2013年8月5日月曜日

2013.08.04 荒川区民オペラ第15回公演 ヴェルディ「シモン・ボッカネグラ」

サンパール荒川 大ホール

● 「シモン・ボッカネグラ」はベルディの中ではマイナーというか,あまり上演されることがないんじゃないかと思う。それを観ることができるのはありがたいです。
 じつはCDは持っている。持っているんだけど,聴いたことはない。オペラはたいていそう。なぜって,台詞の意味がわからないとどうにもならないから。CDに付いてくる対訳本を見ながら聴けばついていけるのかもしれないけど,そんなウザッたいことはする気にならないもんね。

● オペラに関してはDVDがいいと思う。字幕も出る。「シモン・ボッカネグラ」のDVDは持っていないけどね(アマゾンで2千円台で買えるんですな)。
 でもね,持っていても,可能であれば,DVDではなく生から入りたい。ほんとに可能であれば,なんだけど。で,今回はそれが実現しましたよ,と。

● ミラノ・スカラ座だのパリ・オペラ座だのっていうのは,自分には無縁なものだと思っている。何より経済というか,チケットの料金の関係で。そういうものこそ,DVDで代用体験すればいい。っていうか,するしかない。
 オペラに限らず,バレエでもオーケストラでも,もっといえば食事や洋服でも,この問題はつきまとってくる。本物主義ってやつ。
 主義はどうあれ,現実は妥協することと見つけたり。っていうか,最近の日本人ってけっこうすごくてさ,本場と伍して渡り合えるようになった分野は,野球やサッカーだけじゃない。

● このホールに行くのは,今回が二回目。前回は上野から地下鉄日比谷線で三ノ輪に出て,そこから歩いた。今回はJR常磐線で三河島に出ることに。三河島からは,基本,常磐線(下り)の進行方向に歩けばいいので,迷う余地はない。
 焼肉屋が並ぶ細い路地を歩いた。新大久保や大阪の鶴橋とは比ぶべくもないけれども,プチ・コリアンタウンの趣がある一画だ。

● さて,荒川区民オペラ,開演は午後2時。座席は全席指定。A席とB席の2種。A席が5,000円でB席が3,500円。このホール,決して広くはないからB席でも問題はないと思うんだけど,A席を買っておいた。
 当日券もあったようなんだけど,会場はほぼ満席だったから,まずは予約しておくのが吉でしょうね。

● ホームページから事務局にメールすると,振込先を教えてくれる。そこに代金を振り込むとチケットが送られてくる。“ぴあ”とかコンビニ決済より,紛れがなくてわかりやすい。年寄りには助かる。
 事前に座席は指定せず。で,送られたチケットの座席は前から3列目の中央。特等席ですな。申しわけないほどの特等席。もう少し後ろでもよかったんだけどさ。

● 公演は3日と4日に,キャストを交替して開催。ぼくが行った4日のキャストは次のとおり。
 シモン・ボッカネグラ 佐野正一
 アメーリア 金見美佳
 フィエスコ 伊藤 純
 ガブリエーレ 川久保博史
 パオロ 細川雅哉
 指揮は小崎雅弘さん。

● 結果,大満足。充分以上に楽しめた。じつにどうも贅沢なエンタテインメント。
 鑑賞水準の低い人ほど,高い演奏水準のステージを観た方がいいんでしょうね。ステージがこちらの低さを埋めてくれる。

● 理由は大きく二つある。ひとつは,アメーリアを演じた金見美佳さんの美貌。プログラムでも「華やかな容姿と美声を持つ若手ソプラノ歌手」と紹介されているけど,まったくそのとおり。化粧映えするお顔なんでしょうね。
 バレエはルックス,オペラは実力,といわれたのは,今は昔の話。オペラもどんどん大衆化してくると,ルックスを等閑に付すわけにはいかなくなる。ガブリエーレとパオロを夢中にさせるアメーリアであってみれば,舞台上では美しく華やいでいてもらわないと困る。

● もうひとつは,パオロの悪役ぶり。シモンを総督にした立役者でもあるわけだから,パオロは精悍な悪役ってことになる。恋人のいるアメーリアに横恋慕するくらいだから,生命力も旺盛はなずだ(イタリア男なら,それが普通なのかもしれないけど)。
 細川さん,それを演じて秀逸。たぶん,悪役って演じやすいんだとは思う(女性だったら,蓮っ葉な女って演じやすそうだ)。なんだけど,見事な悪役でね。

● オペラ歌手って,当然,体も鍛えているんでしょう。手入れを怠っていないはずだ。客席から観てても,それは充分にうかがわれる。大変な仕事だよなぁ。
 ジムに行ったりもするんだろうけど,練習じたいが,第一の体作りになっているんだろうな。
 ぼくの席からは,小崎さんの指揮ぶりも見ることができた。ていねいに指揮をしておられた。

● この「シモン・ボッカネグラ」に関しては,事前にストーリーを承知しておいた方がいいでしょうね。それをしておかないと,プロローグの収納先にとまどってしまうかもしれない。テレビドラマや映画と違って,「それから25年後」なんて表示は字幕に出ないから。

● 5,000円をどう使うか。いろんな使い方ができる。ディズニーのパスポートを買うにはちょっと足りないけど,少し足せば買える。1日をディズニーランドで過ごすことができる。映画なら3回か4回見れるか。プロのオーケストラも聴けるし,今なら居酒屋でたっぷり呑めるな。ユニクロだとポロシャツが5枚買えるかも。
 5,000円ってけっこう使いでのあるお金だよね。それを3時間のオペラを観ることに使う。贅沢かも。それ以前に,お得かも。

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