2013年10月15日火曜日

2013.10.13 マロニエ交響楽団第2回定期演奏会

宇都宮市文化会館 大ホール

● マロニエ交響楽団の2年ぶり,2回目の演奏会。2年前の清新な印象はくっきりと残っている。今回はオールロシア。ショスタコーヴィチ「祝典序曲」,ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番」,チャイコフスキー「交響曲第4番」。

● 開演は午後2時。チケットは1,000円。当日券を購入。指揮は北原幸男さん,ソリストは広瀬悦子さん。これを1,000円で聴けるというのは,何ともお得。
 なんだけど,客席の半分は空いていた。この時期は地方でも同じような催事が重なるからね。お客さんが割れてしまう。この日は県総合文化センターでもけっこう惹かれるのがあって,ぼくもどちらにしようか迷ったから。
 これが1日でも違うと状況がまるで変わったりもするんだけど,企画の段階でそんな競合状況はわからないもんなぁ。運もありますね。

● 前回のメンバーがほぼ維持されている感じ。メインは宇都宮大学管弦楽団のOB・OGの俊英たち。
 プログラムに載っている代表者あいさつによると,練習期間は6ヶ月。

● これまたプログラムの曲目解説によれば,「祝典序曲」は数日で作曲したものらしい。この時点でスターリンはすでにこの世にいなかった。とすれば,ショスタコーヴィチは命の心配をする必要はなくなっていたろうから,清々しかったというか,明るい日ざしが射しこんできたような気分だったかなぁ。
 危なげのない演奏でスタート。

● ラフマニノフのピアノ協奏曲っていうと,昨年11月に聴いたキエフ国立交響楽団の演奏を思いだしてしまう。あのときのピアノはウラジーミル・ミシュク。演奏したのは第2番だったんだけど,オケとピアノがかみ合わなかった。ザラッとした感じが残ってしまった。
 で,今回の第3番の方がずっといいと感じた。心地いいんですよね。ステージから客席に伝わるものの質量って,技術だけでは決まらない。

● 広瀬さんのピアノから感じたのは,まずパワー。ほんとに女なのかよ,っていうかさ。パワーできっちり主役を張る。
 これだけのビッグネームをソリストに迎えても,当然ながらというか,管弦楽に臆したところはない。自分たちの仕事をした。木管がそれぞれに奮戦健闘。
 あるいは,ソリストに引っぱられたってところもあるのかねぇ。この曲はソリストにとってもオケにとっても相当な難曲なんだろうけど。

● チャイコフスキーの4番。この曲を生で聴くのはこれが4回目になる。曲はまず聴くのがいいと思っている。予備知識を持たないで,まず聴いてみること。曲目解説を読むのはその後でいい。
 けれども,4回目ともなれば,たんに聴くことを繰り返してるのは逆にねぇ。で,プログラムの曲目解説をじっくり読んで,なるほどこういう曲なのか,と。ストーリーとか背景が頭に入ると,それなりの聴き方ができるのかも。
 が,このあたりはよくわからない。正しい聴き方なんてのがあるとも思えないし。曲に自分が寄り添うんじゃなくて,曲を強引に自分に引き寄せて聴く,っていうのもありそうな気がしている。

● 指揮者の北原さん,紳士ぶりが堂に入っている。女性ソリストの送迎とかね。こういうのって簡単にできそうで,なかなかできないものじゃないですか。どっかでギクシャクが出ちゃうっていいますかね。
 そこを見事なエスコート。もっとも,あの体型とあの顔だからこそ,かもしれないんだけどね。

● 次の演奏会はいつになるんだろうか。急ぐことはない。ゆっくり進めばいいと思う。

8 件のコメント:

  1. 数ある被ってしまった演奏会から、この演奏会を選んでいただきありがとうございましたm(_ _)m

    前回に引き続きありがとうございます!

    今回は私も驚いたくらいの良い演奏会となりました。ラフ3をあのクオリティで届けられたなんて夢のようです。

    是非次回もよろしくお願い致します。
    (おそらくまた2年後ですかね、、)

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    1. 2年後ですか。了解しました。

      ほとんど同じメンバーで構成されている別の楽団がありますが,カラーはけっこう違うような印象があります。
      このあたり,不思議なものですねぇ。っていうか,それが当然なのですかね。面白いものだと思います。

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    2. カラーの違いを感じとって頂いて非常にありがたいです。

      その団体とは、たまたま時同じくして立ち上がってしまい、コンマスも含めこちら側も戸惑ってしまった感は否めません。
      違うメンツでとお願いしてもダメでしたので、、、

      その中で違いを出すために私達はコンセプトをしっかり持ってやってますので、それが少しでも伝わっていると思うと非常にありがたいです。

      演奏会を開くことを目的とせず、あくまでアンサンブルの向上を目指してプレイヤーとお客様が音楽を楽しむことを目的として演奏会を開く。

      そのためにも少し間が必要なのです。スパンが短いとどうしても演奏会を開くことが目的となりがちなので、、、

      嬉しくて長くなってしまいました。失礼しました。

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    3. 演奏会を開催することを第一義とはしない,ということですね。
      その方向で団をまとめていくのは大変なことも多いと思うのですが,どうぞ着実にゆっくりと進んでください。

      部外者の勝手な想像では,どうしたって練習より試合の方が面白い,試合をしたがる団員も多いのではないか,と思うのです。
      この水準に達していると,もうその段階は通過しているのかもしれませんが。

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  2. ありがとうございます!

    そうなのです、その方向でまとめるのは大変なのです、、、

    演奏会をただ開催するのであれば、そんなに難しいことではありませんからね。

    試合ももちろんですが、練習に価値を見い出せて、積み重ねた上で試合に挑むことに喜を感じる方がどんどん増えてほしいですね。
    (徐々にですが、例のオケとはメンバーが変わってきてますよ、ほんと徐々にですが)

    だからこそ、希少価値のある試合を開催できるのかなと思います。

    着実に進んでいけるよう頑張りますね!そして極上の試合をお届けします!

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    1. 練習でアンサンブルの精度をあげ,できればそこに生気まで吹きこんで,その成果を演奏会でお客さんに提供する。
      その提供行為じたいが,団員にとって最上の練習の場にもなる。
      さらに,お客さんからの正当な評価が団員の背中を押す。
      そうした円環ができれば理想的なんでしょうね。言うは易く行うは難しの典型でしょうけど。

      あまり頑張りすぎないでくださいね。
      わずかづつ,でいいのではないでしょうか。
      団員の皆さんはその潜在力をお持ちだという印象も受けますし,それぞれ仕事や家庭や,人には言えないアレやコレを抱えているのでしょうし。

      以上,また部外者が勝手なことを申しあげました。
      どうぞ,ご自愛ください。

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  3. 私も伺いましたよ。よい演奏でしたし、素晴らしいソリストでしたね。確かに、ソリストが引っ張ってくれた感もありました。余裕の演奏でしたね、ピアニストは、、。金管が、練習しすぎたためか、チャイコの出だしで苦しそうでしたが、大曲ですから、そういう事もありますね。宇都宮は、いくつもアマチュアオーケストラがあって、文化レベルが高いな、と感心して帰ってきました。広瀬のCD二枚も買ってしまった。(^_^)

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    1. おっしゃるとおりだと思いました。広瀬さんは,何というか,プロだなぁ,と。

      管弦楽もあっぱれで,アマチュアでここまでやってくれれば,まずもって文句のないところです。
      次を楽しみに待てる楽団だと思います。

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