2021年3月31日水曜日

2021.03.20 バリオケ初公演

府中の森芸術劇場 ウィーンホール

● さて,今日はダブルヘッダーの予定を組んである。東京に泊まる。
 2つめの演奏会は19時半開演なので,それが終わってから帰宅の途についても,今日中にわが家に辿り着くことはできない。新幹線を使えば可能だけれども,そんなことをするくらいだったら泊まってしまった方が話が早い。


● 場所は東府中。予約したのは銀座のビジネスホテル。銀座からなら1時間くらいかと思って,余裕を見込んで18:10にホテルを出た。
 が,結論から言うと間に合わなかった。銀座線で渋谷に出て,京王井の頭線で明大前。京王本線に乗り換えて東府中。この経路では間に合わず。
 といって,赤坂見附で銀座線から丸の内線に乗り換えて,新宿から京王線に乗ったとしても,さほどの時間短縮にはならないと思う。ていうか,もっとかかってしまいそうだ。


● いやね,明大前から橋本行きに乗ったのに,調布で乗り換えるのを忘れたっていうチョンボもあったんだけどね。
 銀座から府中に行くには90分を見込むべし。これってもう小旅行だよねぇ。府中市民が都心に出るときは “東京に行く” っていうはずだよね。
 かつての武蔵国府があったところから,現在の都心まではけっこう時間がかかるのだ。府中に国府があった頃は,今の都心は湿地帯か海の底だったのだろうけど。


● 府中まで何を聴きに行ったかというと,VariOrchestra の演奏会。バリオケと称しているらしい。今回が旗揚げ興業。
 チケットは500円。【teket】により事前に申し込んでおく方式。曲目はベートーヴェンの7番と5番。
 上述のとおり開演時刻に間に合わず遅刻したので,7番の第3楽章から聴くことになった。

● 指揮者がいないことを謳っている。指揮者なしでシンフォニーを演奏すること自体は,たいていできるだろうけど,どこまでできるかはまた別の問題。
 で,どうだったかというと,なまじな指揮者ならいないほうがいいのだな,と思わせる水準。てか,指揮者がいるとかいないとかを,感じさせなかったですけどね。とにかく,勢いがあって。


● 団員の大半は現役の大学生。若いのだ。ここまでの勢いは若さに乗ったものなのだと思う。若いって凄い,と色んなところで思うのだが,ここでもまた。
 ちなみに,この楽団のサイトにはメンバーの出身地であるとか現在の所属であるとかが,顔写真とともに詳しく紹介されている。ここまで団員の履歴をディスクローズしているところは(たぶん)ない。


● あとは,どこまで継続できるかという問題だけが残りますかね。加えて,いつまでも若くいることはできないということ。個々の人間だけではない。あらゆる集団,組織も,必ず老いる。
 創業が江戸時代という老舗もあるが,そういうところは生まれ変わっているのだ。越後屋と三越は一直線にはつながっていない。
 行けるところまでは行く。そこから先はそのときに考える。そうならざるを得ないだろうし,それが正解でもあるのだろう。


● この楽団はそもそもがどういう所以でできあがったのだろうか。サイトには「さまざまなバックグラウンドを持つ演奏家の集う場所へ」と目指すところが掲げられている。
 「さまざまなオーケストラのコンサートマスターやトップ経験者,音大生を中心に構成されています。アマチュアか音大生か,社会人か,そのようなものは関係ありません。音楽を愛し,良い演奏をしたいと考える個性的で多様な人たちが自発的に集まっています」ともある。


● そのとおりなのだろうけれども,言うは易く行うは難しであって,それだけの多彩な素材をバラバラにさせないでひとつの楽団の態を保っていくためには,その中心になって吸引力を発揮できる個人がいなければならないはずだ。
 しかも,その個人(1人とは限らない)がずっと変わらないのでは,いずれ飽きられて分解してしまうだろう。中核が変わっていくことで,まとまりを変えずに維持できる。
 「月に一回程度バリオケメンバーによる多彩な室内楽コンサートを企画しております。月に一回程度でコンサートを開催することを目標としております。」ともあって,かなり野心的だと思うわけだが,相当に熱い人が大車輪で動いたんだろうかなぁ。


● 音大生が多い。入場時に配られたチラシによれば,桐朋7人,国立音大6人,昭和音大3人,東京音大2人,武蔵野音大と藝大が1人。東京学芸大の音楽専修の学生が7人。
 一般大学では東京外大の4人が最も多い。が,東京外大管弦楽団に属している人が12人いて,どうやらここが核になっているようではある。
 外大は府中,桐朋は調布,学芸大は小金井と,まとまったエリアに固まっている。そういったことも関係があったのかなかったのか。

● ともあれ。技術をはじめ,相当なポテンシャルを持った楽団が出てきたという印象。
 当分,Twitterでこの楽団が何をしていくのか,追いかけてみようと思っている。

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