2019年11月12日火曜日

2019.11.03 東京フィルハーモニー交響楽団演奏会「ブラームスはお好き?」Vol.3

宇都宮市文化会館 大ホール

● 地元出身の大井剛史さんが東京フィルハーモニー交響楽団を指揮する「ブラームスはお好き?」の3回目。ブラームスの4つの交響曲を1番から順に演奏していく。今日を除けば,残りあと1回になった。
 ブラームスの前は,チャイコフスキーの後期交響曲3つについて同様の演奏会があった。ブラームスの後も継続されるのかもしれない。

● その場合は,誰を取りあげるんだろうか。ニールセンなんか面白いのじゃないかと思うんだけども,公立ホールの主催となると,あんまり尖った企画にはできまい。
 今さらベートーヴェンでもなかろうしなぁ。ぼくとしてはブルックナーなんかやってもらえると嬉しいんだけども,毎年ひとつの交響曲を取りあげるんじゃ,少し以上に息の長すぎる企画になってしまう。

● 開演は午後4時。ぼくのチケットはB席で2,000円。2回左翼席の前の方で,ここがBとはありがたい。Sでもおかしくないと思う。オーケストラの全体が見える。
 このチケット,6月16日に宇都宮駅東のファミリーマートの機会を操作して買っている。いい席をと思うならできるだけ早く買った方がいいということもある。Sでも限りなくAに近いSがあり,Bでも限りなくAに近いBがある。

● もうひとつ,行けるか行けないか予定がハッキリしないからという理由で買わないでいるのは最も良くないと思っているからだ。
 行きたいと思ったのなら,予定不明でも買っておいた方がいい。そうしておいた方が行ける確率が高くなるような気がしている。確たる根拠はないのだが。

● 曲目は次のとおり。
 悲劇的序曲
 ヴァイオリン協奏曲 ニ長調
 交響曲第3番 ヘ長調

● ヴァイオリン協奏曲のソリストは神尾真由子さん。チャイコフスキー国際コンクールの覇者。
 今回の白眉はこのヴァイオリン協奏曲だった。神尾さんのふてぶてしいほどの迫力というか押し出しに満ちた所作が,ステージと客席をほぼ完全に支配した。自らを矜む気持ちの強さというかな。
 彼女にとってはこれが普通なのだろうな。これくらいで驚いてちゃダメよ,と言われるかなぁ。宇都宮でこの演奏を聴くことができた幸せを噛みしめておりますよ。

● ブラームスの3番は比較的,演奏される頻度が低いかに思えるけれども,ブラームスらしい質量に満ちた大曲。
 演奏しているのが東京フィルハーモニー交響楽団なんだから,何の文句もあろうはずがない。毎回思うことを今回も思った。団員の平均年齢がだいぶ若い。

● 今どき,プロの奏者になるような人,いや音大に進むような人っていうのは,幼少の頃から楽器に親しんできたに違いない。ぼくはひと筋の道に精進した人,職人というイメージを持ってしまうのだが,実際のところはどうなのだろう。
 どうなのだろうというのは,“ひと筋の道”は道として持ちながら,広い世界を確保してきた人も多いのかなという意味なんだけど。

● 彼らの演奏を聴きながら,同じように3歳や5歳で楽器を始めても彼らのようになる人とならない人がいるのは,なぜなんだろうなと思ってみた。
 で,次のような問題を自分に出してみたくなった。解答案は今のところない。
 超の付く一流と並の一流を分けるものは何だと思うか。各自,思うところを千字以内で記せ。ただし,次の語句を用いてはならない。 1 才能 2 環境 3 英才教育 4 運
● 大井さんの端正な所作も見所でしょ。指揮はたぶん所作だけで行うものではないのだが,客席からは(P席でもない限り)指揮者の表情は見えない。見えるのは所作だけなので,“所作=指揮”になりがちだ。
 しかし,まぁ,それで当たらずとも遠からずだろう。所作と表情が乖離するとは考えづらいのでね。

● というわけで。価値ある2千円,価値ある2時間。
 ちなみに,神尾さんのアンコールはパガニーニ「24の奇想曲」。オケのアンコールはハンガリー舞曲第4番。

● ところで。終演後,ちょっと近くをウロウロしてから宇都宮駅に向かうバスに乗ったんだけど,そのバスに大井さんも乗ってきてね。あれっと思った。
 車で移動しているのかなと思ってたもんで。指揮者のイメージってそうなんですよね。カラヤンにしてもカルロス・クライバーにしてもスピード狂。どこへでも自分で運転して行ってしまうというイメージ。
 常に必ず車とは限らないってことですか。にしても,主催者が駅まで公用車で送るってのもなしなのか。大井さんがその申し出を断ったのか。
 ともあれ。今日は新幹線で帰京して,明日はまた明日の現場に向かうのだろう。流れ渡世の職人のようだな。

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