2021年6月30日水曜日

2021.06.30 間奏68:電子チケットの普及

● コロナ禍でリモートワークが一気に導入された。もしコロナなかりせば,満員電車での通勤があたりまえの状態が続いていただろう。十年一日の如くに,だ。
 満員電車の地獄は首都圏のサラリーマン以外は実感できないから,これをどうにかしろという国民の声にはなりにくい。企業にとっても,兵隊以外の役職に就いている人たちにとっては,従来の一所集中型の方が管理が楽だから,企業側からリモートワークの推進が提唱されることもあり得ない。
 しかし,コロナが否応なしにリモートワークを推進した。

● 満員電車での通勤がなくなるとこれほど楽になるのか,と驚きをもって迎えた人もいるだろうし,嫌な上司や同僚と顔を合わせなくてすむようになったと喜んでいる人はさらに多いだろう。
 企業にしたって,リモートワークが始まってみれば,これほどのメリットがあったのかと驚く向きもあるだろう。
 都心部のオフィスの借上代が要らなくなる。社員に通勤手当を支払う必要がなくなる。役立たずの中間管理職(大量にいるはずだ)を炙りだしてリストラできる。コスト削減効果が大だ。
 社内行事の大半も要らなくなる。もともと要らなかった儀式だが,やらずにすませる大義名分ができた。
 一所集中のメリットももちろんあるので,リモートワークがメインストリームになることはないだろうが,リモートワークでやれることがわかっただけでも,大きな前進だ。

● そうしたコロナのプラス面はコンサートの開催においても現れている。電子チケットが普及したことだ。これもコロナが強制的に普及させた。
 紙チケットを廃止し,事前購入を原則とすることによって,現金と紙チケットの授受をなくさせる。
 当日の朝でもチケットを買うことができるから,当日券をなくしても,販売機会の逸失は最小限にとどまる。
 事前に連絡先を把握することができるから,受付時の情報収集作業は要らなくなる。

● チケット購入者のメールアドレスがわかるのだから,以後のプロモーションに活用できる。次回の演奏会を告知できる。これほど集客効果がある告知手段はたぶんないだろう。
 ついでにいえば,住所までわかるのだから,自分たちの商圏(?)がどの程度の広がりを持っているかも把握できる。
 入場者数も,チケット購入者のうち誰が来て誰が来なかったかも,正確にしかも自動的にわかる。このあたりは入場時に電子チケット(QRコード)をちゃんと読み取った場合の話だが(それをやらないところもある)。

● 催行者にとっても観客にとっても,電子チケット化のメリットは大きい。観客にとってはもう1つ,大きなメリットがある。発券手数料やシステム利用料を支払う必要がないことだ。
 アマチュアオーケストラの入場料は2,000円どまりだろう。それで手数料が330円というのは暴利だ,と感じる人は多いのではないか。
 というわけで,【teket】は “ぴあ” を過去のものにした感がある。というか,“ぴあ” を駆逐して欲しい。

● もう紙のチケットにこだわる時代じゃないと思うのだが,コンサートに行くとか美術館に行くとかは,誰にとっても非日常であって,そうであれば紙のチケットは記念品になる。手帳に貼って保存しておきたい,だからチケットは紙の方がいい,と考える人も多いだろう。
 そういうのがチケットの電子化を阻害する理由の1つになりそうだが,電子チケット側がこうした需要にも対応していく流れになるんだろうか。味も素っ気もないQRコードではなく,チケット然とした電子チケットで運用するようになるとかね。どうしても紙という人は,スマホから印刷してね,と。

● が,電子チケットといっても,全く使えない業者もある。“Ticketta!” がそれだ。
 クレジットカードが使えない(VISAとMasterに対応していないんだから,使えないと言っていいだろう)。代金を払うためにコンビニや銀行に行かなければならない。
 電子チケットなのにネット内で完結できない。電子チケットのメリットが何もない。笑い話以前だ。呪いたくなるほど面倒だ。リアルが介在するのだから手数料も発生する。

● “Ticketta!” を使っているところのコンサートには行かない,と決めた。おそらく,今後は,こうしたことも行く行かないを決める選別要因になってくるだろう。
 願わくば,コロナが収束した後も,電子チケットが本流であってくれますように。“ぴあ” などという迂遠なやり方を強制してくるシステムを,過去の遺物にしてくれますように。


(追記 2021.11.13)

● 東大オケの第107回 定期演奏会の通知が届いた。来年1月30日,東京芸術劇場。曲目はショスタコーヴィチの5番ほか。
 チケットの購入は “Ticketta!” からになっている。“Ticketta!” を使っているところのコンサートには行かない,と決めたのだけれども,東大オケが演奏するショスタコーヴィチは聴いてみたい。

● ので,“Ticketta!” のサイトから購入手続きに入ったんだけども,途中で腹が立ってきた。結局,買わない(行かない)ことにした。
 電子チケットなのに手数料を200円取る。どういうことなのかわからない。加えて,依然としてクレジットカードが使えない。コンビニか銀行で支払うことになる。銀行は論外だからコンビニということになるのだが,ここでまた190円の手数料が発生する。

● ここまでで手数料は “ぴあ” を上回る。“ぴあ” は紙チケットの発行を前提にしたシステムだ。電子チケットなのに,“ぴあ” を上回る手数料を取るのははっきり暴利だ。
 紙チケットにも対応しているのだが,その場合はさらに300円が上乗せされて,690円になる。

● チケットは2,500円(S席)なのだが,その本体価格に対して690円の手数料を取れると考えている時点で,“Ticketta!” は素人が運営しているのだと推測するしかない。
 その分,催行側から徴収する料金は安くなっているんだろうか。

● 実装の仕方にも抜かりがある。入力して送信するのに,この内容で送信していいかと訊いてこないで,いきなり送信してしまう仕様になっている。キホンのキができていない。
 システムができそこなっている(としか思えない)。悪い意味で素人性が濃厚にある。

● ひょっとすると,大学オケの連合団体のようなものがあって,そこが傘下の大学オケの催行負担を軽減するとかいう名目で作ったものなのだろうか。
 だとすると(あくまでも,だとすると,だが),存在自体が不要なものだ。互助会的なるもの,協同組合的なるものは,もう時代についていけないお荷物でしかない。
 そういうものを新たに作るのはそもそもが間違っている。プロがいるのだから,プロに委ねればよい。美味しそうだから自分たちでやろう,とすると,かえってコスト高にならないか。


(追記 2021.12.13)

● “Ticketta!” がVISAとMaster のクレカに対応していた。ので,チケット代金の1割弱の手数料を払うだけでよくなった。
 これならば,とりあえずは相手にしてもいいと思う。26日夜の某楽団の演奏会のチケットを購入した。

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