● こういう時期なので,演奏会が中止されることがある。すると,ホールのスタッフからチケット代払戻しの連絡が来る。去年の4月にも数件あった。また,同じ状況が生まれている。
クラシック音楽の演奏会においては観客は喋らない(ことになっている)。そういうところでは,満席にして催行してもクラスタは発生しないことがこれまでの経験からわかっている。
● だから,中止したり延期したりする必要はない。なのになぜ中止になんかするのかね。君たちは学習するということを知らないのかね。
と言い放つことは,もちろんできない。現実は複雑だ。複雑なものを1つの理屈で一刀両断にして恥じない者をバカという。
致し方がないのだ。中止を決めた主催者が最も無念さを噛みしめているのだ(たぶん)。
● けれども,払戻しを受けるためだけにわざわざホールに出向くのは耐え難い煩雑となる。払戻しを受けるよりは,そのまま寄付してしまいたい。
のだが,どうもそれはやってはいけないっぽい。連絡されたのに行かないと,ホールからまた連絡が来そうで。つまり,さらに手間を取らせることになりそうだ。
ので,緊急事態宣言が出される中,払戻しを受けに行ってきた。こういう時期には前売券は買わない方がいいのか。でも,それも何だかな。
● コロナ禍の演奏会は,有料無料を問わず,事前予約制を取るところが多い。そこでにわかに増えてきたのが,電子チケット販売サービスの【teket】だ。
何度か利用して,これは便利だと思っている。買い手にとって,メリットが4つある。
1 手数料がかからない。代金だけの支払ですむ。
2 当日でも購入できる(午前9時頃までか)。
3 コンビニに行って紙のチケットを受け取る手間を省ける。
4 公演が中止になった場合の払戻しが簡便。買い手は何もしなくていい。
● 売り手(主催者)にとっても,現金の授受とモギリを省略できる,緊急時の連絡先も把握できる,誰が来て誰が来なかったのかもわかる(そこまでチェックするところはないだろうけど)といったメリットをもたらす。要するに,楽ができる。
受付の際にQRコードを読み取るのが面倒だが,おそらく時間が解決してくれるだろう。簡単に読み取る工夫がさなれるはずだ。
● チケットの役割は,この人はこの演奏を聴く権利を取得した人だと証明するところにある。その証明ができるのであれば,紙である必要はない。電子記号でよい。
ひょっとすると,紙のチケットを記念品やコレクションアイテムと見る人もいるかもしれない。記念写真と同じようなもので,アルバムや手帳に貼ってとっておきたいという人。
それでも,コロナ禍がこの先も続くのであれば,そういう懐古趣味を押し流して,チケットの電子化は進むに違いない。
● “ぴあ” の殿様商売を脅かすところまで育ってくれると面白くなる。ぴあ を使うと,システム使用料と発券手数料で,1枚のチケットを買うのにチケット代のほかに330円が必要になる。
ぴあ が登場したときには,便利になったと拍手喝采されたに違いないと思うのだが,もはやこれは時代に取り残されたサービス形態になった。紙にこだわることを利益の源泉にしている時点で化石化が始まっている。
● そうしたコストと無駄を削ぎ落としてくれる【teket】のようなサービスが,コロナ禍を機に定着してくれるといい。コロナもマイナスばかりではなかったということになってくれるからだ。
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