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2025年6月30日月曜日

2025.06.28 宇都宮大学管弦楽団 サマーコンサート2025

宇都宮市文化会館 大ホール

● 開演は18時。曲目は次のとおり。指揮は竹澤真一さん。
 シベリウス 交響詩「フィンランディア」
 ヘンデル 「水上の音楽」第2組曲
 ハチャトゥリアン 組曲「仮面舞踏会」

● ぼくは2階の右翼席で聴いていたのだが,常任の北原先生がいらしてるのをお見かけした。常任指揮者がこうするのは不文律になっているのか。
 必ず聴いて,必要があれば指示を出し,今後の道筋を整えるよすがにする,と。

● 傍から見ていた分には,と断っておかなければならないのだが,宇大オケはコロナ禍でいったん壊滅した感がある。
 コロナ禍は日本全国(のみならず,世界中)を襲ったが,それに対する対応には地域差があったように思う。首都圏のオケはコロナに抵抗した。その抵抗がどこまで功を奏したかは別の話だ。しかし,正常運転に戻そうとコロナに抵抗していたように思える。

● しかし,地方ではこの動きはほぼ皆無。コロナの前になす術を持たないといったふうであった。
 個々のオケに留まらず,どの分野でも地方は抵抗権を放棄していたように,ぼくの眼には映る。地方自治という言葉があれほど色褪せた時期はなかったろう。

● 宇大オケも抵抗したくても,大学側がそれを許さなかったのだろうし,大学側も他の状況を見れば,そうせざるを得なかったのだろう。
 ぼくの知る限り,栃木県内でコロナに抵抗した楽団は,高校の吹奏楽部になってしまうが,作新学院高校吹奏楽部を以て唯一の例外とする。

● もっと申しあげれば,壊滅からの復活過程に本格手的に着手するのにも,少し手間どり過ぎたのではないかと思わないでもない。
 しかし,こうして復活した。定演も行っている。寿ぐべきである。この楽団が県内に占める位置というか,役割というか,存在感は,おそらく楽団のメンバーが思っている以上に大きいのだから。

● アンコールは,シベリウス「アンダンテ・フェスティーヴォ」。

2018年6月30日土曜日

2018.06.30 宇都宮大学管弦楽団 第85回定期演奏会

宇都宮市文化会館 大ホール

● 昨夜に続いて,宇都宮市文化会館。開演は午後6時。チケットは800円。
 曲目は次のとおり。指揮は阿部未来さん。
 ロッシーニ 歌劇「セビリアの理髪師」序曲
 ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番 ハ短調
 ブラームス 交響曲第2番 二長調

● 5月と6月,わりと大学オケを聴く機会が多かった。いずれがアヤメかカキツバタということでもない。わりとわかりやすい差があるものだ。が,下手だからダメだとはぼくは思わない。下手でも気品があるという場合はある(少ないけれど)。
 宇都宮大学管弦楽団はどうかといえば,技術的にもかなり高い水準にあるのじゃなかろうか。

● 作家の伊集院静さんは立教大学の野球部にいた。身体を壊して退部するんだけれども,大学の野球部は高校までのそれとはまったく違ったとエッセイに書いている。大学の授業も午前中に開講されるものにしか出られなかっとある。
 小中学と野球をやっていた少年たちが,まず高校で篩にかかる。高校まで残っていた野球野郎が大学で篩にかかる。だから,大学で残った部員はかなりの猛者で,その猛者たちが切磋琢磨する。

● 管弦楽の場合はどうなんだろうか。おそらく,そうした篩はないだろう。むしろ,大学で楽器を始めた人もいるだろう。
 しかも,講義がある時間帯から練習を始めてしまうわけにもいかないのではないか。うるさいと苦情が来そうだ。防音がしっかりした練習室がいくつもあるなら話は違うけれども,普通の国立大学にそんな恵まれた環境は用意されていまい。

● が,授業にしっかりと出て,自学自習も怠らず,そのうえで残った時間を練習に充てているとも思えない。大学の教室にいた延べ時間よりは,部室なり練習室で過ごした時間の方が長いだろう(そうでもないのか)。
 一人でする練習もあるだろうし,アルバイトもするんだろうから,けっこう以上に忙しく過ごしていると思うんだけど,トータルとして,宇都宮大学の教育学部や国際学部や工学部や農学部を卒業しましたというよりは,宇都宮大学の管弦楽団を卒業しましたという気分が勝るのではないかと想像する。

● ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番。ピアノは米津真浩さん。この人,かっこいい。非常に下世話な感想だけれども,ピアノがチョー巧くてイケメン。モテるだろうな。
 リサイタルの口もかかるでしょうね。演者であれ奏者であれ,舞台に立つ以上はルックスを等閑に付すことは許されない。お客を呼べる要因はひとつでも多く備えていた方がいいに決まっているのだ。
 ザックリとした印象でいうと,東京音大って美女やイケメンの比率が他より高い? コンセール・マロニエで優勝した小瀧俊治さんも東京音大だったし,田母神夕南さんもねぇ。

● その米津さんのピアノに管弦楽も懸命の対応。といって,ピアノに付いていくという感じではない。がっぷり四つ。
 相撲じゃないんだから,基本,ピアノを立てていた。というか,まぁ,立てるしかないでしょうね。米津さんのオーラはすごかった。ということは,がっぷり四つではなかった? いや,あれはがっぷり四つと形容するのが正しい。

● ソリストと指揮者が去ったあと,管弦楽団の奏者が退場するときにも,客席から拍手が起こった。協奏曲でこういうことはあまりない(と思う)。
 もっとも,第1楽章が終わったところでも拍手があったから,拍手が好きなお客さんが多かったのかもしれない。というのは誹謗中傷。あの拍手はそれとは明らかに別種のもの。管弦楽の健闘を称えるものだった。

● ブラームスの2番。聴きごたえあり。小さな事故はあった。だけど,いいんですよ。ほんと,そんなのはどうでもいいと思う。だからあまり気にするなと言いたい。
 そんなことより,攻めてたってことだよね。それが客席に届くんですよ。で,最終印象を決めるのは,そこのところなんですよね。

● 弦の水準の高さはもはや鉄板かと思われた。フルートとオーボエがしっかりしている。他はダメかといえば,もちろんそうではない。
 県内にいくつかある市民オケ,大学オケの中で,最も心躍る演奏を聴けるのが,この楽団かもしれない。将来は知らず,今のところは。

2017年12月27日水曜日

2017.12.23 宇都宮大学管弦楽団 第84回定期演奏会

栃木県総合文化センター メインホール

● 開演は午後6時。チケットは800円。ぼくは招待状で入場させてもらったんだけど。

● メインホールが満席。ほぼ空席なし。この楽団の定演でこれだけお客さんが入ったのを見るのは初めてのこと。17日の栃響「第九」でももう少し空きがあった。
 何があったのだろう。演奏される曲目に奇をてらったところはないし,下手に奇をてらうと,かえってお客を遠ざける結果になるものだろう。
 招待状をはじめ,集客の手を尽くした結果だろうか。地元の人たちの間にクラシック音楽熱が盛りあがっているんだろか。どうも理由がわからない。

● その曲目は次のとおり。指揮は三河正典さん。
 ベートーヴェン 劇音楽「エグモント」序曲
 チャイコフスキー 幻想序曲「ロメオとジュリエット」
 ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」

● 大学オケでも大学に入ってから楽器を始めた人が珍しくないという話も聞くことがあるんだけど,どうなんだろうか。本当にそうなのか。
 ぼくも大学では初めてのスポーツの部活をやった口なんだけど(じつは,そのことを激しく後悔している),管弦楽でも同じなのだろうか。

● 宇都宮大学管弦楽団は,栃響をはじめ県内の市民オケの人材供給源になっているやに思われる。弦の水準の高さには感嘆する場面が多い(ただし,OB・OGのアシスト効果も大きいはずだ)。
 大学から始めてもここまで行けるのであれば,相当な人たちにとって福音になるだろう。
 必ずもっと早く始めていればよかったと思うものだろうけれども,それは何ごとにもあてはまる。あまり深く考えてはいけない事柄に属する。考えても仕方がないことを考えないでいられる,というのは,それじたいが大変な才能だ。

● 「ロメオとジュリエット」にはチャイコフスキーのすべてがあるように思う。こうすれば聴衆に受けるとわかっているかのような,あざといくらいの起伏のつけ方と場面転換。ロシア的というには,どこかに華やぎを残す沈鬱さ。
 じつは,チャイコフスキーの多くの楽曲の中で,最も数多く聴いたのはこの曲だ。短い時間でチャイコフスキーを聴いたという気分に浸れるからだ。

● ドヴォルザークの9番は先月も宇都宮短期大学管弦楽団の演奏を聴いている。どちらがどうということはない。何度聴いても,いいものはいい。
 指揮の三河さん,ていねいな指揮ぶりはこの人の身上なのだろうけど(というほど,何度も彼の指揮に接しているわけではないんだが),わかりやすく指示を出して,学生たちの良さを引きだそうとしているように見えた。オケも弾きやすかったんじゃないかと思う。

● 欲をいえばキリがない。アンサンブルにはさらに洗練させる余地がある。もっとなめらかに,もっとシームレスに。少しの注意で防げる事故もあった。
 しかし,演奏に力がある。感情移入しやすいというか,余計な雑念を介入させないというか。このあたりが大学オケの良さだ。存分に時間をかけることができるゆえでもあるだろう。あるいは,若さが持つ何ものかの仕業であるのだろう。
 巧い演奏より力のある演奏の方が,魅力がある。聴いて良かったと思うのは,圧倒的に後者の方だ。

● アンコールのくるみ割り“花のワルツ”まで含めて,その力が持続した。このあたりがこれだけの聴衆を集めた理由なのだろうか。
 と,まとめると大団円になって都合がいいんだけど,そうではないだろうなぁ。何か他の理由があるんだろうな。あるいは,たまたまだったのかなぁ。

2017年6月26日月曜日

2017.06.24 宇都宮大学管弦楽団 第83回定期演奏会

宇都宮市文化会館 大ホール

● 開演は午後6時。チケットは800円。といっても,招待状で入場したので,要するに無料になった。
 曲目は次のとおり。指揮は北原幸男さん。
 ベルリオーズ ラコッツィ行進曲
 チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲 二長調
 ベートーヴェン 交響曲第5番 ハ短調

● 栃木県内にある市民オケの人材供給源としても,宇都宮大学管弦楽団が大きな役割を果たしているのではなかろうか。
 そういう意味では栃木県に存在するオーケストラのセンターに位置するのが,この宇大オケといっていいかもしれない。

● 今回の演奏で最も印象に残ったのがチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲だ。その功績の過半はソリストの澤亜樹さんに帰せられる。
 次々に繰りだされる澤マジック。ケレンミがないというか思い切りがいいというか。大変なものだと感じ入った。

● 宇大オケも懸命の応接で,曲をまとめていった。幾重にも巡らされた糸がすべてピィィンと張っているような,見事な演奏。
 チャイコフスキーのこの曲は,ソリストの見せ場が多い。それゆえ,澤マジックが目立ちもするわけだけれども,そうであってもなお,協奏曲のできばえを最終的に決定するのは管弦楽だと思う。ピアノ協奏曲はピアノ曲ではなくて管弦楽曲であるのだし,ヴァイオリン協奏曲もまた同じだからだ。

● この曲のCDは2枚持っている。五嶋みどりさんと諏訪内晶子さんのもの。が,こうして澤亜樹+宇都宮大学管弦楽団のライヴを聴いていると,CDなんて問題にもならないと思わないわけにはいかない。
 ただ,急いで付け加えておくけれども,ぼくは再生装置をウォークマンしか持っていない。せめてミニコンポがあれば「問題にもならない」とまでは思わなかったかもしれないね。

● 第1楽章が終わったところで,会場から拍手が響いた。一部の人がオズオズと手を叩いたというふうではなくて,満場の拍手だった。
 そうしたい気持ちはぼくにもよくわかった。ので,3秒遅れて,ぼくも拍手に参加した。

● 新進気鋭の実力者と学生オーケストラという組合せがよかったか。“功成り名を遂げた大御所+プロオケ”の演奏が常にアマチュアに勝ると思ったら,大間違いだ。
 その演奏からぼくらが持って帰れるものは,技術のみによっては決まらない。うまく言えないんだけれども,そこに込めた思いであるとか,ピュアな気持ちであるとか,難曲に向かうときの心ばえや緊張感であるとか,そういうものが結果において演奏の質を高めることがあるように思う。

● ベートーヴェンの5番は今月4日に鹿沼ジュニアフィルの演奏を聴いたばかり。中高生の演奏とは思えないほどに完成度が高かったと思う。それがまだ耳に残っている。耳に残っているということは,おそらく美化された状態に変わっている。
 ので,それが今回の演奏を聴く妨げになるかもしれない。そこを少し怖れていた。

● しかし,まぁ,杞憂でしたね,そんなのはね。目の前の演奏が始まってしまえば,この世に存在するのはその一曲だけになるんでした。
 鹿沼ジュニアの演奏は第4楽章がかすかに弱かったかと思えた。今回の演奏はその第4楽章がこちらのイメージにぴったりの強さで,そこが好印象。

● かように聴く方は勝手な聴き方をする。聴き方に作法があるわけではあるまいから,そういう勝手も許される(と思う)。っていうか,そういう勝手を包含できるのがいい曲ということなんでしょ。
 第1楽章こそ管にわずかな乱れが見られたけれども,それ以降は闊達自在と形容したくなる演奏。
 それにしても。この学生オケからこれだけの演奏を引きだしたのは,指揮者の北原さんの仕業ということになる。宇大オケと北原さんの相性がいいんだろうか。

● アンコールはエルガー「威風堂々」。
 これねぇ,困ることがひとつだけあるんだよね。来て来て,あたしん家,っていう言葉が浮かんで来ちゃうってことね。アニメの主題歌にこの曲の一部が使われたゆえなんだけど,こういうのって時々,困った事態を招くことがあるねぇ。

● 改装なった宇都宮市文化会館。ここで聴くのはこれが2回目になる。前回は5月に作新学院吹奏楽部の演奏を聴いた。そのときは吹奏楽だったためか,改装の前後で何が変わったかのかあまりピンと来なかったんだけど,音響がかなり良くなっていたんですね。
 今回の演奏を素晴らしいと感じた理由の2割くらいは,文化会館の音響改善によるかもしれない。ホールも演奏者なんだよね。

2016年12月30日金曜日

2016.12.28 宇都宮大学管弦楽団 第82回定期演奏会

栃木県総合文化センター メインホール

● 開演は午後6時半。チケットは800円。けれども,今回は招待状で入場。
 チケットで入場する人と,招待状(ハガキ)で入場する人の入場口は分けられている。招待状で入場する人が圧倒的に多い。これはどこでもそうなんでしょうね。

● 年末も押しせまった平日の夜にもかかわらず,総合文化センターのメインホールがほぼ満席。明日から年末年始の休みに入る会社が多くて,その切替えポイントにちょうどいいってのもあるんだろうか。
 だとしてもなかなかのものだ。切替えポイントとして最も多く採用されるのは,“飲みに行く”だろうから。

● クラシック音楽の大衆化はもう行くところまで行っていると思っていたんだけど,そうではなくさらに拡大する余地があって,それが徐々に徐々に進行しているのかもしれない。
 ま,一番目は招待状の集客効果だろうけどね。

● 曲目は次のとおり。指揮は井﨑正浩さん。
 フンパーディンク 歌劇「ヘンゼルとグレーテル」序曲
 ハチャトゥリアン 組曲「仮面舞踏会」
 シベリウス 交響曲第2番 二長調

● ハチャトゥリアンの「仮面舞踏会」を聴くのは,今年3回目。かつ今月3回目。続くときには続くものだな。何度聴いてもいいものはいいので,続くから不満というわけではまったくない。
 1曲目の「ワルツ」はけっこう抑え気味という印象。井﨑さんの解釈なのだろうか。「ノクターン」でもコンミスが静かに弓を操る。

● シベリウスの2番は,昨年の後半に何度か聴く機会がまとまってあった。が,今年になってからは初めてじゃないかと思う。
 で,今回のシベリウスは今まで聴いたものとは違っていたような印象だった。シベリウスの2番ってこういう曲だったっけ,という。
 違っていたといっても,楽譜は同じなのだから,何なのだろう,間の取り方とかそういうところが,独特だったのだろうか。

● 聴きながら,何なんだこれは,と思い思いしたのだけれど,自分の記憶の中にあるシベリウスと何が今回は違っていたのか,突きとめることはできなかった。情けない。
 井﨑流のシベリウスなのだろう。が,何が井﨑流なのかはわからなかったということ。

● ただ,井﨑流を表現するのは学生の団員たちだ。巨匠と若い学生たちが向き合っているわけだけれども,そこに上下関係はたぶんない。
 染めるのは井﨑マエストロで,染められるのは学生たち。しかし,染めるのが才能ならば,染められるのもまた才能である,と言ってみたい。

● そうでなければこういう演奏にはならない。若さと“溌剌”や“清新”は相性がいいのだろうけれど,イコールではない。が,この楽団の演奏は,“溌剌”であり“清新”である。しかもときに“無邪気”であり,ときに“爛熟”も見せる。
 学生オーケストラの世界においては,栃木に宇都宮大学ありと言っていいだろう。学生オケの枠をはずしても,宇都宮大学管弦楽団は栃木県の有力なオーケストラであるように思われる。

2015年12月31日木曜日

2015.12.28 宇都宮大学管弦楽団第80回定期演奏会

栃木県総合文化センター メインホール

● 開演は午後7時。チケットは800円。
 さて,ここでつまらない,あまりにつまらない話をしなければならない。いや,しなければらないってことはぜんぜんないんだけど,しておきたい。
 初めてこの楽団の演奏を聞いたのは2009年の7月,第67回の定演だった。そのとき,アンケートに答え,アンケート用紙に住所と氏名を書いてだした。
 ら。次からは招待状のハガキが届くようになった。

● が,どうもその,タダで聴くってのが面白くない。チケットは800円なのだから,その800円を払ったうえで聴きたい。
 終演後に指揮者とコンマスに花束を贈呈することが多いじゃないですか。自分が払った入場料が,その花束の花の1本の何分の1かに化けているんだなと思えたほうが気持ちがいい。払っていないと,あれは人のお金で成りたっているもので,自分はまったく与っていないなと思わなくちゃいけない。あまり愉快ではない。

● 大学オケってカンパを募るところもあったりする。宇大オケもそれをやってくれれば,安んじて招待状で聴けるんだけど,ここはそういうことはやらないようだ。
 となると,招待状があってもチケットを買って入場することにするか。

● ところが,ここでまたイジイジと考えてしまう。招待状を出すにも手間とコストがかかっているはずだ。最低でも52円の郵送料はかかるんだし,プリンターのインク代とかね,細々とかかる。何より時間がかかる。
 そうやって投函してくれた招待状を使わないのも申しわけないのじゃないか。気持ちは千々に乱れるわけね。

● でね,チケットを買ったうえで,招待状で入場したこともあるんですよ。でも,これもどこかおかしい。神経症的な感じも受ける。
 結局,チケットを買うのと招待状で入場するのを,交互に採用することにした。今回はチケットを買う番。
 長々とした前振りは以上で終わり。

● 曲目は次のとおり。
 ヴェルディ 歌劇「ナブッコ」序曲
 チャイコフスキー バレエ組曲「くるみ割り人形」
 ブラームス 交響曲第1番 ハ短調

● 指揮は北原幸男さん。貴族的な顔立ち。藤原摂関家の血筋につながるんじゃないかっていうようなね。
 って,そういうことはどうでもよくて,指揮者って反射神経とスピード感なんだと思うんですよね。頭なんか使ってたんじゃ音楽は停まってしまう。
 彼のシャープな動きを見て,そう思う。

● 「くるみ割り人形」は優美であるよりも骨太であることを優先したようだった。なるほどねと思いながら聴いてたんだけど,ピンぼけな感想かもしれない。

● 現在まで残っている交響曲の中で,最も質量(=エネルギー量)の大きい曲はどれか。ベートーヴェンの第九でもなく,マーラーでもブルックナーでもなく,ショスタコーヴィチの7番でもなく,ブラームスのこの第1番ではないかと思うことがある。
 構想20年は関係ないはずだ。サラサラ書いたか苦吟したか。それと作品の質量とは何の関係もない(と思う)。
 けど,ブラームスの1番に関してだけは,ブラームスの長きにわたる怨念というか焦りというか魂というか,それが練り込められて質量に転化しているようにも感じられる。

● こういう曲に対面するとき,奏者側はどう覚悟するんだろうか。覚悟っていうか,気持ちの始末をどうつけるのか。
 どんな楽曲でも,演奏するときには,それ相応の気持ちの整理が必要で,この曲に限った話ではないんだろうけどさ。

● 弦を中心にOB・OGが助っ人に入っていた。それもあってか,あるいはそれがなくても同じだったか,きっちりと大人のブラームスになっていた。
 大人のブラームス? 何だそれ? 書いていて自分で突っ込みを入れたくなった。
 安定していた。少しくらい押されても崩れないぞっていう感じの演奏だった。
 ますますわからないね,これじゃね。

● 曲が奏者をインスパイアするってことが絶対にあると思う。ステージの奏者たちがブラームスにインスパイアされていたと思われた。
 集中,そしてまた集中。それはインスパイアの結果であったか。

● アンコールはブラームス,ハンガリー舞曲からおなじみの5番。満足した。満ち足りたという意味の文字どおりの満足だ。
 いやいや,800円払ってチケットを買って良かったよ。

2014年12月15日月曜日

2014.12.13 宇都宮大学管弦楽団第78回定期演奏会

宇都宮市文化会館 大ホール

● 開演は午後2時。曲目は次のとおり。指揮は井﨑正浩さん。
 ベートーベン 序曲「コリオラン」
 ビゼー 「アルルの女」組曲第2番
 チャイコフスキー 交響曲第5番 ホ短調

● 宇都宮大学管弦楽団は,栃木県の学生オケの中では図抜けた存在。県内の市民オケの人材供給源になっているようにも思われる。
 年に2回の定演を楽しみにしている人も多いだろうと推測する。ぼくもまた,そのひとりなんだけど。
 栃木のような田舎でも,とても全部は追い切れないほどのコンサートやリサイタルが催行される。プロありアマチュアあり。
 で,学生の演奏会にこれだけのお客さんが入るっていうのは,大学生だっていうそれ自体が放つ魅力のようなものがあるんでしょうねぇ。

● 「コリオラン」もけっして簡単な曲じゃないと思うんだけど,うまく仕上げるものだなぁと思った。
 「アルルの女」は第2組曲の方。したがって(と,つないでいいのかどうか)木管とホルンが大事。とりわけ,フルートが。そのフルートを担当していた男子学生が上手でね。

● 唐突なんだけど,音楽は女だなと思うんですよ。要するに,ふくよかさっていうのが,かなり優先順位の高い価値になるんじゃないか。だから奏者も女性の方がいいということでは全然ないんだけど,音楽じたいは女性なのかもしれないなって。
 そうしたことを思わせる演奏でしたね。

● チャイコフスキーの5番は誰もが認める大曲。こういうのを,学生オケや市民オケがあたりまえのように演奏しますよね。これってすごくないですか。
 昔のことは知らないんだけど,昔からそうだったんですか。ってか,昔からアマチュアのオーケストラってこんなにたくさんあったんですか。
 演奏に関しては裾野がかなり切りあがっているような気がする。昔はたいしたものだったことが,今じゃ普通になっている。

● 井崎さんの悠揚迫らぬというか,安定感たっぷりの指揮ぶりが,学生たちのいいところを引きだしたのかもしれない。
 次回は7月4日。ドヴォルザークの8番。

2014年7月6日日曜日

2014.07.05 宇都宮大学管弦楽団第77回定期演奏会

宇都宮市文化会館 大ホール

● 開演は午後6時。指揮は清水宏之さん。曲目は次のとおり。
 シベリウス 交響詩「フィンランディア」
 ブルッフ ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調
 ブラームス 交響曲第2番 ニ長調

● 「フィンランディア」を聴くのは,最近の2ヶ月でこれが3回目。続くときは続くものだ。
 2階席でステージを見下ろす位置だった。眼下にオーケストラの演奏を眺めて思うのは,音大ではない一般の大学の学生が繰り広げるパフォーマンスの水準の高さだ。
 まったくの想像で言うんだけど,発足当時の栃響よりも今の宇大管弦楽団の方が,おそらく技術は上だろう。この分野に関する限り,昔はよかったはあり得ない。年々,裾野が切りあがっている。理由はわからない。

● ミスがなかったわけではない。ミスれば,トランペットやホルンに限らず,どんな楽器でも目立つ。目立つから,誰が聴いてもミスはミスとわかる。聴き手の水準が低くても,ミスはわかる。巧いのはなかなかわからないけど。
 ミスはどうしたってある。切り換えてるようでは間を取りすぎる。スッと戻る感じですかね。ミスを意識しないところまで行ければ理想的だろうけど。

● しかし,ミスがない演奏がいい演奏だろうか。いい演奏とはミスのない演奏だろうか。ミスらないように守りに入った内向きの演奏なんて,客席に何も届かないだろう。
 そういうことを考えさせる演奏だった。ミスが致命傷になることはまずないものだと思わせる演奏だったといいますか。

● ブルッフのヴァイオリン協奏曲,ソリストは会田莉凡さん。彼女のヴァイオリンは,昨年,那須野が原ハーモニーホールで聴いている。
 まだ20代の半ば。この国の演奏界を牽引していく一人になるのだろう。っていうか,すでに牽引しているのだろう。

● 協奏曲は,基本,バックの管弦楽で決まる。聴き終えたあとの印象を決めるのは,管弦楽の方だと思っている。これが一定の水準に達していないと,そもそも協奏曲にならないわけで。
 とはいえ,ブルッフのこの曲はソリストの見せ場が多い。ふんだんにある。彼女が創りだす音を聴き,演奏ぶりを見ていればいい。
 まったくの素人感想なんだけど,弦で指を切ったりしないんだろうか。しないんだろうね。するわけないんだけどさ。アクロバティックな動きが頻出するじゃないですか。ヒヤッとするわけですよ。

● ブラームスの2番の印象も「フィンランディア」と同じ。
 要所要所にOB・OGの俊英(と思われる)を配しているのが効いているのかもしれないんだけど,弦の安定感がまず印象的。不安を感じさせない。

● 次回は12月13日。真岡市民交響楽団の「第九」と重なる。時間帯も同じ。これは困る。どちらに行くか,かなり悩ましい。

2013年12月28日土曜日

2013.12.28 宇都宮大学管弦楽団第76回定期演奏会

宇都宮市文化会館 大ホール

● オーケストラを初めて生で聴いたのは,2009年の5月だった。その頃は,栃木県限定で聴いていこうと思っていた。まさかこんなに聴くことになるとは考えもしなかった。
 そうなった理由は,このブログを始めてしまったことにある。わずかながら読んでくださる人がいるのが嬉しくて,ブログを書く(更新する)ために聴きに行くという,なんだか笑えない事態が出現してしまった。

● が,もちろん,それだけのはずもなくて,結局のところ,快楽原則にしたがった結果だ。生演奏を聴くことの快感に身を任せた結果,膨れるだけ膨れてしまった。
 ひょっとして,いや,ひょっとしなくても,職業人としては落第だろう。家庭人としては合格かというと,それも怪しい。要するに,個の快楽を優先しているわけだから。
 でも,自分でそれを許しているわけで,そこがどうもな。
 そういったことも含めて,他方で捨てているものがあるはずだけれども,その自覚は薄い。

● もともと,ゴルフもスキーもパチンコもやらないし,物欲もあまりない(と自分では思っている)。車なんて走ればいいし(だいたい,実用以外で運転することはない),洋服もユニクロかシマムラで充分。一着をすり切れるまで着続ける。食べもののことでヨメにうるさく言ったこともないはずだ。
 人付き合いも最小限。休日を友人と過ごした記憶はない。っていうか,友人がいない。
 唯一,オーケストラの生演奏にだけは出かけているよ,と。
 
● で,今回は宇都宮大学管弦楽団。開演は午後2時。チケットは800円。
 指揮は末廣誠さん。曲目は次のとおり。
 シューベルト 歌劇「フィエラブラス」序曲
 グノー 歌劇「ファウスト」よりバレエ音楽
 ドヴォルザーク 交響曲第9番 ホ短調「新世界より」

● シューベルトがオペラをいくつか作曲したことは知っている。が,CDもDVDも見たことがない。当然,持っていないし,聴いたこともない。「フィエラブラス」序曲も初めて聴く。
 この曲にしても,グノーの「ファウスト」にしても,あまり(というか,めったに)演奏されない曲を持ってきた。ほかにもあるんだろうね。一般受けはしないかもしれないけれども,演奏してみたい曲っていうのが。

● メインはおなじみの「新世界より」。率直に感想を申しあげれば,荒削りな印象があった。もっと細かく研磨をかける余地が,各パートともあったように思う。
 しかし,だからダメかというと,ことはそう単純ではない。荒削りには荒削りの良さが,厳然としてあるから。
 第4楽章のフィナーレに向けての怒濤の勢いは,荒削りなればこそ。立派にひとつの表現たり得ている。ここに細かな磨きを加えてしまうと,それによって失われるものが必ずある。

● ただし,これは目の前で演奏している様を目にしているからでもある。録音で聴いたら,また違った印象を持つことになるだろう。
 曲との相性もある。アンコールはチャイコフスキーの“花のワルツ”だった。この曲と今回の演奏はミスマッチというか,ちょっとそぐわないように思えた。

● 運営スタッフの対応はほぼ完璧。宇都宮大学に限らないんだけど,今どきの学生はうまいよねぇ。ほんとにソツがない。サービス業に転身しても,明日から仕事になるんじゃないか。

2013年7月14日日曜日

2013.07.13 宇都宮大学管弦楽団第75回定期演奏会

宇都宮市文化会館 大ホール

● この楽団の演奏会に来る人の多くは,招待状を持つ人たちだ。多くのアマオケがそうしているように,アンケートに答えると,次回から招待状が送られてくる。タダで入場できるんだから,わざわざお金を払ってチケットを買う必要はない。
 ぼくも長らく招待状で入場してたんだけど,今回はチケット(当日券)を購入した。

● 大学オケだとカンパ制のところも多い。最初から無料にして,終演後にカンパを募る。それだと安心してタダで聴けるんだけど,ここではカンパ箱などは置いていないのでね,どうしたものかとちょっと落ち着かないでいた。タダで聴くのって,あまりいい気分のものじゃないんだよねぇ。
 かといって,せっかく手間ひまかけて送ってくれた招待状を使わないのも,申しわけないかなぁと思うし。どうしたものか,と。
 が,今回は,チケットを購入してみましたよ,と。聴いている間,この方が据わりが良かったですね,やはり。

● ということで,開演は午後6時。チケットは800円(悩むほどの金額じゃなかった?)。
 プログラムは,チャイコフスキーの「スラヴ行進曲」とラフマニノフのピアノ協奏曲2番,それにベートーヴェンの5番。

● チャイコフスキーの「スラヴ行進曲」を生で聴くのは,今回が二度目。低弦部隊の何事ならんと思わせる響きから始まるわけですね。
 音楽大学ではない普通の大学の学生が,学業のかたわらの部活で(実際には部活のかたわらの学業なんだろうけど。当然,それでいいとぼくは思ってますけど)ここまでのレベルで仕上げてくるんだからね。堅い言葉でいえば,敬意を表しますってことね。

● 緊張過多だったかと思われるところもないではなかった。でも,それによってかえって清新さが強調されることがある。音が損なわれる度合いと清新さが表現される度合いとを天秤にかけたら,さてどちらが大きいか。
 ここは聴く人によっても意見が分かれるだろう。ぼくはこれもありだと思うんだけど,そういうことも含めて,ライヴは演奏する側にとっても生きものなのだろう。
 ミスが結果的にミスにならないことがある。あるいは逆に,巧いがゆえに何かが欠けてしまうこともあるかもしれない。だからこそのライヴだ。
 間違いのない安定した演奏を聴きたいのであれば,1千万円程度を用意して,オーディオ環境をそれなりに整えたうえで,ゆったりとCDを聴くのがいいだろう。

● ラフマニノフのピアノ協奏曲2番。ソリストは犬飼まおさん。武蔵野音大の2年生だから,まだ19歳か。赤いドレスで登場。
 腕前については,ぼくが語る範疇を超えている。感心したのは終演後の所作だ。何度かお辞儀をしてから舞台の袖に去っていく。そのタイミング,逡巡のなさ。
 去って行くときのドレスを摘んで歩くその歩き方。こうすれば最もきれいに見えると知っているかのような。おそるべき19歳。
 って,あれですか,女性はみんなそんなものですか。

● メインはベートーヴェンの5番。ゆっくり目のテンポで(いや,これが普通か)丁寧に曲を表現しようとしていた,という印象。
 宇大OB・OGオーケストラでコンマスを務めていた石堂さんが,OB賛助でステージ上にいた。他にも,OB・OGの俊英がアシストしていたようで,弦にはちょっとやそっとではビクともしないと思わせる安定感があった。
 木管もそれぞれ出番があって,それぞれが健闘していた。その中でしいて勲一等を選ぶとしたら,今回はオーボエの1番。できるんだねぇ,ここまでねぇ。

● なんだかんだいっても,ベートーヴェンの5番は途方もない曲だ。人類共通の財産だと思う。そういうことをわからせてくれる演奏だったということ。
 弓の角度が一斉に変化するところなど,オーケストラって見た目にも美しいものだと,感じさせてももらった。そうしたことも含めて,聴く側(のひとり)としては,かなり満足度の高い演奏だった。

● 指揮は北原幸男さん。貴族的な顔立ちですな。冷静沈着が服を着て指揮棒を振っているという感じね。実際のところは,冷静沈着だけで指揮者が務まるとは思えないので,ぼくには窺えないいろんなものがあるはずだけどね。
 派手なパフォーマンスをまじえて,大向こうの受けを取りに行くなどということは,彼には無縁。きっちりと指揮を詰めていく。玄人感濃厚。っていうか,玄人も玄人,大変な玄人であるわけですが。

● アンコールはブラームスのハンガリー舞曲第5番。ここでもきっちり盛りあげて締めた。
 その後に,北原さんが犬飼さんをステージに呼んで最後のご挨拶。彼,武蔵野音大の教授でもあるから,学生である犬飼さんに,終わるまで着替えないで待ってろよ,と言い含めておいたんでしょうね。いかな指揮者といえども大御所のソリストにそんなことは言えないだろうけどね。
 それとも,終演まで着替えないでいるのがマナーというか,そういう慣わしなんですか。

2012年12月15日土曜日

2012.12.15 宇都宮大学管弦楽団第74回定期演奏会


宇都宮市文化会館大ホール

● 幸いにして天気が良かった。前回の演奏会は雨だったからね。今回は2階席は空席が目立ったものの,1階席は前の方を除くとほぼ埋まっていた。
 開演は午後2時。チケットは800円なんだけれども,ぼくは招待ハガキ組なので無料。空いている方の2階席に座って鑑賞した。

● 指揮は清水宏之さん。若々しい人だ。プログラムの「指揮者紹介」によれば,15歳で渡米してるんですな。よく思いきれたものだなぁ。自分にはとてもできないことをやっている人は,それだけでたいしたものだと思ってしまう。
 曲目は,ベートーヴェンの「エグモント」序曲,ビゼーの「カルメン」第1・2組曲(抜粋),チャイコフスキーの交響曲第2番「小ロシア」。

● 「エグモント」序曲から引きこまれた。ベートーヴェンを聴いているんだなぁと実感できた。そこを具体的に言ってみろよと言われると困るんだけど,重厚さですかねぇ(ぜんぜん具体的じゃないけど)。観客をピッとステージに引き寄せる吸引力のある演奏だと思いました。

● 「カルメン」は,オーボエ,フルート,クラリネット,ファゴット,トランペットのソロ,あるいは互いの掛けあいが,見どころというか聴きどころ。それぞれ見事で,まったく不満はなし。前回と同様,ぼくは男子学生のフルートに魅せられた。
 この楽団はたぶん女子学生でもっていると思われるんだけど,フルートとトランペットの男子が気を吐いていたっていいますかね。

● チャイコフスキーの2番は初めて聴く曲。
 冒頭のホルンのソロが印象的(こちらは女子学生)。ホルンって,きちんと演奏しててもほめられることが最も少ないっていうか,貶されることが最も多いっていうか,割に合わないパートなんじゃないですかねぇ。まっとうに吹いていても音程を外していると思われがちな楽器っていうか。要するに,取扱いがかなり難しい楽器かなと思えるんですよ。
 今回の女子学生のソロはなめらかで艶やかで,気持ちよく聴くことができた。ということは,相当以上に巧かったってことなのかなぁ。

● アンコールはチャイコフスキーの「眠れる森の美女」のワルツ。
 ということで,2時間弱の演奏会。嬉しい時間だった。

2012年7月7日土曜日

2012.07.07 宇都宮大学管弦楽団第73回定期演奏会


宇都宮市文化会館大ホール

● 7月の初っ端は宇都宮大学管弦楽団。開演は午後6時。

● ロッシーニの「どろぼうかささぎ」序曲で賑やかに始まり,哀感というか,祭りの後の淋しさを内包したシベリウス「カレリア組曲」につないで,メインのシューマン第1番「春」。
 アンコール曲はヨハン・シュトラウスのポルカ「雷鳴と雷光」。

● 七夕の日は天気が悪い。今年も雨だった。彦星と織姫もずっと会えないままで,焦れているのではないだろうか。
 その天気に加えて,メインがシューマンとあっては,お客さんの入りが心配されるところだ。って,ぼくが心配する話でもないんだけどね。
 けれども,ホール1階席の7割は埋まっていた(2階席かなり空いていたけど)。ほぼ,いつもどおりのお客さんが来ていた感じ。

● 弦は皆さん,達者なものですな。ティンパニは目立つ位置にいるから,どうしたって注目されるんだけど,切れの良いバチ捌きを見せてくれた。なにげに目立っていたのがフルートの男の子。
 若い人たちの演奏ってのは,若いというそれだけで魅せるところがある。只今現在の若さそのものが持つ魅力。可能性をたくさん保持しているといったことまで含めてどうこうじゃなく。

● 楽しい演奏会だった。後味が良かった。指揮者の井崎正浩さんの人柄のゆえかもしれないし,学生たちの素直さのゆえかもしれない。

● 宇都宮中央女子高校の生徒がグループを作って聴きにきていた。吹奏楽部で自身も楽器を演奏しているのだろうか。先輩が団員の中にいるんだろうかね。
 もしそうなら,とてもいいことだよね。他校や他楽団の演奏を実地に聴いてみるって大事なことで,それをしないと自分たちの立ち位置が見えてこないもの。逆に,それをしているのは研究熱心だってことだよね。
 こういう生徒がいるのなら,中央女子高吹奏楽部の演奏も聴いてみたいと思いましたね。

● 次回は12月15日。チャイコフスキーの交響曲第2番を演奏するらしい。5番や6番はしばしば聴く機会があるけれども,2番はまだ聴いたことがない。
 それと,嬉しかったのが栃響の第九と日程が重ならないこと。昨年は重なったんですよね。重なれば当然,どちらかを捨てなければならなくなる。ラッキーなことに今年の冬は両方聴ける(栃響の第九は16日)。

2011年12月31日土曜日

2011.12.18 宇都宮大学管弦楽団第72回定期演奏会


宇都宮市文化会館大ホール

● 18日(日)は文化会館で宇大管弦楽団の定期演奏会。同じ日に栃響の「第九」が総合文化センターであったのだが,これは最初から宇大に行くことに決めていた。
 総合文化センターの「第九」と競合するわけだから,お客さんは少ないだろうなぁと思ったのだが,そうでもなかった。2階席は空きが目立ったが,1階席はちゃんと埋まっていた。
  でも,できれば1日前にして欲しかったなぁ。そうすれば両方聴けたのに(昨年はそうだった)。地方では1回の比重が大きいからね。

● 以前の宇大管弦楽団のサイトでは,百名超の部員を抱えている宇大最大のサークルだと自己紹介していた。現在は80人になっているらしい。今回の演奏ではOB・OGの賛助がけっこう多かった。

● 曲目は次の3曲。
  ボロディン 歌劇「イーゴリ公」より「だったん人の踊り」 
  エルガー チェロ協奏曲 ホ短調 
  ドヴォルザーク 交響曲第5番 ヘ長調

● ソリスト(チェロ)は遠藤真理さん。指揮は曽我大介さん。
 昨年3月に文京シビックホールで,ユーゲント・フィルハーモニカーの演奏を聴いて巧いなぁと感じいったものだった。そのときの指揮者が曽我さんだったような気がする。
 気がしていたのだが,当日,実物を拝見したら,どうも見覚えがない。どうやらぼくの記憶違いらしい。こういうことはしばしば起きる。人の記憶なんてあてにならない。

● 満足できる演奏会だった。ドヴォルザークの5番はそんなに聴ける機会はない。
 次回は来年の七夕の日。シューマンの第1番をやるらしい。

2011年7月31日日曜日

2011.07.02 宇都宮大学管弦楽団第71回定期演奏会


宇都宮市文化会館大ホール

●  7月2日は宇都宮市文化会館で宇大管弦楽団の定期演奏会があった。夕方6時から。
 曲目はメインがムソルグスキー(ラヴェル編)の組曲「展覧会の絵」。ほかに,バラキレフ「3つのロシアの主題による序曲」とビゼー「アルルの女 第1組曲」から抜粋でいくつかを演奏した。
 指揮者は小森康弘さん。宇大管弦楽団のOB。宇大教育学部音楽科から芸大,芸大院と進んだ人。

● バラキレフの「3つのロシアの主題による序曲」なんてかなりマイナーで,こういう機会でもないと一生聴くことなく終わったろう。
 3曲とも打楽器が活躍する。今回の選曲は打楽器パートの主張が通ったのかななどと邪推している。

● 演奏はね,立派なものでしたよ。あらためて音楽を聴いていこうと思わせてもらえる。
 縁の下で運営を支える学生たちもよくやっている。文句をつけている老人がいたりもするが,文句をつけてる側が勝手なだけ。

● 次回は12月18日の予定。栃響の第九とたぶん時間帯も重なってしまいそうだ。ぼくは第九を捨てて宇大の演奏会に行くと思う。

2010年12月31日金曜日

2010.12.18 宇都宮大学第70回定期演奏会


宇都宮市文化会館大ホール

● 18日(土)は宇都宮市文化会館で宇大管弦楽団の定期演奏会があった。宇大管弦楽団の定期演奏会は年2回,夏と冬に開催されるが,今年は夏(7月)の演奏会には行けなかったので,1年ぶりに聴かせてもらう演奏会だ。
 学生は礼儀正しく来場者を迎えるのだった。この点では東大音楽部管弦楽団がホテルマンを思わせる接待ぶりを見せてくれるのだが,宇大生もまた同じなのだった。折り目正しいというか,腰が低いというか。

● 文化会館の大ホールの8割が埋まっていた。
 そのお客さんの過半は招待状のハガキで,つまり無料で,入場した人たちだ。「ハガキの方は左側に,チケットの方は右側にお並びください」と楽員がアナウンスしてたんだけど,左側の列の方がずっと長かったからね。
 アンケートに答えると,次回からハガキ(招待状)が届くわけね。ちなみに,ぼくもハガキ組だ。ハガキを使わないでチケットを買うことも考えないではない。だけども,せっかく送ったハガキが使われないのではかえって申しわけないような気もして,対応を決めかねている。
 中でカンパでも募ってくれれば,堂々とハガキで入場して千円なりともカンパすればいいのだが,そういうふうにはなっていないので。

● 曲目はヴェルディ「歌劇ナブッコ序曲」,グリーグ「ピアノ協奏曲イ短調」,チャイコフスキー「交響曲第5番ホ短調」。
 指揮者は北原幸男氏。父親は尺八奏者の北原篁山。細身でイケメン。羨ましいなぁ。桐朋学園を卒業して,ヨーロッパで修行。現在は宮内庁式部職楽部の常任指揮者であり武蔵野音大の教授でもある。

● ソリスト(ピアノ)は阿久澤政行さん。地元出身。宇短大附属高校,宇短大,武蔵野音大,同大学院と辿って,いくつかの賞を取り,現在はハンガリーのリスト音楽院に在籍しているそうだ。
 彼のピアノ,勢いがある。ズンズン響いてくる。こぢんまりとまとまったピアノじゃない。

● チャイコフスキーの5番をライブで聴くのはこれで3度目。好みが分かれるところかもしれないが,6番「悲愴」より5番が好きという人が多いだろう。6番は4楽章の終わり方が独特で,通好みという感じ。ちなみにいえば,ドヴォルザークも9番「新世界より」よりも8番のファンの方が多いでしょうね。

● 今年は東大と芸大の学園祭に行って,いくつもの演奏会を楽しませてもらったのだが,わざわざ東京に行かなくても,栃木には宇大がある。

● 学生オケの良さは清新さだと思う。技術だけとればもっと巧いところはいくらでもある。が,この清新さだけは学生オケでなければ出せないものだ。
 清新さは生命力の躍動だ。彼らが緊張のうちに集中して音を紡いでいる様子は,命の蠢動を感じさせる。強さを無言でアピールしているようだ。
 生命力の躍動を見たい,彼らからエネルギーをもらいたい,若さを分けてほしい,っていう渇望がこちら側にあるのかね。年を取ったのかなぁと思いましたね。

2009年12月31日木曜日

2009.12.09 宇都宮大学管弦楽団第68回定期演奏会

宇都宮市文化会館 大ホール

● 12月になった。今月はかねて楽しみにしていた演奏会がたくさんある。まずは宇大管弦楽団の第68回定期演奏会。6日の午後2時から。場所は宇都宮市文化会館の大ホール。
 前回,アンケートに回答したものだから,楽団から招待状が届いた。この招待状で5名様までと書いてあるが,ぼくに一緒に行ってくれる相手はいない。

● 演しものはベルリオーズ「ハンガリー行進曲」(劇的物語「ファウストの劫罰」より),ドビュッシー「小組曲」,ブラームス「交響曲第1番」。
 指揮は海老原光氏。鹿児島ラサール中・高校を出ている人だから,頭も良かったんだろうな。東大ではなく芸大に進み,音楽の道を歩んできた。30代。まだまだ若い。

● オーケストラのライブは久しぶりだ。ライブで聴くのはオーケストラが一番だとあらためて思った。ライブとCDとの落差が一番大きいのがオーケストラだからね。生ならではの迫力を味わうにはオーケストラがいいですな。
 そこに来て若い学生たちの演奏だ。若者の演奏はイキがいい。生命の躍動感っていうか,これから成長していく者しか持たないオーラがステージを覆っている。それだけでこちらとしては何がしかのギフトをもらった気分になる。
 招待状で来ているからお金は払っていない。カンパ箱でもあればとキョロキョロしてみたのだが,そういうものは見あたらなかった。

● 一曲目に行進曲を持ってくるのはいいですね。最低限,客席は盛りあがる。
 ドビュッシーの「小組曲」は,もともとピアノ曲だったのをアンリ・ビュッセルが管弦楽曲に編曲したんですね。管弦楽曲の「小組曲」を聴くのは初めてだし,CDでも聴いたことがない(ピアノ曲の方は聴いてる)。
 吉行淳之介が好きだったという理由で,ドビュッシーにはこだわりを持っているつもりなのだけど,ぼくには難解です。いまだにピンと来ない。

● ブラームスの1番。第4楽章でウワァーッと盛りあがって終わる。交響曲の王道を行ってるっていうか。
 この曲は8月にも東京で聴いているし,2番と4番もライブで聴いている。超メジャーな曲のうえに,今年はブラームスが流行った1年だったのですかね。

● というわけで,今回も充分に満足して帰途につくことができた。帰宅してから,ブラームスを聴いてみた。カラヤンが指揮するベルリン・フィルの演奏なのだが,それよりも宇大管弦楽団のライブの方がずっと迫力がある。

● あえて注文をつけるとすれば,演奏が終わったあともしばらくは緊張を解かないで欲しい。
 オーケストラは演奏のみならず見た目のビジュアルも美しくあってほしい。顔かたちの問題ではない。緊張感が醸しだす凛とした感じが即ち美しさだから。

● 大学に入って初めて楽器に触れた団員もいるらしい。ぼくは大学では硬式庭球部に入ったが,硬式テニスなどそれまでやったことがなかった。音楽の部活でも同じ学生がいても不思議ではない。
 中学と大学で吹奏楽部にいた同僚のA君によれば,演奏会は2年生以上と1年生の経験者が出場することになるんだけれども,初心者でもメキメキと上達する人がいるんだそうだ。
 若い学生たちだから,3年や6年の経験の差は逆転可能な範囲なのだろう。可塑性が高いっていうか,しなやかさを保持しているっていうか。

2009年7月31日金曜日

2009.07.04 宇都宮大学管弦楽団第67回定期演奏会

宇都宮市文化会館 大ホール

● 7月4日(土),夕方6時から宇大管弦楽団の定期演奏会があった。入口で当日券を買った。8百円。週8千円のこづかいからでも痛みを感じずに出すことのできる金額だ。
 しかし,チケットで入場する人は少なくて,多くの人がハガキを手にしている。どういういことなのかわからなかったが,その謎はすぐに氷解した。演奏会についてのアンケートに答えると,次回の招待状が送られてくるのだ。
 観客の入りは宇都宮シンフォニー・オーケストラよりはずっと多く,栃木県交響楽団のときよりもやや少なめ。

● 若い学生の演奏はどうだったか。充分に堪能できた。知らない世界へ連れていってもらえた。
 彼らの技量の巧拙はわからない。でも,たとえ技術はイマイチであったとしても,訴えてくるものはある。音楽じたいが持つ何ものかと演奏に向かう学生たちの姿勢が,技術の巧拙を相対化してくれる。
 今度は高校生の演奏を聴いてみたい。音楽科のある高校じゃなくて普通の高校の生徒たちの演奏。技術的に巧いはずもないが,たぶんそれは聴くうえでの妨げにはならない。10代の若者がどんな表現をしてくれるのか,実際に確かめてみたくなった。

● メインの出しものはドヴォルザークの第9番「新世界より」。学生の演奏を聴きながら,アメリカの風物が中欧人のドヴォルザークの耳目にはどのように映っていたのか,とりとめなく想像をめぐらせた。
 ほかにはサン・サーンスの「チェロ協奏曲第1番」。招待演奏者はチェロの上森祥平さん。彼のチェロ独奏を聴けただけでも,来た甲斐があったと感じた人も多いだろう。
 指揮は村中大祐さん。

● パーカッションは何気にカッコいい。叩いた直後,さっと素手で抑えて音の振動をとめる仕草に惹かれる。最後列の一番高いところに立っているから,指揮者の次に目立つしね。

● ともあれ。若い学生さんに幸せな時間をもらった。次の演奏会は12月になる。今から楽しみだ。

● 今となってはこの年齢になるまでオーケストラと無縁できたことが悔やまれるばかりだ。
 でもね,しょうがないってこともわかってる。こういうのって縁だから。ベストのタイミングで会っているのだと思うしかない。