2020年12月23日水曜日

2020.12.20 TBSK管弦楽団 第2回弦楽演奏会

横浜市鶴見区民文化センター サルビアホール

● TBSK管弦楽団の定演は二度聴いている。2015年12月の第5回と2017年1月の第7回。第5回のときはR.シュトラウスとマーラー,第7回はオール・ラヴェルというプログラムだった。
 とんがっているという印象を持っていた。が,それ以上に旨い。これほどの演奏ができるのなら,いろんなことをやりたくなるだろう,とんがりたくもなるだろう,と思ったことだった。
 イメージとしてはユーゲント・フィルハーモニカーと重なるところが多い。

● 「現在登録されている団員数は140名あまりで,20代の現役大学(院)生と社会人で構成されています」とのことなのだが,140名とは相当な数だ。何がその吸引力になっているのかは,ぼくには知る由もないのだが,何かがあるのに違いない。
 それはトレーナーの中に素晴らしい人がいるとか,切磋琢磨しあえるちょうどいい腕前の仲間がいるとか,そういうことではなくて,もっと下世話な何かなのかもしれないが。

● 今回聴くのは弦だけの演奏会。開演は午後2時。入場無料。ただし,お約束の事前予約制。
 この演奏会があることを知ったのはだいぶ前なのだが,行けるかどうかわからなかった。行けるとわかったのは昨夜。しかも,あと3時間で今日になるという21時だった。それから予約に及んだのだが,ちゃんと席が取れた。間に合った。
 コロナが隆盛を極めているのが原因で客足が鈍っているのかと思ったんだけども,行ってみたらほぼ満席。ひょっとしたら,最後の1席が空いててくれたのかも。

● 自由席なのだが,客席の半分は封鎖。座れるところは半分しかない。実際のところは,全席使ってもおそらく無問題なのだと思う。ぼくら客席にいる人間が喋らないで口を閉じた状態ならば,そもそもコロナウィルスが湧きでる余地がないのだから。
 クラシック音楽の演奏会の場合には,客席から言葉を発しなければならない事象は存在しない。ブラボーなんぞは余計なものの最たる例であって,観客には拍手というほぼ万能の伝達手段が与えられている。
 しかし,ではそうしましょうとするには,それ相応の蛮勇(?)が必要になるでしょうね。万が一ということを考える。

● 2部構成。第1部は “アンサンブルの部”。曲目は次のとおり。
 グリーグ 弦楽四重奏曲 ト短調 より第1楽章
 シューベルト 弦楽五重奏曲 ハ長調 より第4楽章
 ブルッフ 弦楽八重奏曲 変ロ長調 より第1楽章

● それぞれ,全楽章を聴けたらどれほど多幸感に浸れるかと思った。特にグリーグのト短調は第4楽章まで聴かせてもらいたかったかな,と。ないものねだりをしてはいけないのだけどね。
 真摯に取り組んでいることがかなりヴィヴィッドに伝わってくる。大学オケの生真面目さを保持していると感じる。ここで生真面目という言葉を使っていいのかどうか,やや逡巡するのだが,他に適当な言葉が思いつかない。
 学校を卒業して社会人になると,仕事以外のところではズボラにならざるを得ないものだと,ぼくなんかは考えてしまうのだが,彼らはそうではないらしいのだ。

● いや,それ以前の問題があって,シューベルトの五重奏曲とブルッフの八重奏曲は,ぼくはCDも持っていないのだった。今どきだからネットで拾えるのではあるけれども,現状ではまだ音質の点でCDに分がある。
 室内楽曲に関して,もう少し,視聴環境を整えなければならないなぁと思った。話はそれからだ。

● 第2部は “弦楽合奏の部”。曲目は次のとおり。
 芥川也寸志 弦楽のためのトリプティーク
 バーバー 弦楽のためのアダージョ
 ドヴォルザーク 弦楽セレナーデ

● 第1部で感じた “全楽章聴きたいよ渇望症候群” はここで満たされる。多幸感に包まれることになる。
 芥川でいえば,「交響三章」の方が聴く機会が多いだろう。ぼくにしても同じなのだが,聴いて面白いのはこちら「絃楽のための三楽章」の方だ。しかも,この演奏で聴くわけだから,相当に幸せな体験になる。

● 帰宅してからCDを聴いてみたのだけれども,生で聴くのとは別ものだ。届いてくるものにかなりの違いがある。
 それを当然のことと受けとめていいのか,聴く人が聴けばCDからでも生と同じだけの情報を引きだせるものだよと言われるのか,それはわからないのだが。
 あと,視聴機器の貧弱さのせいもあるかも。ぼくが聴くというときは,常に必ずウォークマンで聴くことを指しているからね。だって,それしか持っていないからさ。

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