2013年8月11日日曜日

2013.08.10 東京大学音楽部管弦楽団サマーコンサート2013

ノバホール 大ホール

● 東大オケのサマーコンサートは今年も健在。今年はすでに終了した東京(7月28日)を皮切りに,今回のつくば,名古屋(12日),神戸(13日),北九州(15日)と5都市で開催。
 3年前にもつくばで催行された。会場も同じノバホール。そのとき,初めてつくばの地を踏んだ。今回,つくばは2回目。こういうことでもないと,つくばに出ることはないですよね。研究学園都市っていうんだから,そうそうぼくに縁のあるはずもないし。

● でね,栃木のわが家からつくばって,地図上ではそんなに離れていないわけですよ。けれども,ゆえあって車が使えない。そうなると,わが家からつくばに出るのは,ちょっとしたイベントになってしまうんですね。
 時間的に一番速いのは,JRで秋葉原に出て,つくばエキスプレスに乗り換える方法だ。いったん南下して,次に北上するという。三角形の二辺往来。しかもこの三角形,二辺が長くて底辺が短い。何だか面白くないわけですね。

● 次なる方法は,宇都宮からバスで真岡に出て,真岡鉄道,関東鉄道常総線,つくばエクスプレスを乗り継ぐというやり方。言っちゃなんだけど,いったん東京に出るよりずっと時間がかかる。わが家からだと,この方法で真岡に出るのがすでに二辺往来になってしまうしね。
 宇都宮線,水戸線,常磐線とJRを乗り継いで,土浦(または荒川沖)からバスで入るという方法もある。やはり二辺往来より時間がかかる。
 ちなみに申しあげますが,東京まで新幹線を使うなんてことは考えていない。在来線だ。それでもいったん東京に出るのが最も時間節約的な方法ってことになる。車以外の方法で北関東を東西に移動するのは,とんでもなく不便だよ,ってことなんですけどね。

● すべて採用したくない。いっそのこと,つくばまで自転車で行ってしまおうかと考えた。
 じつは2年前のこの時期に,土浦まで自転車で往復しようと試みたことがあるんですよ。が,真壁を過ぎたあたりで引き返すことになった。土浦まで行ってしまっては帰りのエネルギーが残らなそうだったので。
 加えて,昨年4月以降,まったく自転車に乗っていない。これでつくば往復は少し無謀かなと思い直した。自転車に乗るのに必要な筋肉が落ちきっているだろうからな。
 無謀だからこそやるべきだとも,チラッとは思ったんだけど。そんなこともできないようじゃ,男廃業しろよ,って。でもさ,すでに廃業しちゃってるかも。

● 結局,真岡まで自転車で行って(片道30㎞),真岡から上記の方法で行くことにした。決めてみると,これが最もまっとうな方法だと思えるんだけど,真岡まで自転車で行くんだったら,つくばまで行ってしまえよ,っていう気持ちもどっかにある。
 真岡鉄道と関東鉄道常総線の共通1日乗車券ってのがあって,普通に切符を買うより千円程度安くなる。費用的にもこれが最安。

● ところが。あろうことか,当日,寝坊。結局,往きは秋葉原経由で,復りは常磐線経由ということにあいなった。
 そうまでして,この東大オケの演奏を聴きたい理由は何かといえば,背すじを伸ばしたいからっていうあたりになるのかなぁ。
 この楽団の演奏を聴くと,背すじが伸びる気がするんですね。演奏そのものはもちろんだけど,案内や誘導のスタッフを含めてね。
 学生がここまでやっているのに,オレもこうしちゃいらんねぇやって思うんですよ。もちろん,終演後,速やかに元の木阿弥になるわけです。言うまでもないけど。なんだけれども,その2時間の快感を買うために,この程度のコストを支払うのは受忍限度の範囲内だと思っている。
 ぼくよりずっと遠方から来ているお客さんもいるに違いない。たとえば,北陸とか東北からも。それだけの吸引力のあるコンサートだと思います。

● 東大オケに限らず,学生がやる演奏会ってだいたいそうですな。ただ,この楽団は演奏レベルも含めて,そこが突出している。隙というものが見あたらない。小憎らしいほどに仕上げてくる。
 その小憎らしさが,まぁ何というか,とても気持ちがいいわけですな。

● 開演は午後2時。チケットは1,000円(自由席)。
 太陽光が皮膚を抉るような暑さの中,きちんとネクタイを締めたスタッフが入口の前に立って,挨拶をして来場者を迎える。このあたりが背すじが伸びる所以なんだけども,こうまで暑いときにはネクタイをはずしてもいいんじゃないのかなぁ。自分たちの熱中症の心配もしないとな。
 と,部外者は思ったりするんだけど,彼らには彼らのこだわりというか考え方があるはずだ。たんに決まりだからこうしてますっていうんじゃなくて(いやいや待てよ,決まりだからしているだけか)。

● 客席は満員御礼。曲目は次のとおり。
 メンデルスゾーン 「真夏の夜の夢」序曲
 ストラヴィンスキー 火の鳥(1919年版)
 ブラームス 交響曲第4番 ホ短調

● この楽団のサマーコンサートを聴くのは,これが4年連続の4回目。どれほどの腕前かはもうわかっている。
 今回も期待どおりの演奏で,こちらとすれば唖然呆然。鬼気迫るほどの集中力。合間に見せるリラックス(余裕だね)。細部をくっきりと描きだす表現力とそれを支える技術。

● 指揮は三石精一さん。サマーコンサートは毎回,三石さんが指揮者を務める。
 勝手な想像だけれども,三石さんにとっても,この仕事は楽しみのひとつになっているのではあるまいか。御年81歳になられるはずだけれども,その三石さんにして,この学生たちとの交流から秘かに学ばれているものがあるのじゃないかと愚察する。

● で,背すじを伸ばしてくれるといえば,学生たち以上に三石さんがそうで,81歳でなんでこんなにパワフルな指揮ができるんだよ,っていうわけです。
 60歳台後半に見えますな。前面の老いは隠せても,背中に現れる老いは隠せないというけれども(言わない? 今思いついたんで書いてみたんだけど),背中も若い。音楽界の三浦雄一郎ですな。
 3日に一度は,ステーキをレアで召しあがっているに違いないぞ。だとしても,だから若いんじゃなくて,若いからそんなことができるんだな。若さの理由というのは,結局,わからないものだ。

● アンコールはドヴォルザークのスラヴ舞曲(Op.72)第2番ホ短調。
 最後にドイツ民謡の「歌声ひびく野に山に」を客席と歌ってお開きとなるわけだけど,その前奏に水戸黄門のテーマ?を演奏するというね,このあたりが小憎らしいということだね。しかも,その水戸黄門までしっとりと聴かせてくれちゃう,っていうね。
 「歌声ひびく野に山に」じたい,これで一曲になるし,たっぷり聴けて満足。

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