2015年4月26日日曜日

2015.04.19 フレッシュアーティスト ガラ・コンサート

栃木県総合文化センター サブホール

● 栃木県ジュニアピアノコンクールとコンセール・マロニエ21の前年度の優勝者を迎えて行われるコンサート。入場無料。開演は午後2時。
 ただし,今回は構成が変わっていた。昨年までは栃木県ジュニアピアノコンクールは大賞受賞者1名だけが登場してた。そのあと,コンセール・マロニエ21の前年度優勝者の演奏があって,さらに過去のコンセール・マロニエ21の優勝者をゲストとして招いていた。
 今回はジュニアピアノコンクールの年齢別優勝者が順番に登場。その代わり,ゲストによる演奏はなし。

● 前半はジュニアピアノコンクールの優勝者が登場。小学生が3人,中学生と高校生が1人ずつ。全員が女性。
 高校生の部の優勝者である吉原麻実さんの演奏が抜きんでていた。次の2曲。
 ラヴェル 「鏡」より“1.蛾”
 リスト ハンガリー狂詩曲第12番 嬰ハ短調

● 彼女のピアノは先月も聴かせてもらっている。大人の演奏という感じ。色香が載っている。色香のないピアノなど誰が聴きたいと思うものか。
 この場合の色香って,壇蜜的なそれじゃなくて(壇蜜的なるものも,大変にけっこうなものだけど),奏者が男性の場合でも同じだ。
 前に,90歳を過ぎているメナヘム・プレスラー氏の演奏を聴いたことがあるけれども,ほのかに伝わってくる色香がたしかにあった。

● 別の言葉に置き換えてみようか。お茶目さ,奔放さ,闊達さ,技術を濾過した透明感。
 いや,やっぱり色香といったほうが一番シックリくるようだ。

● 後半は,コンセール・マロニエ21の優勝者。まずは,弦楽器部門で優勝したコントラバスの白井菜々子さん。次の2曲。
 ポッテジーニ タランテラ
 ポッテジーニ カプリッチオ・ディ・ブラブーラ

● 昨年のコンセール・マロニエ本選も聴いている。そのときとは,白井さんの佇まいが変わってましたね。
 まぁ,コンクールのときと,今回のような凱旋公演で佇まいが違うのはあたりまえではある。ところが,まったく変わらない人も時にいるのでね。前回,ピアノで登場した青木ゆりさんがそうで,彼女はコンクールのときからふてぶてしいほどに落ち着き払っていた(ように思えた)。
 でも,ま,青木さんのような人は少数派でしょ。

● でね,ぼくは昨年の弦楽器部門の審査結果に,若干の違和感を持ってましてね。審査結果を知ったときには,ちょっと驚いたんですよ。
 でも,自分に何がわかるのかって思うし,専門の先生方の判断に異議申し立てをするつもりはまったくないんですけど。

● 今回,白井さんの演奏を聴いて,やっぱり先生方は正しかったのだなと思いましたよ。
 コントラバスだから,右手の弓遣いや左手の弦の押さえ方が正面から見える。どうすればこういうふうにできるようになるんだろ,と思った。
 同時に,ぼくなんかが見ると,同じようにできてる人がたくさんいる。それらの人たちと彼女と,何が違うんだろうなとも思った。
 そこのところをね,きちっと言葉に翻訳できるようになれば,聴き手として上級者ってことになるのかもしれない。ぼくは,聴き手としてまだ初級の域を出ていないんだなとも思わされた。

● ピアノ伴奏は百武恵子さん。このピアノも聴きごたえあり。前半に出場した少女たちに,百武さんのピアノをどう思ったか,訊いてみたい。
 ぼくなどが思いも及ばない方角の感想を聞くことができるのじゃないかなぁ。

● 声楽部門で優勝した高橋洋介さん。プログラムは次のとおり。
 スカルラッティ すでに太陽はガンジス川から
 ジョルダーニ いとしい私の恋人
 モーツァルト 「ドン・ジョヴェンニ」より“シャンパンの歌”“セレナーデ”
 ロッシーニ 「セヴィリアの理髪師」より“私は町の何でも屋”
 プッチーニ 「エドガール」より“この恋を,俺の恥を”
 レハール 「メリーウィドウ」より“おお祖国よ”
 ヴェルディ 「ドン・カルロ」より“おおカルロ,聞いてくれ”

● つまり,大盤振る舞い。高橋さん,試してみたいことがいくつかあったんだろうか。そういう気配は感じなかったんだけど。単純にサービスですか。
 こちらとすれば,もちろん,ありがたい話ではあるんだけどね。

● ピアノ伴奏は篠宮久徳さん。やっぱり,男性が弾いても,ピアノは色香(が大事)なんですよ。そう思った。

0 件のコメント:

コメントを投稿