すみだトリフォニーホール 大ホール
● 開演は13時半。チケットは1,000円。当日券を購入。
2015年10月の第99回定期に続いて二度目の拝聴。一度聴いて,この楽団がアマオケの中では傑出した楽団のひとつであることは承知している。だから,もう一度聴きたいと思ったわけでね。
と思う人はぼくだけではないらしく,会場はほぼ満席となった。
● 曲目は次のとおり。指揮は田部井剛さん。
ボロディン 歌劇「イーゴリ公」序曲
ヤナーチェク 狂詩曲「タラス・ブーリバ」
ショスタコーヴィチ 交響曲第10番
玄人受けする内容というか,「タラス・ブーリバ」は,CDも含めて,ぼくは聴いたことがない。
● この楽団のホームページによれば,1961年の創設という。昭和36年だ。だいぶ古い。以来,半世紀。連綿と活動を続けてきたというそれだけで,賞賛に値する。
いくつかの偶然にも恵まれたのだろう。そうだとしても,創設するより継続する方が困難だ。
メンバーは頻繁に入れ替わっているはずだ。奏者の平均年齢は若いといっていい範囲に属する。
● したがって(と,つないでいいのかどうかわからぬが),演奏にも躍動感がある。高値安定に安んじていない。
特に,コンミスがグングン引っぱっている感があって,コンミスがこうだと指揮者は楽かもしれないなと,余計なことを思った。
● ショスタコーヴィチの10番。「自分のドイツ式の綴りのイニシャルから取ったDSCH音型(Dmitrii SCHostakowitch)が重要なモチーフとして使われている」とか「カラヤンが録音した唯一のショスタコーヴィチ作品」だとか,何かと話題の多い作品だということは知っている。
スターリンの死の直後に,8年ぶりに公表した交響曲でもある。つまり,それ以前に,ひょっとしたらだいぶ前に,できあがっていたのだろう。
● このあたりはいろいろと憶測を呼ぶところだけれども,『ショスタコーヴィチの証言』も偽書らしい。とすると,真相はわからない。
彼の作品が彼が生きた時代から間違いなく大きな影響を受けているとしても,スターリンだのソヴィエトだのというところからいったんは切り離して,音楽それ自体を聴くことができればいい。
ショスタコーヴィチの場合,それがなかなか以上に難しいわけだけれども。
● ということは別にして,この楽団の演奏で第10番を聴けたのは,幸せのひとつに数えていいだろう。沈鬱な前半からグァーっと上昇していく後半。その移り変わる様,というより切り替えといった方がいいのか,そこがじつに小気味いい。
たしかな技術の裏付けに加えて,演奏することに厭いている様子が微塵もない。
● しかぁし。今朝は8時まで寝ていたのに,それでも寝たりなかったのか,何度か意識が落ちてしまった。
そういうときには,聴きに行ってはいけないと思うんだけど,それを実行するのは難しい。すまんこってす。
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