2021年1月31日日曜日

2021.01.31 水星交響楽団 チェンバーシリーズ第3回演奏会

小金井 宮地楽器ホール 大ホール

● 水星交響楽団の演奏会。2014年以来,2回目の拝聴になる。これだけの技術を持つオーケストラの演奏をどうして6年間も聴かずに来たのか,と思う仕儀と相なった。
 開演は午後2時。入場無料。ただし,お約束の事前予約制。

● 曲目は次のとおり。指揮は齊藤栄一さん。
 プーランク フランス組曲
 ヒンデミット ヴィオラ協奏曲「白鳥を焼く男」
 プロコフィエフ 交響曲第1番「古典交響曲」

 芥川也寸志 弦楽のための三楽章
 ヒンデミット ピアノ・金管・2台のハープのための協奏音楽
 ヴィラ=ロボス ブラジル風バッハ第2番

● 全体を通じて最も印象に残ったのはプロコフィエフの1番。プロコフィエフの最初の交響曲。ここからプロコフィエフは始まったというのと,交響曲にしてはかなり短い曲だっていうのがあって(かつてはそうだったから,それゆえに古典),この曲はプロコフィエフの習作的なものだと思いこんでいたのだ。
 違うじゃん。これってプロコフィエフの助走なんかじゃないじゃん。むしろ,ひとつの到達点だ。蒙を啓いてもらった。

● わざわざスターリン時代のソ連に帰国して,後悔することはなかったんだろうかな。いや,なかったはずがない。アメリカでもフランスでも受け入れてもらえなかったことが,ソ連に帰国することを決意させたのだとすれば,自分の迂闊さに憤り,眠れぬ夜を過ごしたことも数知れず,だったろう。
 それとも望郷の念やまずというのが,帰国を決めた理由なんだろうか。「ふるさとは遠きにありて思うもの」であって,いったん故郷を出た以上は「うらぶれて 異土の乞食と なるとても 帰るところに あるまじや」という考え方は,世界のどこにでもあるものだと思うんだが。

● プーランクの「フランス組曲」とヒンデミット「白鳥を焼く男」は初めて聴く。「白鳥を焼く男」はCDも持っていない。
 協奏曲といっても,管弦楽はあり得ないほどの小編成だ。数的にもそうだけれども,ヴァイオリンがないのだ。こういう演奏を生で聴くことができたのも,コロナのお陰と言える。緊急事態宣言が出されるようなことがなければ,マーラーやブルックナーの交響曲を演奏していたのかもしれないのだから。

宮地楽器ホール
● ヴィオラ独奏は山本一輝さん。若き俊才。これからしばしばその名前を目にすることになるはずだ。
 曲目解説も山本さんが書いている。ヴィオリストにとっての3大ヴィオラ協奏曲があることも,この解説で知った。あとの2つは,CDで聴こうと思えば今からでも聴けるのだが。
 「ソリストは吟遊詩人として登場する」というのはどういうことか。ソリストのヴィオラは語るヴィオラということか。そのあたりのところは,実際に聴いた後でもよくわからない。ま,聴く人が聴く人だからさ。

● 芥川也寸志「弦楽のための三楽章」は先月にもTBSK管弦楽団の演奏で聴いた。コロナ禍で大編成を避けるのが普通になると,この曲を聴くことになる確率があがるということか。
 最近,CDでも聴くようになった曲のひとつだ。何度聴こうと,ウェルカムでしょ。

● 時間はサッサと進む。「ブラジル風バッハ」まで終わって終演。ボリューミーな内容だったので,アンコールがあるとは思わなかった。
 のだけど,マルケスのダンソン2番を。吹奏楽でアフリカン・シンフォニーをアンコールに持ってくるようなものですか。疲れを知らない人たちだ。
 ちなみに,山本さんのアンコールは,バッハ「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト短調」より “アダージョ”。これも幸せな数分間だった。

● この演奏会で最も目立っていた人は,指揮者でも奏者でもなく,椅子の並べ替えとか譜面台の移動とか,幕間にセッティングの変更を行っていた人。何人もでやっているんだけども,その中でもステージマネージャーなんだろうか,髪を後ろに束ねた男性が,何だか八面六臂の活躍っていう感じで。
 その後ろに束ねた髪型っていうのが,コンマスと同じだったので,コンマスが椅子を並べ替えているのかと思ったんだけど,もちろんそんなことはなくて,別人だった。

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