2020年11月30日月曜日

2020.11.15 東京ユヴェントス・フィルハーモニー 特別演奏会

第一生命ホール

● 開演は午後2時。チケットは2,000円。こういう時期だから全席指定で,チケットも事前申込が原則。
 曲目は次のとおり。指揮は坂入健司郎さん。
 シューベルト 交響曲第3番 ニ長調
 ロドリーゴ アランフェス協奏曲
 シューベルト 交響曲第5番 変ロ長調

● この楽団の演奏を聴くのは,今回が初めて。なぜ今回聴く気になったかといえば,第1にはコロナのせいだ。オーケストラの生演奏には稀少性がある。中止と延期の流れがまだまだ主流の位置を保っているから,聴けるときに聴けるものを聴いておくのを基本姿勢としている。
 第2には,アランフェス協奏曲を聴けるからだ。2016年7月に地元のホールでスペイン国立管弦楽団によるアランフェス協奏曲を聴いた。ギターはパブロ・ヴィレガスだった。ズンズンズンと染み入ってくるように感じられた。それをまた聴くことができる。

● で,まずステージ上に勢揃いしたオーケストラを見て感じたのは若いということだ。平均年齢は20代の前半ではあるまいか。
 シューベルトの3番が始まって,すぐに感じたのは,端正な演奏をするなぁということ。つまり,巧いということなのだけれども,いったいどういう楽団なのかというと,「2008年「慶應義塾ユースオーケストラ」という名称で,慶應義塾創立150年を記念する特別演奏会のために慶應義塾の高校生・大学生を中心として結成されたオーケストラ」とのことだ。2014年に名称を東京ユヴェントス・フィルハーモニーに変更したらしい。慶應が母体なのか。ならば・・・・・・と納得する。

● 指揮者の坂入さんも慶應出身。経済学部を卒業とあるが,大学の経済学部なんか眼を閉じてても卒業できるから,適当に流して音楽に熱中したのだろうと想像してしまいがちなのだが,そういうわけではないらしい。
 この楽団では音楽監督を務めているが,自らが中心になって創った楽団であって,いうならオーナー経営者のようなものだ。才人というのはいるものだ。

● おめあてのアランフェス協奏曲はどうだったか。やはりジンジンと染みてくる。そういうメロディーだもんね。これはもう世界共通でしょ。
 ギターは荘村清志さん。ギターを抱えた壇上の哲学者といった風情。「アルハンブラの思い出」もアンコールで聴くことができた。これだけでも満足感が高い。チケット代の2,000円はタダも同然という気がする。

● こういう人を引っぱって来れるんだから,オケも大したものなのだ。伝手があったのかもしれないが,相手が応じてくれるのだから。
 若い,巧い,の他に,姿がいい,の三拍子が揃っている。追いかけるべき楽団でしょう。事情が許すなら追いかけてみるべきでしょう。

● 荘村さんの師匠である Narciso Yepes の演奏も YouTube で聴くことができる。ありがたい時代にぼくらは生きているのだけれども,しかし,YouTube は YouTube であって,情報量の相当部分が削げ落ちてしまう。
 情報量のすべてを受け取れる形態は生演奏(を聴くこと)しかない。問題があるとすれば,こちらの受け取り方だけだ。これはもう自分の甲羅に似せるより仕方がないわけだが。

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