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2018年8月21日火曜日

2018.08.05 東京音楽大学附属高等学校OB・OGオーケストラ

練馬文化センター 大ホール

● この演奏会を知ったのは,6月に聴いた上智大学管弦楽団の定演でチラシが配られたから。指揮者が同じ汐澤安彦さんだった縁でしょうね。
 じつはOBOGの4文字を見逃していて,附属高校の生徒たちの演奏会だと思いこんでたんでした。入場時にパンフレットをもらってやっと気がついた。

● 開演は午後2時。チケットは2,000円。いくら音大の附属高校とはいえ,高校生の演奏で2,000円も取るのかと思ったんですよ。それでも聴くに値すると踏んでいたわけですが。
 OB・OGだったのか。それなら納得。というか,安い。セコくて申しわけないのだが。

● 曲目は次のとおり。
 ワーグナー 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より“第1幕への前奏曲”
 ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番 ハ短調
 ドヴォルザーク 交響曲第8番 ト長調

● この日のために編成されたオーケストラ。N響をはじめプロのオーケストラに属している人も多いし,そこは音大附属高校卒の俊英なのだから,巧さはわかりやすく伝わってくる。
 マイスタージンガー前奏曲で,あ,響きが違うわ,的な印象。これはお得だぞと,再びセコいことを思ったんでした。

● ラフマニノフのソリストは金子三勇士さん。東京音大が生んだ日本を代表するピアニストの一人。っていうか,帰国して東京音大の附属高校に編入したときには,すでに俊秀だったわけだが。
 金子さんのピアノは2012年6月に一度聴いている。栃響の定演にソリストとして招かれたとき。そのときの印象はじつはあまり輪郭がはっきりしていない。体調が悪かったのかそれ以外の理由があったのかはよくわからないが。
 しかし,今回はそんなこともなし。ホームだとかアウェイだとかは,彼ほどになると関係ないのかもしれないけれども,それでも今回はホームもホームで,楽しくやれたんですかねぇ。

● アンコールはリストの「ラ・カンパネラ」。栃響のときも同じ曲をアンコールに選んでいて,その記憶だけは鮮明だったりする。
 金子さん,この曲に特別な思い入れがあるんだろうか。
 
● ドヴォルザークの8番。奏者全員のベクトルの向きが揃っているというか,乱れというものがまるでない。
 このメンバーで練習できた時間は相当に短かったはずだと想像する。にもかかわらず,ここまでのレベルに持って来れたのは指揮者の功績なのか,コンマスのリーダーシップなのか。

● 特に第3楽章の舞曲の冒頭。スィーティーなメロディだなぁと思っていたんだけど,スィーティーなだけじゃなかったんだ。ドヴォルザークはここでも技巧を加えているんだねぇ。
 CDでも気づかなかったんだが。自分は今まで何を聴いていたのかと思った。どうもいけない。いや,こういう発見があるから面白いのだとも言えるんだけど。

● 陳腐な表現で申しわけないけれども,幸せすぎる2時間を過ごさせてもらった。よくぞこの演奏会を拾ったものだと自分の選択をほめてやりたい。

練馬文化センター
● もうひとつ。客席について触れておいた方がいいだろう。演奏はいいのに客席がダメで,興ざめることがしばしばあるんだよね。何というかなぁ。グレン・グールドの気持ち,わかるよな的な。
 そういうおまえはどうなんだよと言われるとちょっと困るんだけどね。ま,自分を棚にあげたうえでの話だ。

● 今回は客席も東京音大附属高校の関係者や卒業生が多かったのだろう。客席に安心感があった。
 私語やプログラム冊子をめくる音,プログラム冊子を落とす音,はなはだしい場合は飴玉の包装紙をはがす音が聞こえてしまうことがあるんだけれども,そういうことは一切なし。フライング拍手もなし。ろくろく聴いていなかったくせに,いの一番にブラボーを叫ぶバカもなし。これだけの演奏は,客席との合作でもあったろう。

2012年6月10日日曜日

2012.06.10 栃木県交響楽団第93回定期演奏会

宇都宮市文化会館大ホール

● 6月10日は栃木県交響楽団の定期演奏会。会場は宇都宮市文化会館大ホール。チケットは1,200円(当日券は1,500円)。開演は午後2時。指揮者は三原明人さん。
 この楽団の会長に就任した須賀英之さんの姿もあった。律儀な人なのでしょう。宇都宮共和大学の学長の職にあってお忙しいだろうに。

● 曲目は次の3つ。
 ワーグナー 歌劇「ローエングリン」第1幕への前奏曲
 ラフマニノフ パガニーニの主題による狂詩曲
 シベリウス 交響曲第2番 ニ長調

● ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」でソリスト(ピアノ)を務めたのは,若干22歳の金子三勇士さん。アンコールでリストの「ラ・カンパネラ」を披露してくれたんだけれど,これが圧巻。これを聴けただけで1,200円の元は取れたと思った。
 この曲,フジ子・ヘミングが何度かCDに収録してますよね。ぼくも彼女のCDで聴いているんだけど,生で聴くと迫ってくるものが違う。

● プログラムの解説によれば,シベリウスの2番は,彼がイタリアに招かれたときに,「『魔法をかけられたような暖かい国』の印象を取り入れようと」して作曲したものだという。完成したのは母国フィンランドに戻ったあとだったらしいのだが。
 4楽章のクライマックスを聴いているときにぼくの脳内に浮かぶのは,寒冷な北欧の針葉樹林を吹き渡っていく吹雪のイメージだ(行ったことはないんだけど)。イタリアの温暖でちょっと猥雑な風景ではなく(行ったことはないんだけど)。シベリウス=フィンランドっていう固定観念が強すぎるのかもしれないんだけれどもね。

● ぼくは楽器をいじれないので,楽器を弾ける人って,それだけで無条件に尊敬する。
 聴いていると色々と思うところはある。けれども,自分が楽器を弾いていれば,また違った印象になるはずだ。(楽器をいじれないと)聴いていても気づけない盲点がたくさん出るはずだと思う。
 老境にさしかかって人生に悔いはいくらもあるけれども,楽器をいじる機会を逸したこともそのひとつ。特に,中学校に入学したときね。なぜ吹奏楽部に入らなかったのか,と。ま,今さらこんなことを言っても愚痴にしかならないんだけど。

● ステージで演奏している団員を見ててすごいなぁと思うのは,20年30年と演奏することを継続していることです。創立以来のメンバーもいるらしいから,もっと長く継続している人もいるわけだろう。
 自分が飽きっぽい性格だってことをわかっているので,ヴァイオリンにしろフルートにしろ,継続できている人を見るとすごいもんだなぁと思う。まして,栃響でやれているってのは相当すごいんですよ。

● アンコール曲は,シベリウスの交響詩「春の歌」。これをアンコールにもってくるってのも,サービス精神が旺盛というか,一曲分多く聴くことができたって感じになりますね。
 こういうサービス精神は客席側からすれば大歓迎なんだけど。

● プログラムの団員名簿に岡本潤さんの名前があった。一昨年のコンセール・マロニエ21(弦楽器部門)で第1位になった人。その彼がコントラバスに賛助出演してたんですね。