2019年7月23日火曜日

2019.07.14 東京大学フォイヤーヴェルク管弦楽団 第41回定期演奏会

大田区民ホール・アプリコ 大ホール

● 開演は午後2時。入場無料。ただし,チケット制。確たることは言えないけれど,当日券があるとは思わない方がいいのではないか。事前に申し込んでおくのが吉。
 今回はシューベルトの2番とベートーヴェンの3番だった。アンコールがハイドン「驚愕」の第2楽章。指揮は原田幸一郎さん。

● 初めてこの楽団の演奏を聴いたときの,それこそ“驚愕”ははっきりと憶えている。巧すぎる。この楽団はインカレであって,東京大学を冠しているけれども,他大学の学生もいるし,卒業生(社会人)もいる。
 にしても,非音大が主体だ。それでここまで行けるのかという驚き。おそらく,音大を受けていれば合格できた人たちばかりだろう。

● ぼくからすれば,東大に合格するというのも異能なら,楽器を操るのも異能に見える。おまえもやってみろと言われたって,どちらもできない。
 その異能を2つも備えているのだ。“能”なしからすれば,文字どおり自分が形なしに見えるではないか。

● ぼくもそうだけれど,お客さんの過半はリピーターだろう。帝国ホテルの常連さんが帝国ホテルなら間違いないと思うがごとく(もちろん,ぼくは泊まったことがない),この楽団なら間違いないと思っている。
 その期待を裏切ることがない。インカレとはいえ,メンバーの入れ替えは毎年あるはずで,にもかかわらずこの水準を維持できているのは(厳密にいえば年によって波はあるにしても)それそのものが壮観でもある。

● シューベルトの2番は(たぶん)初めて聴くものだ。CDは持っているけれども,聴いたことはない。こういう曲だったのかと思うだけだ。
 が,この初めて聴いたのがこの演奏だったことはラッキーというべきだ。たぶんCDを聴くことになるだろうから。こうして広がりができていく。
 かどうかは,まぁ,こちら次第なんですけどね。4番もこの楽団の演奏で聴いて,同じように思ったんだけど,今のところ広がっていないから。少し,自分に喝を入れた方がいいかもな。

● ベートーヴェンの3番はもう圧巻としか言いようがない。特に第2楽章。葬送行進曲と言いながら,曲じたいにしめやかさはあっても湿っぽさはない。ときに,伸びやかに音が広がっていき,明るさがパーッと盛りあがる。
 むしろ,そこのところが聴きどころではないかと思っているのだが,聴きどころがこちらの期待以上に届いてくるのは,なんとも幸福だ。

● 穴というものがない。三遊間も鉄壁だし,一塁への送球も逸れることがないし,ライトもセンターもレフトも守備範囲が広い。取りこぼしがない。野球にたとえればそいういうこと。
 どのパートも水準が高い。トレーナーのプロ奏者も加わっているのだけど,彼らが引っぱっているという感じでもなく,個々の技量が確かなのだ。互いをちゃんと聴きあっているのは言うまでもない。
 その中でしいていうと,弦,特にヴァイオリンの滑らかさはいったい何事であるか。

● もうひとつ。ここは以前から女性のドレスに色制限がない。黒でなければいけないというんじゃない。ので,赤,青,黄,ピンク,緑などカラフルな装いで登場する。
 以前はウェディングドレスのような白もあったんだけど,こういうところにも流行があるんだろうか,今はおとなしめになっている。
 ぼくなんかは思いっきり派手にやってくれないかなと思う方なんだけども,とにかく目でも楽しめるわけなのだ。眼福とはこういうことを言う。

● 入場は無料だけれども,カンパを募る。アマオケの入場料なんかを勘案して,千円札2枚と決めている。ケチくさいこと言ってないで,万札2枚しろよ,ってか。実際,千円札以外の札を入れている人もいた。
 年2回の定演のどちらにも行けるんだったら,賛助会員になってしまうのが正解だと思う。ぼくは冬の定演が厳しいので,その都度払いにしてるんだが。

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