2020年9月23日水曜日

2020.09.19 弁天百暇堂 [別館] no.2 楽聖前夜

 早稲田奉仕園 スコットホール

● 弁天百暇堂なる人を喰ったような名前のグループの演奏会。
 弁天百暇堂とはいかなる所以で名づけられたか。配られたプログラム冊子に書いてある。それを読めばなるほどねと思うんだけども,なお “人を喰ったような” という印象が抜けたわけではない。
 演奏会名の “別館” とはこれまた何か。こちらもサイトに説明がある。やはりなるほどとは思うものの,別館ねぇという感覚が抜けない。


● が,そういうことはどうでもよろしい。この時期の開催だ。客席をひとつおきにしたり,来場者の検温をしたりという,余計な手間を引き受けての開催になる。それだけでお疲れさまですということになる。
 この時期に人が集まるコンサートに行く方も行く方じゃないの,と思う向きがあるかもしれないけれども,そうではない。クラシック音楽のコンサート会場でコロナのクラスタが発生する可能性は,絶対にないとは言わないけれども,九分九厘ないだろう。
 理由は単純で,喋らないからだ。喋らないんだから飛沫が飛ばない。おそらくマスクも不要だろうし,席をひとつおきにする必要もないと思う。


● 先月から催行するコンサートがあるようになって,発見したものは行くように努めている。コロナをもらったらどうしようか(逆に,無症状でも陽性である可能性もあるわけだから,感染させたらどうしようか)と不安に思ったことは一度もない。
 談論風発する酒場や至近距離で言葉を交わす風俗店とは違うのだ。あるいは,興奮して大声を出すような類のコンサートとも違うのだ。クラスタなど出るわけがない。


● 開演は午後2時。入場無料。事前予約制。曲目はオール・ベートーヴェン。
 2つのオブリガート眼鏡付きの二重奏曲 変ホ長調
 フルート,ヴァイオリン,ヴィオラのためのセレナード ニ長調(全7楽章のうち,第1,2,3,4,7楽章)
 モーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』の「お手をどうぞ」の主題による変奏曲 ハ長調
 弦楽四重奏曲 ヘ長調(ピアノ・ソナタ第9番の作曲者自身による編曲版) 
 4曲のうち,3曲はベートーヴェンが作品番号を付けなかったもの。生で聴ける機会はそんなにない貴重な曲だったとも言える。

● 音大を出てずっとブイブイ言わせてきた人たちではないように思う。いや,音大出もいるのかもしれないけれども,音楽がなければ私の人生もない,という視野狭窄の人はいないようだ。
 そういう若い時期を過ごしてきたのかもしれないけれども,今は要するに,ちゃんとした大人だ。仕事でもそれぞれの持ち分をキチンと(かどうかは知らないけれど,ともかく)果たしている人たちのように思える。
 その上での話なのだが,“好きでやってる” 演奏活動を一定以上に振り切っちゃってる人たちのようでもある。偏りがある。多くの場合,偏りは魅力でもある。


● 東京にはしばしば出てきているが,早稲田はあまり縁のあるエリアではなかった。これが三度目だと思う。
 早稲田にこんなところがあるとは知らなかった。教会のホールなのだが,一般に開放されている。比較的新しい建物のように思えたんだけど,完成は1921年で,都指定の歴史的建造物になっているらしい。きちんと風を入れているのだろう。

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