2021年5月31日月曜日

2021.05.23 宮前フィルハーモニー交響楽団 第48回定期演奏会

ミューザ川崎 シンフォニーホール

● 川崎は東京のベッドタウンという言い方を,昔はよく聞いた。昼間は東京で働いたり学んだりしていて,夜,寝るために帰ってくるところ。今でもベッドタウンという言葉が使われているのかどうかは知らないが,かつては望ましくはないものとして使われていたように記憶している。
 けれども,それって行政区域に囚われた発想だよね。行政の都合で言われていたことじゃないかと思っているんだけどね。
 川崎市はとにかく東西に短い。京浜東北線の川崎市内の駅は川崎駅のみ。川崎駅から蒲田(東京都大田区),あるいは鶴見(横浜市)までの駅間距離も決して長くはない。そうであれば,東京や横浜との行き来は当然で,そこで生きている個人からすれば,そうするのが合理的でもある。

● さて,宮前フィルハーモニー交響楽団。その名のとおり,川崎市の宮前区を本拠とする市民オケなのだろう。初めての拝聴だ。
 チケットはA席(1,500円)とB席(1,000円)の2種。安いB席で聴いた。

● 開演は午後2時。指揮は河地良智さん。洗足学園の副学長を務めた人。指揮者や演奏家の世界で,音大の教授を務めるというのはどの程度のプレステージになるんだろうか。
 曲目は次のとおり。
 ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番
 ブラームス/シェーンベルク編曲管弦楽版 ピアノ四重奏曲第1番

● ラフマニノフのソリストは福間洸太朗さん。1,000円で福間さんのピアノが聴けるって,お得すぎませんか。
 ただし,お得かどうかは聴き手の力量にもよるわけで,“馬の耳に念仏” になってしまっては,いかな高僧の念仏であっても,得にも徳にも結びつかないわけだ。ぼくの耳は馬の耳であったかもしれない。

● 福間さんのアンコールは,ブラームス「ピノのための6つの小品」より第5番ロマンス。

● ブラームスのピアノ四重奏曲第1番の管弦楽版に驚いた。シェーンベルクのオーケストレーションの妙もさることながら,ブラームスのオリジナル曲がそれだけのエネルギーを孕んでいるってことなんでしょう。
 You Tubeで聴けることも,たった今,知った。CDはラトル盤でよろしいんでしょうね。これだけの高密度を味わうには,でも,生演奏しかないでしょうねぇ。

● オーケストラのアンコールは,ブラームスのハンガリー舞曲第6番。

● プログラム冊子が縦書き右開き。ひょっとして初めて接する形かもしれない。たいてい横書きだもんね。しかも,この冊子,印刷も凝っていて,けっこうお金をかけているっぽい。
 内容も充実している。まず,福間さんのインタビュー記事。ラフマニノフやロシア音楽に対する福間さんの見方が述べられている。自身について語っているところもあり,かなり面白く読める。訊き方によってはもっと引き出せたのかもしれないが,プロのインタビュアーがやっているわけではないから,そのあたりは仕方がない。
 指揮者インタビューも面白けれども,これで宮前フィルの活動履歴がおおよそわかる。

● 那須町での水害復興のためのチャリティーコンサートも行っているのだった。平成10年(1998)年8月26日から約1週間で年間降水量の3分の2を超える大雨が降った。その後の復興の過程において,宮前フィルが那須町と関わりをもったということだ。
 どういう契機があったのかはわからない。たまたま人的な繋がりがあったのだろうか。

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