2014年6月23日月曜日

2014.06.21 ベルリン交響楽団 ベートーヴェン・交響曲チクルス-1

栃木県総合文化センター メインホール

● ベートーヴェンの交響曲は,最も演奏される機会の多い曲群。のみならず,CDでも気がついたらベートーヴェンを聴いていたってことも,けっこうな割合である。
 バッハでもモーツァルトでもなく,ベートーヴェンに向かう性癖がありますね。ぼくの場合は,ですけど。
 どれかひとつを選べと言われれば,9番の第1楽章。ぼくの場合は,ですけど。

● ベルリン交響楽団はちょうど2年前に同じ会場で聴く機会があった。今回は2日間で9つの交響曲を演奏する。
 まずは,その1回目。チケットはS席で5,000円だけれども,複数回の通し券だと4,000円になる。4回に分けて演奏するから,全部で16,000円。開演は午後2時。プログラムは別売で1,000円。

● ちなみに,7月にはサントリーホールでも演奏するんだけど,そちらは単公演で11,000円。曲目も違うし(及川浩治さんがソリストで登場する),サントリーホールと栃木県総合文化センターを同一に論じるわけにはいかないとしても,だいぶ安い。
 観客が負担してしかるべき分を公費で出してくれてるんでしょうね。その恩恵はありがたく受けることにして,4,000円で入場。

● 2年前は,正直,若干の不燃焼感が残ってしまった。今回はどうか。お手並み拝見。
 まずは選手入場。コンマスをはじめ,見覚えのある顔がいくつかあったけれども,メンバーの交代もそれなりにあるようだ。

● 指揮者はリオール・シャンバダール。この人は一度見たら絶対に忘れない。他の追随を許さない体型の持ち主だから。お相撲さんか。指揮台に上がるのに階段が設けられていた。
 しかし,その体型を含めて,所作がとても絵になる男だ。

● 1回目は1番,2番,5番の3曲。1番が始まってすぐに引きこまれた。すっと立ちのぼる香気。
 その前のチューニングでのオーボエの音色。並みの奏者じゃないことはすぐにわかる。
 オーボエもフルートも開始後すぐに長いブレスを強要される。どうやって吹いているんだろうと不思議に思えるほどに切れ目がない。どうやっているのだ。

● 会場の空気を切り裂いてこちらに届く音の連続を聴きながら,こっちがドイツに出向いて,こいつらの演奏を聴かなきゃダメだと思った。今の時期の日本の重くて湿った空気じゃなくて,ドイツの冷たくて乾いた空気(イメージで言ってるんだけど)の中で聴いてみたいと思った。

● 1番を聴いた時点で,この楽団に対するこちらのリスペクトは完成した。この先は,手玉に取られた猫さながらの状態で聴くことになった。
 2番。重いところはドスンと重く,軽やかなところでは席を立ってスキップしたくなるような軽妙感。軽やかさってモーツァルトの専売特許じゃないんだな。人生と哲学を持ちこんで音楽を重くしたと言われるベートーヴェンにも,なんとも浮きたつような軽みがある。そういう部分がある。

● 5番。第4楽章まで出番のないピッコロとトロンボーン。トロンボーンは後ろの方に並んでいるからまだ救いがあるけど,ピッコロ奏者は辛くない? 前後左右がバンバン働いているのに,自分だけジッとしてなくちゃいけないってのはなぁ。
 奏者はけっしてそんなことはないのかもしれないけれど。4楽章に入ったらその瞬間から暴れてやるぞ,と手ぐすねひいているのかね。

● これだけやって,アンコールが2曲。ブラームスのハンガリー舞曲第5番と,エルガーの「ニムロッド」。
 ショーマンシップに溢れているというか,サービス精神が旺盛というか。2年前もアンコールの1曲目はブラームスのこの曲だった。
 いや,大いに満足して,まず1回目は終了。

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