2018年12月5日水曜日

2018.12.01 第9回音楽大学オーケストラ・フェスティバル 昭和音楽大学・国立音楽大学・洗足学園音楽大学

ミューザ川崎 シンフォニーホール

● 音大フェス,3日目。この音大フェスは国内で最も上質な演奏を聴ける場ではないかと,本気で思っていたりする。会場まで日帰りできる距離に住んでいることのラッキーを噛みしめている。
 自宅から川崎や池袋に出ることはまったく苦にならない。幸いなことに,電車が好きだ。乗れたうえに,川崎や池袋に移動できるんだから,電車という乗物はじつにどうもありがたい。

● 客席はほぼ満席状態。熟年夫婦が多い印象。ぼくの両隣もそうだった。クラシック音楽のコンサートもそうだし,(ぼくは行ったことがないけれども)歌舞伎のような伝統芸能の公演も,女性客が多いのだろうと思う。男性客が多いのはプロ野球かボクシングの試合くらいのものだろう。
 けれども,クラシック音楽に関する限り,男性客が増えてきたような気がする。一人で来ている男性がけっこう多くなった。どういう理由によるものか。って,ぼくもそうなんだけどね。

● 今回は3大学なので,けっこう長丁場になった。3番目に登場するところは,少し割を喰う。さすがに帰るお客さんが出るので。
 この音大フェスに行きだした頃は,お客さんのかなりの部分がその大学のOB・OGとその家族なのだろうと思っていた。自身の出身大学の演奏だけを聴きにきているのだ,と。そうではない。普通のクラシックファンが,安い料金で高水準の演奏を聴けると知って,これだけの動員になっている。
 そのクラシックファンでも,メインの曲目を3つ聴くのはなかなか大変ということなのだろう。あるいは,開演が15時なので,最後までいると帰りが遅くなりすぎるということかも。

ミューザのクリスマス飾り
● ミューザは,音響,ホール内の動線,スタッフの対応,いずれの点でも,ぼくの知る限り国内最高水準。最も優れたホールだと思う。サントリーホールよりもミューザがいい。
 ミューザがサントリーホールに負けているのは,唯一,場所が川崎だということくらいだろう。向こうは赤坂だもんね。その代わり,北関東から出向く際の便の良さは,ミューザが勝る。駅前という立地も助かる。
 実際,ミューザならサッと行く気がするのに,みなとみらいホールとなると,かすかに億劫さが兆す。川崎なら宇都宮から乗換えなしで行けるのに対して,みなとみらいホールに行くには横浜で乗り換えなければいけない。それも理由かもしれないんだけどね。

● 昭和音大はリムスキー=コルサコフの交響組曲「シェエラザード」。指揮は齊藤一郎さん。
 コンミスをはじめ,各パートのトップは責任重大。で,今年の昭和音大はすごかった。ナイフを入れれば赤い血がバッと噴き出しそうな「シェエラザード」。
 曲中のシェエラザード姫は命をかけてシャリアール王に対しているのだ。その緊迫感と言ってしまってはちょっと違うのだけれど,濃密感がハンパない。説得力のある「シェエラザード」だったと感じた。
 これですよ,これ。これが音大フェスなんですよ。

● 国立音大はチャイコフスキーの5番。指揮は現田茂夫さん。
 今回のぼくの席は3階席の中央。ステージはやはり遠い。が,目線を動かすことなく全体を見渡せる。
 この曲を演奏するために,奏者に要求される運動量が相当なものであることがわかる。この運動量を全員分合わせたら,膨大なものになる。その運動量が演奏にこれだけの起伏を生むのかと思ってみた。

● 洗足学園はバルトーク「管弦楽のための協奏曲」。指揮は秋山和慶さん。
 1日目に藝大の演奏で同じ曲を聴いたばかり。洗足には洗足のバルトーク。曲そのものを自分が受容できているかどうかまだわからない。わからないが,ズシンと来る演奏なのだ。

● ぼくの年齢になると,指揮者の秋山さんが気になる。御年77歳(たぶん)。なのに贅肉などなくスラリとしている。ダンディを絵に描いたようだ。
 指揮者ってほんとに若い人が多い。その理由のひとつが,こうして若い奏者で構成されている楽団を指揮していることにあるのは間違いあるまい。日常,若い学生たちと接していること。それも秋山さんのように,自分が持っているものを若い人たちに伝えるという関係を築ければ理想的だ。

● コンサート会場の客席に座るには申しわけないような恰好で,ぼくは行く。が,今日はぼく以上の人を目撃した。半袖Tシャツに素足にサンダルで来ていた猛者がいたのだ。暖冬とはいえ12月なんだが。
 ともあれ。頑張ろうぜ,猛者君。お互いに,な。いや,頑張らなくてもいいか,そんなところで。つーか,頑張らないから猛者になっているのかもしれないもんな。

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