大田区民ホール・アプリコ 大ホール
● マイクロソフトにはお世話になっている。MS-DOSの時代からマイクロソフトのOSを使ってきた。富士通のFM-TOWNSでMS-DOSと格闘していた頃がなつかしい。
以来,現在までずっとWindowsを使っている。WordやExcelも,仕事ではもちろん,プライベートでもなくてはならないソフトになっている。
● 成功しすぎたためか,マイクロソフトがひとりでIT業界の悪役をかっていた時期もあったし,Windowsがダサさの象徴のように言われていた時期もあった。
Windowsなんてドブネズミのサラリーマンが使うもの,ちょっと気がきいた人やクリエイティブな生き方を指向する人なら,MacやLinuxを使うものだよ的な言われ方もした。
正直にいうと,ぼく自身もMacに憧れた時期はある。PowerBookって圧倒的に格好良かったからね。けれども,結局はWindowsを使い続けた。
● 昔はパソコンが夢を与えてくれた。パソコンがあれば生産性が飛躍的にあがる,できるビジネスマンになれる,秘書を3人付けたようなもの,とかね。だから,Macに替えたら自分の生活が変わるかもしれないという夢想に浸ることもできた。
けれども,今やパソコンはあたりまえの道具になってしまったよね。誰もがパソコンを使っているしね。
間違いなくぼくもインターネットの恩恵を受けている。こんな駄文を見知らぬ何人かの人に読んでもらえるのも,インターネットのおかげだ。それに,ぼくが聴く楽曲はすべてパソコンのハードディスクに収まっているわけで,パソコンを取りあげられたら相当な打撃を被ることになる。
それを承知で言うんだけれども,インターネットもパソコンももう夢は見させてくれないよね(夢の多くが実現されたのだともいえる)。
● だからというんじゃなく,これからもWindowsを使い続けると思う。だって,別段,不満はないもの。
パソコンはThinkPadを使っているんだけど,とても気にいっている。ThinkPadでWindowsを動かすというスタイルでいい。
● そのマイクロソフトの社員ってどんな人たちなんだろう? 毎日お世話になっているソフトをどんな人たちが開発してるんだろう? っていう好奇心から,5月6日に開催されたマイクロソフト管弦楽団の演奏会に行ってみた。
場所は大田区民会館アプリコ。開演は午後1時半。入場無料。
● 「どんな人たちなんだろう?」といっても,特にデジタル顔(どんな顔だ?)というわけもなく,礼儀正しい人たちだった。団員の全員がマイクロソフトの社員というわけでもないらしいのだが。
団員の平均年齢は若い。おそらく30歳代の前半。マイクロソフトの社員じたいの平均年齢もそんなに高くはないんだろうけど。
男性奏者が多いのも特徴。1stヴァイオリンでも男性の方が多い。そういうアマオケって珍しいのじゃあるまいか。
● ファミリーコンサートと銘打っているとおり,観客の年齢制限はなし。
また,進行はプログラムに語らせて,楽団は無言で演奏するというスタイルではなく,司会者(三輪田真澄さん)がいて,これから演奏する曲を紹介した。指揮者の山口琢也さん(マイクロソフトの社員であるらしい)も参加して,サービス満点の演出。
● 曲目は次のとおり。
ベートーベン 「エグモント」序曲
メンデルスゾーン 序曲「フィンガルの洞窟」
モーツァルト フルート協奏曲第1番
ニールセン 交響曲第2番「4つの気質」
● 「エグモント」序曲の演奏が始まった瞬間に,この楽団の実力が並々ならぬものであることが理解できた。指揮者の山口さんは,なんといったらいいのか,マイクロソフトの社員ってのは仮の姿で,本業は指揮者なのじゃないかと思えるようなオーラがあった。
モーツァルトのフルート協奏曲のソリストを務めたのは,団員の土屋伸一郎さん。高校生の頃からフルート吹きとして全国に知られる存在だったらしい。たまたま頭も良かったので,音大ではなく東大に進んだんでしょう。
プログラムによれば,「日進月歩のIT業界においては,休日と言えどもなかなか全員が揃って練習することもままならず,今回も少ない練習回数の中でアマチュアオーケストラではなじみの薄いニールセンの独特の語法に慣れるのも大変苦労した」らしいのだが,それでもこの曲をここまで仕上げてくるのは,地力があるからだろう。ある,というよりも,その地力がハンパナイんですね。
● マイクロソフトといえば,たぶん日本でも有数の知的水準の高い社員が揃っているんだろうし,相当なハードワークを社員に課しているに違いない(と,部外者は想像する)。
指揮者の山口さんにしても,フルートの土屋さんにしても,この管弦楽団以外にも活発に音楽活動を続けている。ハードワークをこなして,そのほかにこれだけの音楽活動もできるってのは,ぼくなどには驚きでしかない。世の中に才人というのはいるものだ。
● 生命活動が活発というか旺盛というか。もって生まれたものなのか,何かコツがあるのか。おそらく前者なんでしょうね。
彼らの所作を見ていると,旺盛な生命活動を支えるもののひとつは集中力ではないかと思われた。ひとつのことに深く入りこむというのはもちろんだけれど,引きずらない,切り換えるってことが巧いのではないかと思えたんですけどね。
この演奏会にしたって,たぶん引きずらないのだろうな。パッと切り換えて仕事に戻るのだろう。
● この演奏会,毎年満席になるらしいのだけれど,今回は空席が目立った。黄金週間の最終日ってのが効いたかもね。
山口さんが立ちあげた Klivia Philharmoniker という楽団がある。昨年12月にはリムスキー=コルサコフの「クリスマス・イヴ」とストラヴィンスキーの「バレエ音楽 火の鳥」,さらにマーラーの交響曲第1番を演奏している。これでチケットは1,000円。次回は8月。行かずばなるまい。
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