2011年10月31日月曜日

2011.10.31 間奏21:AKB48


● ここ数日,AKB48の「少女たちよ」を繰り返して聴いている。単純な人生応援歌。諦めるな,頑張って,っていう内容だ。なんだけど,少女のみならず,少女や少年のなれの果てに対しても,それなりの説得力がある。
 ヨメはAKB48の鼻にかけた声を嫌っているんだけど,ぼくは可愛いなぁと思って聴いてますなぁ。

● 考えてみれば,女性は一生のほとんどをオバサンとして生きなければならない。ああはなりたくないよねと若い同性から言われながら生きなきゃいけない。
 少女でいられるのはほんの束の間のことだ。ゆえに,少女とは儚い存在だ。AKB48の主要メンバーである大島優子にしても,とうの昔に少女は卒業している。
 次から次へと子どもは生まれてくるから,いつでも少女なるものは存在するので,その儚さをつい忘れがちになるけれども,女の一生はかくの如し。

● 女子高校生って,数年後にきれいになるために,汚いものを一生懸命に吐きだしている時期だと思っているんだけど,吐きだしている時期が華なのだってことなんだよねぇ。

2011.10.30 宇都宮シンフォニーオーケストラ ベートーヴェン・チクルス第2回

栃木県総合文化センター サブホール

● 29日はコンセール・マロニエのファイナルがあった。普段は聴けない曲を聴けたりするし,若者の演奏を聴けるし,コンクールならではの緊張感もあるしで,これは聴き得だと思っている。
 で,当然聴きに行くつもりでいたんだけれど,ヨメに先手を取られてしまった。ヨメの買い物につきあうことになって,言いだせず仕舞いで終わった。

● 言いだせなかったのは翌30日も宇都宮シンフォニーオーケストラのベートーヴェン・チクルスの2回目があったからで,2日連続でヨメのリクエストを袖にしたんでは,家のなかにぼくの居場所はなくなってしまう。男子は三界に家なしであって,幼少のみぎりは母にしたがい,大人になったら妻にしたがい,老いては子にしたがうのである。
 ともあれ,こちらは聴きに行かせてもらった。場所は総合文化センターのサブホール。チケットは千円。
 曲目は交響曲第2番とヴァイオリン協奏曲ニ長調。ヴァイオリン協奏曲のソリストは例によって,元コンミスの小泉百合香さん(ニューフィルハーモニーオーケストラ千葉の団員)。

● このオーケストラは栃響や真岡市民交響楽団に比べるとイマイチ身近に感じられないんですよ。その理由はわからないんだけどね。
 でも,ライブで音楽を聴けることの幸せはやっぱり感じる。ヴァイオリンやフルートを操れる人って,そのレベルはいずれにしても,すごいなぁと思う。ましてベートーヴェンだ。圧倒的な勢いをもってこちらに迫ってくる。圧倒される快感。

● すっかりスモーカーに戻ってしまった。休憩時間は戸外の喫煙所で過ごしたんだけど,そこに指揮者の石川氏と団員2人(男と女)が煙草を吸いに来た。団員が煙草を吸ってはいけないという話は当然ないんだけど,できれば観客の目に触れないところで吸ってほしいなぁと思いましたね。
 といって,喫煙所はひとつしかないのだろうから,ま,仕方がないわけだけど。

2011.10.20 間奏20:スピード狂


● ひとつの楽曲について複数の指揮者,奏者のCDを聴き比べてみるという方向に行くつもりはない。そこまでマニアックにはなれそうもないし,たぶん,その違いを味わいわけるだけの鑑賞能力も自分にはないだろうと思っている。
 ただ,そうは言っても,気に入った曲については自然に複数のCDを聴くことになる。
 また気になる奏者もいて(かなりミーハーな気分からなんだけどね。ピアノだったら内田光子さんとか,ヴァイオリンの諏訪内晶子さんとか),そうした気になる奏者が現れた場合は,同じ楽曲が複数になってしまう。

● 最近,佐渡裕さんの著書を読んで,彼が指揮しているCDを集めてみたくなった。こうして同じ楽曲が複数になっていくんですねぇ。
 音楽ファンの誰もが通る道なんでしょうね。そうやってお気に入りの指揮者とお気に入りの奏者のコレクションが増えていく,と。
 昔はお金と相談しながらコツコツと溜めていったんだろうけど,今はCDをリッピングすることができるから,一気呵成に溜まってしまう。お金もかからない。その分,感激は薄くならざるを得ないわけだけどね。

● 作曲家の写真集を3冊読んだ(というか,見た)。うち2冊はカラヤンを写したもの。カメラマンは木之下晃。
 木之下さんの解説によれば,カラヤンは必ず発表前に自身の写真を検閲したそうだ。右側からの撮影しか許さなかった,とも。管理が徹底していた。
 ルックスをゆるがせにしなかったということですね。普段から身だしなみを重視していたはずだ。実際,カラヤン伝説のいくばくかは彼の端正なルックスによるものではあるまいか。

● カラヤンってヨーロッパに4つの邸宅を持っていた。いずれも豪邸。でもキンピカではない。成金趣味は彼には遠いものだった。家具も古いモノを使い続けていたようだ。彼の美意識のなせるところだけれども,美意識を物質化するのに必要な財力もあったわけだ。

● カラヤンは自家用ジェット機を自分で操縦するスピード狂でもあった。車も然りだっただろう。カルロス・クライバーもスピード狂だったらしい。指揮者ってスピードと相性がいいのだろうかねぇ。
 スピード狂で有名なのはマイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツだけれども,ぼくはスピード狂の人は生命力が旺盛なのだろうと思っている。もちろん,単なるバカも大勢いるんだろうけど,バカなりに生命力は人並み以上に持っているのだろう。

2011.10.08 ロシア国立サンクトペテルブルグ・アカデミー・バレエ「白鳥の湖」

栃木県総合文化センター メインホール

● 8日(土)は総合文化センターでロシア国立サンクトペテルブルグ・アカデミー・バレエによる「白鳥の湖」公演があって,生まれて初めてバレエというものを鑑賞してきました。
 午後5時から約3時間のステージ。これで5千円(S席)はお値打ちだ。ただし,音楽は録音。当然でしょうね。管弦楽まで引き連れてきては,総文センターがいくら助成費をだしたって,この料金にはならない。
 メインホールはほぼ満席。男がひとりで来ているのはぼくぐらいのものだろうと思っていたのだが,これだけ席が埋まると,大勢の中に紛れてまったく目立つことはないのがありがたかった。

● パンフレットは別売で5百円。観客の半分が購入したとして(ぼくも買ったけれども)約30万円の追加収入。ほかにバレエとは関係ない各種グッズも販売していた。ほとんどは興業主の収入になるんだろうけど,実際,なかなか厳しいのかもしれないよねぇ,興業として成り立たせていくのは。
 ロシアにいくつかあるバレエ団のどこかは毎年,来日公演を行っている。たぶん,日本はドル箱なんだと思う。ではあっても,内実はどんなものか。

● オペラもそうだけれども,あらすじは子供だましにもならない程度の単純なものだ。そのあらすじを踊りと音楽でなぞっていく。
 したがって,肝心なところは振付とダンサーの踊りの妙ってことになる。ダンサーの細かい動きや表情が注目されることになる。

● おそらく世界最高水準のひとつのバレエを観ることができたのだろう。白鳥役のダンサーたちがたしかに白鳥に見える瞬間があるのだ。
 主役のオデット姫を演じたダンサーは素晴らしかった。指先のさらにその先にまで神経が通っているような感じ。

● 足裏をつけての片足立ちからポワントに移るときに,ふくらはぎが細くなる。その細くなる様がとても美しいものだってことを知った。
 つまり,バレエってセクシーだよね。そこがバレエの核心なんでしょうね。
 オペラもそうなんだけど,バレエもまた芸術以前にエンタテインメントだったはずだ。あまり芸術として祭りあげてしまうのはどうなんだろうか。
 エンタテインメント性のない芸術なんてそもそもあり得ないと思うんだけどさ。

● 日本人も3人ほど特別出演した。彼女たちを見て感じたこと。手足の絶対的な長さが足りない。
 バレエ表現のうえではこれはかなり大きいんじゃないだろうか。両腕で白鳥の動きを表現するにも,腕の長さ,指の長さは大事な要件なのだろうからね。
 その表現技法に抜本的な工夫を施さない限り(そんな工夫があるとも思えないけど),手足の短い日本人には越えがたい壁が立ちはだかっている,という印象を受けちゃいましたね。

2011.10.02 マロニエ交響楽団創立記念演奏会

栃木県総合文化センター メインホール

● 2日(日)にマロニエ交響楽団の創立記念演奏会に行ってきた。創立予告のチラシは前から配られていて,「マロニエ交響楽団は,2010年に栃木県宇都宮市で発足したアマチュアオーケストラです。貪欲に音楽を追求するメンバーが集まり,常設されたオーケストラに負けない質の高いアンサンブルを作るために結成されました。練習を通じて個々のさらなる技術向上をめざし,団員一丸となって盛り上げ,演奏者,観客ともに満足できる音楽をお届けすることをお約束します」とあったので,さてどんなものかと出かけていったのだけど。

● 曲目は,チャイコフスキーの荘厳序曲「1812年」とボロディンの交響曲第3番,そしてベートーヴェンの交響曲第5番と,盛りあがれる曲を持ってきた。創立記念だからね。
 指揮者は先の宇大管弦楽団の定期演奏会でも指揮をとった小森康弘さん。チケットは千円。

● 大雑把な言い方で申しわけないけれど,どれも良かった。特に「運命」の第2楽章は官能的ですらあった。ワーンと盛りあがるところを,まったく騒々しくなく,的確に演奏してくれる。
 大人の楽団という感じがした。確かな技術と真摯な姿勢が伝わってきた。しかも,若々しい。

● オーケストラのライブは演奏ぶりを目で見る楽しみもあると思うのだが,その目の楽しみも充分に満足させることができた。
 一生懸命に拍手を続けたし,アンケートにも絶賛の言葉を並べておきましたよ。

● 新しい楽団のデビューコンサートにどれほどのお客さんが来るものかと思っていたのだが,総合文化センターのメインホールの1階席はほぼ埋まっていた。ぼくは当日券で入場したんだけど,これだけの観客がいれば演奏する方も気合いが入るだろうと思う。

● メンバーには栃響の団員もいた。仕掛人の萱森康隆さんは宇大管弦楽団のOBで栃響の団員だそうだ。主に宇大の現役学生や卒業生に声をかけたらしい(下野新聞の記事による)。彼の思いはとりあえず実を結んだと言っていいのでしょうね。
 来年以降も年に1回の演奏会をやってくれるのであれば,ぼくにとっては非常なる楽しみがひとつ増えることになる。

● このマロニエ交響楽団のほかにも,来年は宇大管弦楽団OBのオケも結成されるようだ。ひとりでいくつものオケをかけ持ちすることになるんだろうね。
 個々の奏者はますます忙しくなるんだろうけど,ぼくとすれば聴きにいけるライブが増えることになるわけで,こういう動きは大歓迎だ。