2019年6月30日日曜日

2019.06.29 立教大学交響楽団 東京演奏会

東京芸術劇場 コンサートホール

● 今夜は日本橋蛎殻町のホテルに宿泊。17時からホテルで飲んでいる。まぁ,何というのかぼく的には優雅な時間だ。それを1時間で切上げて,池袋に向かった。立教大学交響楽団の演奏会があるため。
 いやね,もっと飲んでいたかったし,その後は人形町でラーメンでも食べて,風呂入って寝たいな,とか思ったわけですよ。何もわざわざ池袋に出なくても,と。

● そこを押して出かけてみた。会場に入るときに荷物検査を受けた。大阪でG20が開催されている。その影響がこういうところまで及んでいるということか。
 東京にある立教大学のオーケストラが東京で演奏するのに,なにゆえ“東京公演”なのかというと,立教交響楽団は同志社交響楽団との合同(交歓)演奏会を東京と京都で交互に開催しているらしく,それが京都で行われた年には,東京で“東京公演”を開催する習わしであるらしい。

● 他に定期演奏会もある。けっこうな活動量だ。大学オケの場合は活動量と演奏水準は概ね比例するという法則があって,これは期待が持てると思わせる。
 ただ,学生側の費用負担は相当額にのぼるだろうから,練習とアルバイトで時間が埋め尽くされて,勉強なんぞにうつつを抜かしている暇はないかもしれないね。

● 開演は19時。座席はSとAで,それぞれ1,500円と1,000円。S席の当日券を買って入場。
 曲目は次のとおり。指揮は山上純司さん。
 ボロディン 歌劇「イーゴリ公」より“ダッタン人の娘たちの踊り” “ダッタン人の踊り”
 ドヴォルザーク 交響曲第8番ト長調 
 アンコールはドビュッシー「小組曲」より“バレエ”

● コンミスの躍動感が素晴らしい。その躍動に過剰はない。オケを引っぱるために意図してそうしているわけではない。自ずからなるものだ。
 ヴィオラトップにも注目。静かな闘志(?)を湛えている感じ。ドヴォルザーク8番の第2楽章のフルート独奏にもウットリさせられたし,第4楽章冒頭のトランペットのファンファーレもほとんど完璧だと感じた。
 以上を要するに,尋常ならざる水準にある。すごいぞ,立教オケ。よくぞ「もっと飲んでいたい」誘惑を退けてここに来たものだ。偉いぞ,俺。

● 「もっと飲んでいたい」誘惑は退けたのだが,ともかく飲んでいるわけだ。濃いめのハイボールを2杯飲んでいる(ジョッキでなくて普通のグラス)。演奏を聴く前にアルコールを入れるなんてことは,もちろん,普段はしない。ちゃんと素面で聴く。
 けれども,たいていのホールではワインなどアルコールを供しているわけで,開演前や休憩時間にそのワインを飲んでいるお客さんはけっこういる。
 つまりですね,ほど良く酔って聴くというのもありかなぁと思ったんでした。評論家然として聴くのじゃなくて,まるごと楽しもうとすればこれはいい方法かもしれない。


● 昔の貴族もそんな聴き方をしていたのではないか。アルコールを嗜んだかどうかはさておき,リラックスして聴いていたのでは。
 彼らの多くは今のぼくらより鑑賞眼は確かだったろうと思う。奏者に近い眼力を持っていたろう。それゆえリラックスが功を奏するという面はあったかもしれないにしても,ぼくらもぼくらなりにリラックスを心がけた方がいいのかもしれないやね。

● ただし,条件が2つある。ひとつは,最初からリラックスではダメだということ。素面で聴く回数を重ねてからリラックスに移るのがいい。
 もうひとつは,演奏がダメだとリラックスなんてのは吹っ飛ぶということだ。リラックスして聴いていいのは,いわゆる“いい演奏”に限られる。聴き手にとって“いい演奏”とは何か。定義はない。聴き手がいいと思った演奏が“いい演奏”だ。
 将来,ベルリン・フィルやウィーン・フィルの演奏を聴く機会があったとして,そのときにリラックスで臨めるかどうかまったく自信はないが,心がけとしてはそちらに軸足を置いた方がいいのかもね。

● ともあれ。この楽団の演奏を聴くのはこれが2回目だ。前回はこれほどの驚きを受けたろうか。どうも思いだせない。思いだせないということは,受けなかったということだよな。何を聴いていたんだか。
 大学オケというと,早稲オケと東大オケにはほとんど尊崇の念を抱いているのだが(慶応ワグネルは聴く機会を得ていない),3つめを見つけたかも。かなりの水準だ。一般大学でよくぞここまで。

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