2017年12月5日火曜日

2017.12.03 真岡市民交響楽団 第56回定期演奏会

真岡市民会館 大ホール

● 開演は午後2時。今までは夜の開催が多かったように記憶しているのだが,今回は昼間。チケットは500円。当日券を購入した。

● 今回は1階右翼席に座ってみた。大ホールの8割は埋まっていたろうか。1階席はほぼ満席。真岡のような地方都市でも,こうしたオーケストラの演奏会にこれだけのお客が入る。
 入場料がワンコインとしても,これってすごいことなんじゃなかろうか(招待客がけっこういるんだろうか)。真岡だけが特別のはずはないから,日本全国,どこでもそうなのだろう。日本以外にこういう国ってあるんだろうか。

● 曲目は次のとおり。指揮は佐藤和男さん。
 ウェーバー オベロン序曲
 シューマン チェロ協奏曲
 ブラームス 交響曲第1番

● 年2回の定演のうち,今年も春の定演は聴きそびれてしまった。ので,比較対象は昨年の冬の演奏会になるんだけど,変わったのは開催時刻だけではない。コンミスが変わっていた。上保朋子さん。ゲストコンサートミストレスってことなんだけど,次回以降はどうなるんだろう。
 コンミス以外にもメンバーの入れ替えがけっこうあったのかもしれない。

● ソリストの佐山裕樹さんは栃木出身のチェロ界の若き新星。栃木県ってチェロ奏者を輩出するところなんですかねぇ。宮田大,金子鈴太郎,玉川克といるんですけどね。
 佐山さんの演奏を初めて聴いたのは,彼が出場したコンセールマロニエ。彼は高校生だった。その後,もう一度,聴いているので,これが3回目。
 ウットリするしかない。ウットリしすぎて,時々,空想の世界に遊んでしまう。
 アンコールはバッハの無伴奏チェロ組曲第3番から“ブーレ”。静謐きわまる。

● ところで。パンフレット冊子に楽屋話を載せたチラシが挟まっていた。佐山さんをして“やはり本物は違う”と評しているんだけど,ということは,自分たちは本物ではない? 本物でなければ何なのだ? 偽物?
 それでは訊くが,本物と偽物を分けるメルクマールは何だ? 技術? 才能? 彼と自分たちの間には越えられない壁がある? 広くて深い川の左岸に彼はいて,自分たちは右岸にいる?
 音楽に割ける時間? 彼は好きなだけ音楽に時間を注げるのに対して,自分たちはつまらない仕事や雑事に紛れてしまって,音楽に充てる時間を確保するのが難しい?

● そうだとしても,それが何だと言うのだ? ぼくがこういうことを言っていいのかどうかいささか以上に疑問だけど,と言いながら結局言ってしまうんだけど,技術は演奏の重要な要素であることはたしかで,技術なしに演奏は成立しない。そうではあるんだけれども,技術は演奏のすべてではなくて,要素のひとつにすぎない。
 演奏って楽譜を機械的に音に翻訳する作業じゃないでしょ。れっきとした創造行為でしょ。創造であるなら,技術以外に必ずつけいる隙があるんですよ。
 要するに何を言いたいのかといえば,君たちも本物なんだよってことね。しっかりしなさいよ。謙遜はときに悪徳だよ。

● メンバーが替わっても,真岡オケの身上は“一生懸命”。“一生懸命”を見るのは,それ自体が悦楽だ。
 どんなオケでも一生懸命にやっているんだろうけれども,ここの一生懸命さはわかりやすく伝わってくる。今回はオーボエがそれを代表していた感あり。
 ここまでやってくれればね,あえて結果は問うところではない。ってことにはならないけれど,結果にも文句を付けるところはない。
 強いていえば,ブラームスで金管が音を出しすぎると思うところがあったんだけど,それってCDを聴いて作ってしまったイメージがモノサシになっている。CDの録音がリアルとは違っているかもね。じつはこれくらい出すのが正統なのかもしれない。

● 栃木県にはプロのオーケストラはない。群馬には群馬交響楽団があり,茨城には常設ではない(と思う)けれども,水戸室内管弦楽団という途方もない水準の楽団がある。
 だから,栃木にもプロのオーケストラを作るべきだという意見もなくはないんだけど,これだけ日本は狭くなっているんだから,県域にこだわるなんてまったくナンセンスだ。こちらが県域をまたいで動けばいいだけのこと。

● もうひとつ,アマチュアの演奏活動が圧倒的に隆盛なのが日本の特徴で,その水準には端倪すべからざるものがある。
 真岡市民交響楽団もそのひとつで,この演奏を聴いて何らかの不足感を覚えることは,ぼくの場合はあまりないわけだ。
 あとは,オーディオ環境をそれなりに整えて(といっても,今どきだったらミニコンポで充分だと思うが)CDを聴けばいい。聴く人が聴けば,CDからでも充分な情報を拾えるはずだ。
 急いで付け加えておくんだけど,ぼく自身は「CDからでも充分な情報を拾える」人では,どうやらないっぽい。それゆえ,わりと頻繁に生演奏に接したくなるのだ。

● オケのアンコールは,ブラームスのハンガリー舞曲第1番。これで今年が終わってもいいと思った。
 けど,まだ3日だ。予定ではあと9回,聴きに行く。師走で世の人たちは慌ただしいほどに忙しいだろう。申しわけないようなものだけど,ぼくはそれだけ暇なんだな。
 学生の頃は“旗本退屈男”と呼ばれていたんですよ,ぼく。三つ子の魂じゃないけど,そういうのって年寄りになっても変わらんもんだね。

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