2018年6月30日土曜日

2018.06.30 宇都宮大学管弦楽団 第85回定期演奏会

宇都宮市文化会館 大ホール

● 昨夜に続いて,宇都宮市文化会館。開演は午後6時。チケットは800円。
 曲目は次のとおり。指揮は阿部未来さん。
 ロッシーニ 歌劇「セビリアの理髪師」序曲
 ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番 ハ短調
 ブラームス 交響曲第2番 二長調

● 5月と6月,わりと大学オケを聴く機会が多かった。いずれがアヤメかカキツバタということでもない。わりとわかりやすい差があるものだ。が,下手だからダメだとはぼくは思わない。下手でも気品があるという場合はある(少ないけれど)。
 宇都宮大学管弦楽団はどうかといえば,技術的にもかなり高い水準にあるのじゃなかろうか。

● 作家の伊集院静さんは立教大学の野球部にいた。身体を壊して退部するんだけれども,大学の野球部は高校までのそれとはまったく違ったとエッセイに書いている。大学の授業も午前中に開講されるものにしか出られなかっとある。
 小中学と野球をやっていた少年たちが,まず高校で篩にかかる。高校まで残っていた野球野郎が大学で篩にかかる。だから,大学で残った部員はかなりの猛者で,その猛者たちが切磋琢磨する。

● 管弦楽の場合はどうなんだろうか。おそらく,そうした篩はないだろう。むしろ,大学で楽器を始めた人もいるだろう。
 しかも,講義がある時間帯から練習を始めてしまうわけにもいかないのではないか。うるさいと苦情が来そうだ。防音がしっかりした練習室がいくつもあるなら話は違うけれども,普通の国立大学にそんな恵まれた環境は用意されていまい。

● が,授業にしっかりと出て,自学自習も怠らず,そのうえで残った時間を練習に充てているとも思えない。大学の教室にいた延べ時間よりは,部室なり練習室で過ごした時間の方が長いだろう(そうでもないのか)。
 一人でする練習もあるだろうし,アルバイトもするんだろうから,けっこう以上に忙しく過ごしていると思うんだけど,トータルとして,宇都宮大学の教育学部や国際学部や工学部や農学部を卒業しましたというよりは,宇都宮大学の管弦楽団を卒業しましたという気分が勝るのではないかと想像する。

● ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番。ピアノは米津真浩さん。この人,かっこいい。非常に下世話な感想だけれども,ピアノがチョー巧くてイケメン。モテるだろうな。
 リサイタルの口もかかるでしょうね。演者であれ奏者であれ,舞台に立つ以上はルックスを等閑に付すことは許されない。お客を呼べる要因はひとつでも多く備えていた方がいいに決まっているのだ。
 ザックリとした印象でいうと,東京音大って美女やイケメンの比率が他より高い? コンセール・マロニエで優勝した小瀧俊治さんも東京音大だったし,田母神夕南さんもねぇ。

● その米津さんのピアノに管弦楽も懸命の対応。といって,ピアノに付いていくという感じではない。がっぷり四つ。
 相撲じゃないんだから,基本,ピアノを立てていた。というか,まぁ,立てるしかないでしょうね。米津さんのオーラはすごかった。ということは,がっぷり四つではなかった? いや,あれはがっぷり四つと形容するのが正しい。

● ソリストと指揮者が去ったあと,管弦楽団の奏者が退場するときにも,客席から拍手が起こった。協奏曲でこういうことはあまりない(と思う)。
 もっとも,第1楽章が終わったところでも拍手があったから,拍手が好きなお客さんが多かったのかもしれない。というのは誹謗中傷。あの拍手はそれとは明らかに別種のもの。管弦楽の健闘を称えるものだった。

● ブラームスの2番。聴きごたえあり。小さな事故はあった。だけど,いいんですよ。ほんと,そんなのはどうでもいいと思う。だからあまり気にするなと言いたい。
 そんなことより,攻めてたってことだよね。それが客席に届くんですよ。で,最終印象を決めるのは,そこのところなんですよね。

● 弦の水準の高さはもはや鉄板かと思われた。フルートとオーボエがしっかりしている。他はダメかといえば,もちろんそうではない。
 県内にいくつかある市民オケ,大学オケの中で,最も心躍る演奏を聴けるのが,この楽団かもしれない。将来は知らず,今のところは。

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