2016年4月28日木曜日

2016.04.23 関東学院中学校高等学校オーケストラ部 第9回定期演奏会

横浜みなとみらいホール 大ホール

● 関東学院中学校高等学校オーケストラ部の演奏会。開演は午後6時。入場無料。
 中高生が持っている可塑性の高さ,何者にでもなりうる可能性。そういうものを小気味いいほど思い知らせてくれる演奏会だった。

● プログラムは次のとおり。指揮は繁下拓也氏(顧問の先生)。
 スッぺ 軽騎兵序曲
 ホルスト セントポール組曲
 レスピーギ ローマの松
 ジョン・ウィリアムズ メドレー
 ドヴォルザーク 交響曲第6番

● あきれるほど盛りだくさん。しかも,「ローマの松」のような大編成の曲が含まれている。
 ドヴォルザークは9番でも8番でもなく,6番。この曲を生で聴くのはこれが初めて。かつ,最後になるのではないかと思う。CDでも聴いたことがない。

● 中高生の管弦楽を聴いた経験はさほどにない。栃木県内では,鹿沼東中鹿沼西中鹿沼高校宇都宮高校,宇都宮女子高校。県外では開成中学校・高校。以上ですべて。
 いずれも,記憶に残る演奏を聴かせてもらっている。が,今回の関東学院の演奏はプログラムの質量においても演奏時間においても,これまでになかったもの。
 まず,「軽騎兵序曲」で驚いた。本格的だったから。

● 弦だけによる「セントポール組曲」。指揮者なしの合奏。指揮者なしでやれることにはべつに驚かないけど,この水準で演奏できることには驚く。
 開演前に中2生によるプレ演奏があった。その際に,繁下先生が,中学校に入学してから楽器を始めた人は手をあげて,と促したところ,かなりの数の生徒が手をあげた。
 が,小学生の頃から始めている生徒も一定割合はいるわけで,数は少なくとも,彼らがいるといないとでは,全体への影響がかなり違うのかもしれない。

● これが1年2年と経つうちに,入学後に始めた生徒の中から,彼らに追いつき追い越す子が出てくるのだろう。
 今回の演奏でもオズオズと弓を動かしている生徒がいる。入部したばかりの新入生だろう。その彼や彼女が1年後にはどうなっているか。先輩たちのように,腕だけではなく身体をいっぱいに使った攻めの演奏ができるようになっているのだろうな。

● 「ローマの松」はピアノ,チェレスタ,ハープ,オルガンも使われる。OB・OGのほかに,賛助出演も仰いだようだった。当然でしょうね。
 中高生がこの曲を演奏するということに驚くわけだが,仕上がりの素晴らしさは,大人のオーケストラに何ら引けを取らない。

● 以上が第1部。15分間の休憩のあと,第2部。ジョン・ウィリアムス メドレー。映画音楽。
 この分野はまったく疎いんだけど,「スター・ウォーズ」や「ハリーの不思議な世界」などだった(と思う)。気持ちよく演奏していたようだ。

● 演奏の前に,ちょっとした寸劇が入った。繁下先生を揶揄しつつ,でもやっぱり先生の指導がいいねという着地点。途中から,繁下さんも重要なキャラクター(?)として登場。
 指揮の最中も目いっぱいの笑顔で生徒たちを見ながら,うまく乗せているふうだった。が,笑顔だけではここまでのレベルに引っぱってこられるはずもない。叱りつける場面も多々あるのだろう。

● 第3部はドヴォルザークの第6番。繁下さん,ここでは燕尾服で登場。これだけの演奏をする奏者を指揮するのだ。燕尾服で違和感はない。
 この曲を選んだのは生徒たちだったらしい。プログラムノートの曲目解説では,ブラームスの影響について言及している。ブラームスの2番との類似性など。
 この解説も生徒が書いているようなんだけど,どうせなら巷で演奏されないやつをやろうぜ,というそれだけで選んだわけでもないようだ。

● この演奏会をもって,高3生は部活を引退するらしい。だいぶ早いんだね,引退の時期が。中1からだから,実質5年。このあとは受験勉強に専念?
 いや,丸5年やってれば早くはないか。中高一貫校でなければ,引退が二度ある。中3の後半と高3の後半。それに比べれば,連続で5年やれるんだから,活動期間は実質的に長くなるな。
 こういうところも中高一貫校のメリットですかねぇ(授業だって,中高が分かれていることから発生しているムダを除けば,5年で中高6年分の教育を施すことは充分に可能だろう)。

● その引退セレモニーもステージ上で行われた。高校生がやることだから,気持ちがこもっている。
 自己陶酔がやや勝ってしまうのは仕方がない。若いとはそういうことだ。陶酔が許されるだけの質量を伴う時間を過ごしてきてもいるのだろうし。

● 利発そうな生徒たちだ。彼ら彼女らの10年後,20年後を想像することはいささか以上に難しいけれども,よほどのことがなければ,それぞれが選んだ進路の途上で立派に役割を果たしているのだろう。
 ただ,よほどのことが起きてしまうのが人生というものなんだなぁ。まさかという坂がたしかにあるんだよ。

● ホールを出たときは午後9時になっていた。これから電車に乗って帰るんだけど,今日中に家に帰り着くのは無理な時間だ。
 が,こういう演奏を聴ければ,まいっか。

● 熊本地震の募金活動も行われていた。おかげで,ぼくもやっと募金に応じることができた。
 本当は募金よりも,この黄金週間に熊本に行って,お金を使ってくるのがいいんだと思うんだけども,それはできないので,些少だけれどもまず募金から。

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