2013年10月26日土曜日

2013.10.25 上田京&恵谷真紀子とドイツの仲間たち in 宇都宮

栃木県総合文化センター サブホール

● 総合文化センターを所管する「とちぎ未来づくり財団」が無料で催行した「室内楽入門コンサート」。開演は午後2時。

● ピアノが上田京さん,ヴァイオリンがフローリン・パウル氏,ヴィオラが恵谷真紀子さん,チェロがクレメンス・ドル氏。錚々たるメンバーで,「入門」には最適というか贅沢というか。
 曲目は次のとおり。アンコールのヨハン・シュトラウス「春の声」を含めて,休憩なしで75分のコンサートだった。
 シューベルト 弦楽三重奏曲 変ロ長調
 ベートーヴェン 弦楽三重奏曲 セレナーデ(マーチ,アダージョ,メヌエット)
 ハイドン ピアノ三重奏曲 ト長調(第1,3楽章)
 メンデルスゾーン ピアノ三重奏曲 ニ短調(第1楽章)
 モーツァルト ピアノ四重奏曲 変ホ長調(第1楽章)
 ドヴォルザーク ピアノ四重奏曲 変ホ長調(第1楽章)

● 「入門」のゆえんは,上田さんの解説が付いたこと。慣れているんでしょうね(大学でも教えているらしいし)。テキパキとした説明だった。
 まず,シューベルト。肩の力の抜けた余裕ある演奏。名手の熟練の技といったところ。この音に乗って,砂浜でも野原でも林でも,好きなところをフワフワと飛んでみたい,っていうかね。
 もっというと,この演奏を聴きながら居眠りしたら,これすなわち至福だろうなあ,と思った。でね,ぼくの前の席の爺さんはずっと寝てたんだけど,皮肉でなく,この演奏会を最も効果的に活用したのは,この爺さんじゃないか,と。

● ヨーロッパの男性二人に挟まれた恵谷さん。彼女自身も向こうの人っぽく見えた。タッパもあるし,彫りの深い顔立ちだしね。ほんでもって美人。20代の頃はモデルさながらだったのではないでしょうかねぇ。さぞやと思わせる。誘惑も多かったんじゃないかと思うんだけどな。
 って,まぁ,こういうところに気が行ってしまうところがねぇ,なんだかな。

● ベートーヴェンのこの作品は,彼が27歳のときのものですか(当時の27歳はもう立派な完成した大人の年齢かもしれないけど)。この部分に若気のセンチメンタリズムが窺えるとか,まぁ言おうと思えば言えるんだろうけどね,そうしたことって天才にはあんまり関係ないっていうかさ。

● 上田さんの解説にもあったんだけど,室内楽の室内ってのは,もともとは王侯貴族の邸宅だったわけですね。でさ,当時の王侯貴族ってのは,相当以上に通だったんだろうなぁと思いましたね。音楽の鑑賞水準がかなり高かったに違いない。
 こうした曲を楽しめたんだからね。ぼくなんかは半分勉強って気分があるけど,これを単純に(もしくは純粋に)楽しめるって,だいぶすごいぞ。

● ハイドンはあまり聴くことのない作曲家。メンデルスゾーンも「スコットランド」とヴァイオリン協奏曲だけの人じゃないんだなぁ,ってことね。
 弦楽重奏じたい,あまり聴かないジャンルで,自分が聴く曲の少なさ,偏りを思い知らされる。気がつくと,ベートーヴェンの交響曲とか,すでに馴染んでいる曲を聴いちゃってるね。
 そこに居直っちゃおうとも思うし,それじゃまずいよなぁとも思うし。で,今回のような演奏を聴くと,まずいよなぁっていう方に針が振れる。

● このまずいよなぁって気持ちが持続してくれるといいんだけどね。しばらくストイックになって,この分野だけを聴いてみることにしようかねぇ。
 交響曲だの協奏曲より,こっちの方が元祖っていうか,音楽の始原に近い形のものだろうしね。個々の楽器の音色の味わいもくっきりとわかるし。

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