2013年6月9日日曜日

2013.06.08 越谷市民交響楽団第30回定期演奏会-越響の第九

越谷コミュニティセンター(サンシティホール) 大ホール

● このブログを立ちあげてから,演奏会に出かける頻度があがった。ブログを更新するために演奏会に出かけるという,どう考えても本末転倒の仕儀ではある。
 このオーバーペースはいずれ修正しなければならないと思っていたんだけど,だんだんこのペースが身についてしまって,コンサートがない週があると,何とか埋められないかとそちこち探し回るようになってしまった。何だかなぁ。他にやることないのか,オレ。

● で,「フロイデ」をつらつらと眺めていたら,この時期に「第九」の演奏があるのを発見。越谷市民交響楽団の定演。「第九」の第1楽章を生で聴けると思ったら,足は自然に南に向かっていた。
 宇都宮線,京浜東北線,武蔵野線と乗り継いで,南越谷で下車。宇都宮から1,620円。栗橋か久喜で東武線に乗り換えるのが正解でしょうね。その方が速い。運賃も安くなる。所要時間を考慮しないのであれば,宇都宮から東武線に乗ると1,030円ですむ。

● 開演は午後5時。チケットは1,000円。指揮は佐藤和男さん。真岡市民交響楽団の常任も務めているので,ぼく的にはお馴染み感がある。
 ワーグナーの「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲を演奏してから,「第九」。

● 「第九」にはシラーの詩がついているのだから,ベートーヴェンの意図は言語によって明瞭で,この曲の解釈に紛れはない(少ない)だろう。プログラムにもきっちりと解説が載っている。
 それとは別に,ぼくの脳内に勝手にわいてくるイメージがあるわけね。突拍子もないイメージ。
 第1楽章のテーマはですね,宇宙創生なんですよ。ビッグバン以前の宇宙(というのは語義矛盾だけど)がたゆたっている。それが,どういう機序が働いたのかわからないけど,宇宙が産みだされるわけですよ。一度目,うまくいかない。二度目,やはりだめ。三度,四度・・・・・・。やっとビッグバンが首尾を果たして,宇宙ができる。ビッグバンは難産だったんですな。うまくいったことを見届けて,第1楽章が終わる。

● 第2楽章は地球の話。地球から見える宇宙の光景は登場するんだけど,基本,地球の進化や胎動が描かれる。
 第3楽章になると,一気に人間の精神世界の話になる。したがって,第3章と第4章はひと括り。もっとも,第4章ではビッグバン以前の情景や地球の進化についておさらいすることになるんだけど。

● 徒し事はさておき,第3章冒頭のヴィオラはいいですな。ヴィオラの音色をここまで崇高に響かせる曲を,ぼくは他に知らない。
 ティンパニの気迫と集中に注目。プログラムの曲目解説にも「(第2楽章では)ティンパニの独創的な使い方が大変耳に(目にも)付きます」とあるんだけれど,第2楽章に限らず,ティンパニがかっこよかった。
 場所がら目立つってこともあるでしょうね。気迫と集中は,他の奏者も劣るところはないと思うんだけど,とにかく目立つから。

● 1stヴァイオリンは大半が女子。その水準の高さに瞠目。ヴァイオリンに限らず,セミプロ級(あるいはセミのつかないプロ級)の腕前の持ち主がけっこうな数いるっぽい。
 一方で,団員間に技量の差はやはりある。アマオケの宿命,っていうより,そこがアマオケの持ち味でしょうね。客席側の一員としては,そこをどう楽しめるか。ミスに注意が行ってるようでは,聴き手として未熟。

● ソリストは,藤永和望さん(ソプラノ),星野恵理さん(アルト),猪村浩之さん(テノール),大井哲也さん(バリトン)。皆さん,プロの歌い手ですな(二期会会員)。まずもって文句のない布陣。
 合唱団はサンシティ市民合唱団。地元の合唱団でしょう。総勢で約110名の中編隊。しかし,これだけいれば充分だった。男声がやや少ない嫌いはあるけれど,残念ながらというか何というか,これがあたりまえだもんね。

● じつのところ,CDを聴いていると,第4楽章はなくてもいいんじゃないかと感じることがある。純粋な器楽曲にした方がよかったんじゃないのかなぁと,生意気にも思うことがあるんですよ。
 でも,こうして生で聴いてみるとねぇ,そういう思いは吹っ飛びますよね。生の合唱が発する圧倒的な説得力。「第九」はこれでいいんだ,っていうね。

● というわけで,充分以上に堪能。千里の道を越えて来た甲斐があったというか,元は取ったぞって感じですね。

● 指揮者の佐藤さんが,プログラムに次の文章を寄せている。
 当時指揮科の学生だった僕に,師匠の三石精一先生は「指揮なんてのは実際にオケを振ってみなくちゃ分かりゃしないよ。」とよくおっしゃっていた。 最近その言葉の意味を痛感する。指揮者は,特にアマチュア・オーケストラに対しては,教える立場ではあるが,オーケストラを振ることによってそれ以上に学ぶのである。
 先生の言葉は,適用範囲のかなり広いテーゼですよね。座学に類するものは,しょせん,畳のうえの水練。まずやってみなくちゃな。まずやってみることを怖がらないって大事だよね。

0 件のコメント:

コメントを投稿