2013年3月11日月曜日

2013.03.10 読売日本交響楽団特別演奏会-三大協奏曲

栃木県総合文化センター メインホール

● 昨日,今日と,春を跳びこえて初夏を思わせる陽気。一方,北日本では吹雪。先日は死者まで出た。どうなってるんだかなぁ。
 その陽気の中(風は強かったけどね)を午後3時から読響の演奏会。S席で5,000円。当日券もあったようだ。会場の入りは8割程度か。1階席に限れば,ほぼ満席だったけど。

● 曲目は協奏曲ばかり3つ。メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲,ドヴォルザークのチェロ協奏曲,チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番。
 指揮は現田茂夫さん。

 このプログラム,オーケストラにとってはあんまり楽しくないんでしょうねぇ。気合いを入れていけ,流すんじゃない,っていうのは少し以上に酷な注文になりますか。
 手を抜いてやろうと思って手を抜く人なんていない。が,そう思ってなくても結果においてそうなることは,人間だもの,百パーセントは防げないのかなぁ。

● まずはヴァイオリン。ソリストは松山冴花さん。
 オケの方は,お付き合いするかって感じで始まった(ように思われた)。乗りの悪いオケにはわれ関せずと,松山冴花ただ一人,わが道を行く,の図。特に,前半は。
 後半はいくぶん乗ってきましたか。曲自体が最後は盛りあがって終わるから,終わってみれば,形にはなっていたんですけどね。

● 次はチェロ。ソリストは工藤すみれさん。
 この曲は「管弦楽とチェロのための協奏曲」と曲名を変えてもいいくらいのものでしょ。ソリストが本格的に前面に出るのは第3楽章の終盤くらい。管弦楽の見せ場の方が多いでしょ。
 ゆえに(といっていいのかどうか),前曲に比べれば,オーケストラも気が入っていた感じね。工藤さん自身,ニューヨーク・フィルの団員だから,合わせが巧かったってのもあるんだろうか。どうなんだろ。

● 15分間の休憩の後,チャイコフスキーのピアノ協奏曲。ソリストは地元の須藤梨菜さん。
 ピアノ協奏曲では,ソリストは歯がゆい思いをするのじゃないかと思う。どうやったって音ではオケに負けちゃうからね。
 もちろん,ピアノにスポットライトがあたる場面はいくつもあるわけだけど,チャイコフスキーのこの曲の主役は管弦楽(違うだろ,バカ,って言われんだろうなぁ)。
 彼女が地元の人だってのは客席はもちろん知ってるわけで,終演後の拍手は盛大だった。

● 協奏曲といえども,ぼくが聴きたいのは管弦楽なんですよ。管弦楽が大事だと思っていてね。
 だからさ,管弦楽をないがしろにしているような(ないがしろにするつもりはなくても,オーケストレーションがあまり上手じゃない),たとえばショパンのピアノ協奏曲なんかはつまらないんだよねぇ。
 ひじょうに極端に言ってしまうと,ソリストは誰だっていいんですよ。だって,ソリストとして呼ばれるような人に,下手な人なんているはずないもん。巧いに決まってるんだもん。神業の持ち主たちだもん。巧さはそれぞれだとしてもね,そこはもう素人の手(耳)におえるような範疇じゃない。
 目下のところ,ぼくの水準はそんなもの。

● 今回は曲の順番に楽しめたわけですよ。1曲目より2曲目,2曲目より3曲目。だんだんオケの乗りが良くなってきたから。
 でね,「ソリストは誰だっていい」と書いておきながら何なんですけど,最も楽しみにしていたソリストは松山さんなわけですよ。
 このへんがね,ちょっとチグハグっていうかさ。

● だものだからね,今回のプログラムはそもそもどうだったのかなぁ,と。無理すじかなぁ,と。最後にソリスト3人がステージに揃ったのは,まことにどうも華やかで,賑々しくて,けっこうな趣ではあったんだけどね。
 もちろん,プログラムは事前にわかってて,それでもと聴きに行ったわけなんだけどさ。

● 一方で,著名な協奏曲を3つまとめて聴けて(しかも,文句のつけようのないソリストで)ラッキーっていう人もいるでしょう。だから,正解はないわけだよね。
 プログラムをどう組むかは正解のない問題だという前提で,メインディッシュが3つもある,しかもメインディッシュしかない,というのはあまりいいことではないと,とりあえず,ぼく一個の結論としておきたい。
 しかし,繰り返すけれども,中には育ち盛りの人もいる。育ち盛りがいけないという理由は,もちろん,ない。

● 3曲目に,さすがは宇都宮のケータイ着信音が響いてしまった。ま,宇都宮に限らず,全国どこでも起こっている現象なんでしょうけど。
 そんなこともあってか,全体的にやや散漫な印象になった。

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