いている。あのときは,後半やや失速したような印象を持ってしまった。
が,今回はそんなことはなく,最後まで重厚なベートーヴェンが立ち続けていた。ほどの良い緊張感と集中が切れなかった。そういうものは自ずと客席に伝わってくるわけで,お見事な演奏だったと言っていいのではあるまいか。
● アンコールはラデツキー行進曲。ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートの映像がYouTubeにいくつもあがっている。ぼくもこの映像を時々楽しんでいる。
生でも何度か聴いているけれども,この曲はノリの良さが身上で,中学生もいい感じで乗っていたように思えた。客席にいるおまえも乗れよってことだね。
● 終演後,雷が鳴りだした。これは降ってくるかと思ったけれども,何とか駅に着くまではもってくれた。
早足で歩いたので,16:30発の宇都宮行きに間に合った。ラッキーと思ったんだけれども,その宇都宮行きが待てど暮らせど来ない。
日光はまたも大雨と雹に見舞われているらしかった。
2015年7月22日水曜日
2015.07.20 オーケストラフェスティバル in 鹿沼
鹿沼市民文化センター 大ホール
● 鹿沼には中学校,高校に管弦楽部があり,ジュニアオケがあり,大人の鹿沼フィルがある。それらが一堂に会して一緒に演奏しましょう,という催し。
こういうことをやれるのは,宇都宮を除けば,栃木県では鹿沼だけだろう。
● というわけで,この日も暑かったけれども,出かけることにした。
鹿沼駅から会場まで,30分は歩くことになる。タクシーを使えるほど偉くないからね。
● 開演は午後2時。チケットは1,000円。当日券を購入。
宇都宮発13:02の日光線に乗って,会場に着いたのは開演10分前だった。
● まず,鹿沼ジュニアフィルハーモニーオーケストラ。グリーグ「ペールギュント組曲」から“朝”と“山の魔王の宮殿にて”。それと,シベリウスの2番の第4楽章。
指揮は益子和巳さん。東中学校の先生だ(と思う)。ジュニアオケの主力は東中学校なのかもしれない(そうではないのかもしれない)。
● 出だしのフルートに驚いた。驚いているうちにあっという間にシベリウスまで終了。
弦も安定している。もっとも舞台に近い列の,前から4番目に座っていた1stヴァイオリンの女子生徒の所作がきれいで,これも印象に残った。
もちろん,彼女のヴァイオリンが発する音を聞き分けることなどできるはずもないわけだけど。
● 次は鹿沼フィル。モーツァルトの「魔笛」序曲。ジュニアがこれだけの演奏をした後にやるのは,ちょっとやりづらくないかと心配をしたけれど,余計な心配だったようだ。
● 続いて,西中学校管弦楽部。先ほどのジュニアオケのメンバーが制服に着替えて登場した。
演奏したのは,ベートーヴェンの「エグモント序曲」。こういう曲を中学生がやるのかと思い,次にやれるんだなと思った。
● もちろん,いくつかの瑕疵は避けられないわけで,でもそうした瑕疵に接するとホッとするのは,どういうわけのものなのか。
この曲を中学生に完璧に演奏されたら,それこそこちらの中学生観が基礎から崩れてしまう,からか。
● 最後は,東中学校オーケストラ部。ファリャの「三角帽子」から“終幕の踊り”。これもまた難しい曲を持ってきたものだ。
その難しい曲をほぼ完璧に演奏しきった。技術の高さは特筆もの。技術なんだから有無を言わさない。厳然としてそこにあるわけだから。
● ハープとピアノが入る大編隊で,ハープもピアノも当然,生徒が担当する。東中の水準の高さはすでに承知している。
それでもなお,これほどの規模でこれだけ整った演奏ができるというのは驚きだ。
● 休憩後に,合同演奏。ここには鹿沼高校も加わっていたようだ。たぶん,ジュニアのメンバーにも高校生がいたのだろう。
合同となると,練習時間もそんなには取れないだろう。どうしても音が散ったり,逆に団子になったりするのではないか。息が合わなかったりもするんだろうし。
というわけで,ぼくとしては前半の個別の演奏が聴ければいいやと思っていた。合同演奏はイベントの華にはなるだろうけど,実際に聴いたらそんなに面白いものじゃないだろうな,と。
● 演奏したのはシベリウスの「フィンランディア」と,ホルストの「惑星」から“木星”。
鹿沼フィルの神永さんもオーボエを抱えてアシストに入っていた。要するにオールキャストだ。
指揮者(安藤純さん)の説明によると,このメンバーで練習できたのは前日のみとのこと。当然,そういうことになるだろう。
● ではあっても,盛りあがりはすごかった。ステージに高揚感があった。
コンマスは西中の男女生徒が交替で務めた。いい思い出になるのか,そうでもないのか。
● この日,日光では大雨に見舞われたらしい。鹿沼は猛暑,隣の日光は大雨。
● 鹿沼には中学校,高校に管弦楽部があり,ジュニアオケがあり,大人の鹿沼フィルがある。それらが一堂に会して一緒に演奏しましょう,という催し。
こういうことをやれるのは,宇都宮を除けば,栃木県では鹿沼だけだろう。
● というわけで,この日も暑かったけれども,出かけることにした。
鹿沼駅から会場まで,30分は歩くことになる。タクシーを使えるほど偉くないからね。
● 開演は午後2時。チケットは1,000円。当日券を購入。
宇都宮発13:02の日光線に乗って,会場に着いたのは開演10分前だった。
● まず,鹿沼ジュニアフィルハーモニーオーケストラ。グリーグ「ペールギュント組曲」から“朝”と“山の魔王の宮殿にて”。それと,シベリウスの2番の第4楽章。
指揮は益子和巳さん。東中学校の先生だ(と思う)。ジュニアオケの主力は東中学校なのかもしれない(そうではないのかもしれない)。
● 出だしのフルートに驚いた。驚いているうちにあっという間にシベリウスまで終了。
弦も安定している。もっとも舞台に近い列の,前から4番目に座っていた1stヴァイオリンの女子生徒の所作がきれいで,これも印象に残った。
もちろん,彼女のヴァイオリンが発する音を聞き分けることなどできるはずもないわけだけど。
● 次は鹿沼フィル。モーツァルトの「魔笛」序曲。ジュニアがこれだけの演奏をした後にやるのは,ちょっとやりづらくないかと心配をしたけれど,余計な心配だったようだ。
● 続いて,西中学校管弦楽部。先ほどのジュニアオケのメンバーが制服に着替えて登場した。
演奏したのは,ベートーヴェンの「エグモント序曲」。こういう曲を中学生がやるのかと思い,次にやれるんだなと思った。
● もちろん,いくつかの瑕疵は避けられないわけで,でもそうした瑕疵に接するとホッとするのは,どういうわけのものなのか。
この曲を中学生に完璧に演奏されたら,それこそこちらの中学生観が基礎から崩れてしまう,からか。
● 最後は,東中学校オーケストラ部。ファリャの「三角帽子」から“終幕の踊り”。これもまた難しい曲を持ってきたものだ。
その難しい曲をほぼ完璧に演奏しきった。技術の高さは特筆もの。技術なんだから有無を言わさない。厳然としてそこにあるわけだから。
● ハープとピアノが入る大編隊で,ハープもピアノも当然,生徒が担当する。東中の水準の高さはすでに承知している。
それでもなお,これほどの規模でこれだけ整った演奏ができるというのは驚きだ。
● 休憩後に,合同演奏。ここには鹿沼高校も加わっていたようだ。たぶん,ジュニアのメンバーにも高校生がいたのだろう。
合同となると,練習時間もそんなには取れないだろう。どうしても音が散ったり,逆に団子になったりするのではないか。息が合わなかったりもするんだろうし。
というわけで,ぼくとしては前半の個別の演奏が聴ければいいやと思っていた。合同演奏はイベントの華にはなるだろうけど,実際に聴いたらそんなに面白いものじゃないだろうな,と。
● 演奏したのはシベリウスの「フィンランディア」と,ホルストの「惑星」から“木星”。
鹿沼フィルの神永さんもオーボエを抱えてアシストに入っていた。要するにオールキャストだ。
指揮者(安藤純さん)の説明によると,このメンバーで練習できたのは前日のみとのこと。当然,そういうことになるだろう。
● ではあっても,盛りあがりはすごかった。ステージに高揚感があった。
コンマスは西中の男女生徒が交替で務めた。いい思い出になるのか,そうでもないのか。
● この日,日光では大雨に見舞われたらしい。鹿沼は猛暑,隣の日光は大雨。
2013年8月10日土曜日
2013.08.09 鹿沼市立西中学校管弦楽部第23回定期演奏会
鹿沼市民文化センター 大ホール
● 東中に続いて,今度は西中の演奏会。この2校が,管弦楽部を有する,栃木県でたった2つの中学校ってこと。
開演は午後6時。入場無料。平日のこととて,客席はだいぶ空席が目立ったが,開演後にけっこう埋まった。
東中のときと同様に,ビデオやスマホでの動画撮影をする人が多くて,液晶画面の花がそちこちで咲いた。演奏中にカメラのフラッシュがたかれることもしばしば。これはしかし,事柄の性質上,やむを得ないものだろう。
● まずは木管五重奏。ハイドンの「ディヴェルティメント」の第1章。次が金管五重奏で,演奏したのは「銀河鉄道999」(タケカワユキヒデ)。
「今年は3年生が少なく,1・2年生しかいないパートもあ」るようで,この五重奏も3年生はいなかったようだ。中学校に入ってから楽器を始めたのだとすると,本当に始めて間もない生徒たちによる演奏ということになる。
● たしかにそう聴こえるわけだけど,短期間でここまで来れればたいしたものだとも思う。しかも,それだけやってるわけじゃないんだからね。部活なんだから。
少年少女が持つ魔力みたいなものもある。真っ直ぐな佇まいというか,凛々しさというか,無垢さというか。そうしたものが,技術不足を埋めてくれる。客席に届くものは技術だけでは決まらない。
この点,若いほど有利でしょうね。だからこそ,若い演奏者はそれに甘えずに技術を鍛えることに精進しなきゃいけない。これも明白なことではあるんだけど。
● 実際はね,中学生にもなっていれば無垢なはずがないってことは,自分が中学生だった頃を思いだせば明らかですよね。それでも今の自分と比べればさ,あの頃は無垢だったなぁって思うもんね。
そこから不可逆的な変化を遂げて現在にいたる,か。ま,これは順番だからね。
● 次は弦楽合奏。ホルストの「セントポール組曲」第1楽章と,バルトークの「ルーマニア民族舞曲」。
立派なもの。中学生になってから楽器を始めて,部活でしか楽器に触っていないっていうのは,信じられない。それ以前から始めているか,部活以外にどこかでレッスンしているか。もし,部活だけでここまでなれるんだとすると,部活ってものを,自身が中学生だった頃からなめていたってことになるな。
あるいは,ぼくの耳が弦には甘いのかもしれない。
● このあとはオーケストラ。「ジブリメドレー」「インディー・ジョーンズ メドレー」のあと,レオポルト・モーツァルトの「おもちゃの交響曲」。
ここまでは客席サービスってことですか。水笛とかね,楽しいですな,これ。これを生で聴いたのは初めてだったし,たぶんこれからもないかもな。
プログラムの「曲目解説」によれば,レオポルトの作であるかどうかは疑問があるらしい。そのことも,今回,初めて知ったこと。
ところで,この「曲目解説」,生徒が書いたんじゃないよな,まさか。顧問の先生が書いたんだろうな。もし,これを生徒が分担して書いているんだとしたら,ぼくの中学生像は根本から覆ってしまう。
● 続いて,モーツァルトの「魔笛」序曲。フルートが目立った感じ。
最後はベートーヴェンの4番の第1楽章。これが今年度のコンクールの課題曲になっているらしい。本当かよ(って,本当に決まっているんだけど)。高度なことをやってるんだなぁ。
終演後,イヤホンを耳につっこんで,4番の全曲を聴きながら帰った。ちなみに,カルロス・クライバーではなく,カラヤンで聴いている。
● アンコールはパッヘルベル「カノン」。チェロのピッツィカートが快かった。こういう何でもないところをおろそかにしちゃいけないよね。
● プログラムの表紙の絵は部員によるもの。何を訴えたいのかわかりやすいし(逆にわかりにくくしちゃってもいいかも),10年前なら想定できない絵柄っていう意味で現代的だし。
こういうのを中学生に自由にやらせると,時に面白いものが出てくるんですなぁ。
● 会場内の冷房が効きすぎて,途中で頭が痛くなってきた。女性の皆さんは大変だったろう。
でも,装置が昔のもので,細かい調整はできないようになってるんだろうな。たぶん,そうなんだろうな。仕方がないね。
● 東中に続いて,今度は西中の演奏会。この2校が,管弦楽部を有する,栃木県でたった2つの中学校ってこと。
開演は午後6時。入場無料。平日のこととて,客席はだいぶ空席が目立ったが,開演後にけっこう埋まった。
東中のときと同様に,ビデオやスマホでの動画撮影をする人が多くて,液晶画面の花がそちこちで咲いた。演奏中にカメラのフラッシュがたかれることもしばしば。これはしかし,事柄の性質上,やむを得ないものだろう。
● まずは木管五重奏。ハイドンの「ディヴェルティメント」の第1章。次が金管五重奏で,演奏したのは「銀河鉄道999」(タケカワユキヒデ)。
「今年は3年生が少なく,1・2年生しかいないパートもあ」るようで,この五重奏も3年生はいなかったようだ。中学校に入ってから楽器を始めたのだとすると,本当に始めて間もない生徒たちによる演奏ということになる。
● たしかにそう聴こえるわけだけど,短期間でここまで来れればたいしたものだとも思う。しかも,それだけやってるわけじゃないんだからね。部活なんだから。
少年少女が持つ魔力みたいなものもある。真っ直ぐな佇まいというか,凛々しさというか,無垢さというか。そうしたものが,技術不足を埋めてくれる。客席に届くものは技術だけでは決まらない。
この点,若いほど有利でしょうね。だからこそ,若い演奏者はそれに甘えずに技術を鍛えることに精進しなきゃいけない。これも明白なことではあるんだけど。
● 実際はね,中学生にもなっていれば無垢なはずがないってことは,自分が中学生だった頃を思いだせば明らかですよね。それでも今の自分と比べればさ,あの頃は無垢だったなぁって思うもんね。
そこから不可逆的な変化を遂げて現在にいたる,か。ま,これは順番だからね。
● 次は弦楽合奏。ホルストの「セントポール組曲」第1楽章と,バルトークの「ルーマニア民族舞曲」。
立派なもの。中学生になってから楽器を始めて,部活でしか楽器に触っていないっていうのは,信じられない。それ以前から始めているか,部活以外にどこかでレッスンしているか。もし,部活だけでここまでなれるんだとすると,部活ってものを,自身が中学生だった頃からなめていたってことになるな。
あるいは,ぼくの耳が弦には甘いのかもしれない。
● このあとはオーケストラ。「ジブリメドレー」「インディー・ジョーンズ メドレー」のあと,レオポルト・モーツァルトの「おもちゃの交響曲」。
ここまでは客席サービスってことですか。水笛とかね,楽しいですな,これ。これを生で聴いたのは初めてだったし,たぶんこれからもないかもな。
プログラムの「曲目解説」によれば,レオポルトの作であるかどうかは疑問があるらしい。そのことも,今回,初めて知ったこと。
ところで,この「曲目解説」,生徒が書いたんじゃないよな,まさか。顧問の先生が書いたんだろうな。もし,これを生徒が分担して書いているんだとしたら,ぼくの中学生像は根本から覆ってしまう。
● 続いて,モーツァルトの「魔笛」序曲。フルートが目立った感じ。
最後はベートーヴェンの4番の第1楽章。これが今年度のコンクールの課題曲になっているらしい。本当かよ(って,本当に決まっているんだけど)。高度なことをやってるんだなぁ。
終演後,イヤホンを耳につっこんで,4番の全曲を聴きながら帰った。ちなみに,カルロス・クライバーではなく,カラヤンで聴いている。
● アンコールはパッヘルベル「カノン」。チェロのピッツィカートが快かった。こういう何でもないところをおろそかにしちゃいけないよね。
● プログラムの表紙の絵は部員によるもの。何を訴えたいのかわかりやすいし(逆にわかりにくくしちゃってもいいかも),10年前なら想定できない絵柄っていう意味で現代的だし。
こういうのを中学生に自由にやらせると,時に面白いものが出てくるんですなぁ。
● 会場内の冷房が効きすぎて,途中で頭が痛くなってきた。女性の皆さんは大変だったろう。
でも,装置が昔のもので,細かい調整はできないようになってるんだろうな。たぶん,そうなんだろうな。仕方がないね。
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