2010年4月30日金曜日

2010.04.25 古河フィルハーモニー管弦楽団第3回定期演奏会

野木町文化会館(エニスホール)大ホール

● 25日(日)は古河フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会を聴きに行った。場所は野木エニスホール(野木町文化会館)。古河フィルハーモニー管弦楽団は設立まもない市民オケで,初めての演奏会は去年の今頃。年2回の定期演奏家を行っていて,今回が3回目だ。

● わざわざ野木まで出かけたのは,曲目がシューベルトの「未完成」とベートーヴェンの第7番だったからだ。「未完成」とベト7を同時に聴けるなんて滅多にないのではないか。
 なので,この演奏会はいつも以上にワクワクしながら待っていた。

● チケットは千円。往復の電車賃が約2千円。3千円で2時間のコンサート。ぼく的にはギリギリ許容範囲といったところ。
 最近,こづかいが週8千円から7千円に減額された。1日千円だから計算しやすくていいという問題ではない。これでやりくらなければならないわけで,3千円の出費はそれなりにこたえる。
 ヨメが好きな映画を一緒に見るなんてときは,その映画代は家計から支給されるんだけど。

● 野木駅に降り立つのは今回が二度目。馴染みの薄いところではある。
 この辺は,栃木,茨城,埼玉,群馬のちょうど境にあたる。境界っていうと,それだけで何かあるのじゃないかと思わせるところがある。が,実際には鉄道や国道が境界など関係なくまっすぐ縦貫しているのだから,他の地域にない何かがここにあるってこともない。
 殺風景といえばいえる野木の街並みを見やりながら,そんなことを考えた。

● 畑の中に巨大な建物があるので,あれがエニスホールだなとすぐにわかる。大ホールと小ホールを備えた(町にしては)立派な施設だ。
 もちろん大ホールといえども,総文センターや宇都宮市文化会館のそれに比べれば,収容人員はずっと少ない。その大ホールの7割弱の席が埋まった。

● 指揮者は高山健児さん。都立富士宮高校でオーケストラ部に入部(コントラバス)。大学は早稲田でドイツ文学を学んだが,演奏家への夢断ちがたく,桐朋学園に再入学したという経歴の持ち主。
 古河フィル設立以来,トレーナーを務めているそうだ。今回は指揮も担当。

● 「未完成」もベト7も,CDでは何度聴いたかわからない。「未完成」をライブで聴くのは初めて。ベト7は三回目。
 一曲目のモーツァルト「魔笛」序曲を聴いて,これは期待できると思った。そしてその期待が裏切られることはなかった。こぢんまりとした楽団ながら,充分な腕前の持ち主たちだった。音がひとつに溶けあって,圧倒的にぼくの方に迫ってきた。
 古河という茨城でも中心を離れた辺地にこれだけのアマチュア楽団があることじたい,ちょっと驚きだ。音楽愛好者の層の厚さを思わされる。
 管楽器がちゃんとしていればアマオケとしては充分に合格レベルだというのが目下のぼくの意見で,特にベト7はフルートをはじめ管の役割が大きい。その管が良かった。
 アンコール曲はモーツァルトの「劇場支配人」序曲。これも先月,獨協医科大学の演奏で聴いている。偶然ってあるものだ。

● こうした演奏会では必ずといっていいほどアンケート用紙を渡される。設問もほぼ同じで,この演奏会に来るのは何度目か,どうして知ったのか,来る気になった理由は何か(曲目が良かったから,当楽団の演奏だから,指揮者に興味があったから),年齢はいくつか,演奏経験はあるか,演奏についてどう感じたか,今後聴いてみたい曲があるか。と,こんなことを訊いてくるわけだ。
 訊いたあとどうしているのかが想像できない。たぶん,漫然とアンケートのためのアンケートを続けているのだろうなと思う。なので,テキトーに書いておくか書かないで持ち帰るかになる。
 が,今回はこのアンケートがなかった。潔さを感じた。

2010.04.10 国際基督教大学CMS管弦楽団第79回春季定期演奏会

武蔵野市民文化会館大ホール

● 4月10日(土)に武蔵野市民文化会館大ホールで国際基督教大学CMS管弦楽団の定期演奏会を聴いてきた。「青春18きっぷ」の有効期間のこの日が最終日だった。そうでもなければなかなか東京までの電車賃を捻出するのは容易じゃない。
 午後2時の開演だったのだけれども,朝8時過ぎには家を出た。またお茶の水を歩いてもいいし,今回の会場は三鷹駅の近くなのだが,その近くを歩いてもいい。

● 三鷹駅から会場の武蔵野市民文化会館までは徒歩15分間の距離。桜が多い。満開を過ぎてハラハラと散っている最中だった。桜はこの時期が最も美しい。来年も咲くことがわかっているから,散る様を安心して眺めることができる。

● チケットは当日券6百円。観客の入りは7割程度か。2階席は空席が目立ったが,1階席はかなり埋まっていた。開演前に,ケータイの電源を切れとか,録音や写真撮影はするなといったアナウンスが必ずあるわけだけど,この楽団は日本語に続いて英語でもアナウンスした。さすがはICUと妙に感心した。

● 指揮者は井崎正浩氏。2月の栃響でも指揮棒を振っていたので,2度目の対面になる。
 曲目はフンパーディンクの歌劇「ヘンゼルとグレーテル」前奏曲,チャイコフスキーの幻想序曲「ロメオとジュリエット」,シベリウスの交響曲第2番。
 「ヘンゼルとグレーテル」前奏曲は昨年,鹿沼フィルハーモニー管弦楽団の演奏で聴いている。チャイコフスキーの「ロメオとジュリエット」は昨年5月の宇都宮シンフォニーオーケストラとはやはり鹿沼フィルハーモニー管弦楽団で聴いている。今回が3回目。シベリウスの交響曲第2番は初めて聴く。

● ところが。
 2つめの「ロメオとジュリエット」では抗しがたい睡魔に襲われた。わずかに寝不足だったのだと思う。演奏者に申しわけないと思いながら,断続的に寝てしまった。シベリウスはシャキッと聴けた。

● して,腕前のほどは? 期待を裏切られることはなかった。プログラムに掲載されている楽団員紹介を読むと,大学に入って初めてヴァイオリンに触れたという団員もいるようなのだが。
 練習環境がいいのだろう。井崎氏を常任指揮者に迎えているのに加えて,パートごとのトレーナーも潤沢に採用している。
 けれど,環境で一番大きいのは,新入生にとって範となる上級生のレベルの高さかもしれない。

● 今回のシベリウスはきちんとシベリウスになっていた。アマチュア楽団の出来を決めるのは笛とラッパだろうけれど,その管楽器が一定の水準に達していた。他大学の学生も入っているのだが,この規模の大学でこれだけの管弦楽団を持てるというのはすごい。
 途中で寝てしまった自分に情けなさを感じたものの,コンサートそのものには大いに満足して,はるかな自宅を目指して帰途についた。