横浜みなとみらいホール 大ホール
● このブログは音楽そのものについては,あまり語れていないと思う。語れるだけの鑑賞眼を持っていないからで,それはそれで仕方がないと諦めている。
ただ,その程度であっても,ステージから「感動」を得られたときは,その程度なりに気がこもるところはあるのじゃないかと思う。「感動」がなければ書けないというほど,ぼくはセンシティブではないけれども,書いても平板になることは自覚している。
で,その「感動」はステージ側に責任を帰してしまっていいものか。おまえらがダメだから,オレは「感動」できなかったぞ,という図式は成立するか。それとも,客席にいる自分が見つけに行くものか。
じっとしていても郵便物のように届くものか。それとも,こちらが立ちあがって取りに行かなければならないものか。
後者だろう。どんな演奏にも「感動」の種は潜んでいるものだと看做すことにしたい。小学生の鼓笛隊であっても,だ。
今まで,その探索が充分だったかどうか。
以上は今までの反省の弁であって,今回の演奏会とは直接の関係はない。
● Sinfonia Resonanzの演奏会は前回に続いて二度目。「ベートーヴェンの交響曲を全曲演奏するために結成された楽団」で,今回がその最終回(だと思う)。ぼくは前回の第5回を聴いたのが初めてで,残念なことにそれ以前は知らない。
開演は午後1時半。チケットは1,000円。当日券を購入。
● 最終回の今回は,交響曲の1番と9番。指揮は小笠原吉秀さん。
この楽団から感じるのは,カチッとしたマジメさ。若いアマチュアの俊才たちが,1枚の絵を完成させるために,個々のピースをていねいに組み合わせてきた,といった感じ。もちろん,こちらの勝手な想像だ。
ただ,好きどおしで和気藹々と楽しくやってきましたというんじゃないでしょうね。求道者的マジメさを感じたんですけどね。
● 「第九」の冒頭,弦のトレモロに乗ってホルンが宇宙の開闢を告げる。神が最初の一撃を与えたのである。以後の展開はめまぐるしい。第1楽章が終わったところで,普通に交響曲をひとつ聴き終えた気分になる。心地良い疲れに満たされる。
もういいやと思う。第1楽章が聴ければ気がすむ。
ぼくはそれでいいとしても,演奏する方はそうはいかない。この先もベートーヴェン的執拗さに付き合っていかねばならない。
● 第2楽章も充分すぎる質量があって,これだけ聴いても,不足感は何もない。第3楽章の甘美さは何としたものだろう。透明で上品。天国の調べとはこういうものだろう。
以上のすべてを否定して,第4楽章が歓喜のテーマを奏でるというんだけど,本当か。本当にそうなのか。いいのか,そういう解釈で。「おお,友よ,このような音ではない!」とは,そういうことなのか。
● 第4楽章に登場する歌い手たちは,古河範子さん(ソプラノ),堀田亜沙子さん(アルト),雨谷善之さん(テノール),高田智士さん(バリトン)。どうしたってソプラノが目立つわけだけど。
合唱団は公募による。この合唱団のレベルが高かったのに一驚。合唱って数じゃない。
声楽が入ると,ただちに荘厳が生まれる。厳かさがホールを支配する。声楽の不思議。宗教音楽が声楽中心なのは,充分すぎる理由があってのことだとわかる。
● 集中と緊張の管弦楽にソリストたちの熱演もあいまって,見事な「第九」ができあがった。
終演後もしばらく立ちたくなかった。今年は年末の「第九」は行かなくていいかなとか思った。行くと思いますけどね。
● 久しぶりのみなとみらい。さすがに休日は人が多い。ウォーターフロント,東京のお台場もちょっと陰りが見えるようだし,ちょっとどうなのよなんて思ってたんだけど,栃木ではあり得ない人並みだ。
でも,お金を持ってないと楽しめないよね,ここ。
約2時間のコンサートが終了した直後の満足感は,他のものでは代替できません。この世に音楽というものが存在すること。演奏の才に恵まれた人たちが,時間と費用を惜しまずに技を磨いていること。その鍛錬の成果をぼくたちの前で惜しみなく披露してくれること。そうしたことが重なって,ぼくの2時間が存在します。ありがたい世の中に生きていると痛感します。 主には,ぼくの地元である栃木県で開催される,クラシック音楽コンサートの記録になります。
2014年3月17日月曜日
2013年8月31日土曜日
2013.08.31 Sinfonia Resonanz ベートーヴェン全交響曲連続演奏会・Ⅴ
杉並公会堂 大ホール
● Sinfonia Resonanz(シンフォニア・レゾナンツ)は,「2011年4月にベートーヴェンの交響曲を全曲演奏するために結成された楽団」で「プログラムは全てベートーヴェン作曲によるもので組まれている」。
「団員はその多くが大学生であり,大学オケなどでコンサートマスターやトップを経験した方が数多く参加して」おり,「東京大学,東京工業大学,早稲田大学,慶應義塾大学など,都内の様々な大学から,当団でベートーヴェン・チクルスを演奏するために集まってい」るという。
練習の場所は東大の駒場キャンパスにある。週1,土曜午後に練習しているらしい。
● 東大にしろ,早稲田にしろ,慶應にしろ,それぞれ定評のある学内オケを抱えているわけで,そういうところのいわば上澄みを掬ったようなものか。
プログラムの紹介記事によると,コンサートマスターは東京大学フィロムジカ交響楽団のコンマスを務めた人。ひょっとすると,Sinfonia Resonanzはフィロムジカ交響楽団の別バージョンであるのかもしれない。
仕事も忙しい人に頼めと言うように,それぞれの場所で活動しながら,それ以外に別の場所を持っているほどに活動量の多い人は,たぶん質も高いものだろう。
● 2011年10月を皮切りに,今まで4回にわたって演奏会を開催してきた。次回の「第九」をもって活動終了となるらしい。
気づくのが遅すぎたか。って,チラシは何度か目にしたことがあったんですけどね,やはり東京まで出るのはなかなか大変でね,その都度見送ってしまってたんですね。仕方がない。
● 開演は午後2時。チケットは1,000円。当日券を購入。
チケットを買ってから会場の席に座るまでの間,何度「ご来場ありがとうございます」と挨拶されたか。このあたりも,接客マニュアルが徹底されているようで,なかなかに気持ちが良かった。
● マニュアル接客というのは,昔から批判(非難)の的にされていた。たぶん,批判しやすいものなんだと思う。
昔でいうと,スチュワーデス(当時の言葉)がそうだった。目が笑っていないなんぞと,無茶苦茶なことをいうヤツがいた。今だと,マクドナルドがやり玉にあげられることが多いですかねぇ。
● 前に読んだビジネス書に,こんな話が紹介されていたのを記憶している。ある人がマックでハンバーガーを50個注文したら,マニュアルどおりに「こちらでお召しあがりですか,お持ち帰りですか」と訊かれた,という話。
店内でハンバーガー50個を喰うはずがないだろ,お持ち帰りに決まってるだろ,いちいち訊くな,というわけだ。要するに,状況に応じて,対応を変えなければいけない,いつもマニュアルどおりにやっていてはダメだ,と言いたいわけですね。
● この話が本当にあったものか,どこかの馬鹿が頭の中でこしらえたものか,それは知らない。
店員の対応は間違っていない。マニュアルどおりでいい。逆に,こういうときこそ,マニュアルを守れるかどうかが問題になる。万にひとつということがある。その可能性を常識で排除してはいけない。テイクアウトするのであれば,客側が,「いいえ,違います」とひと言答えればいいだけのことだ。
● サービス提供者にマニュアル以上の対応を求めるのは,客側の驕りだ。問題はマニュアルの出来と,接客者がそのマニュアルをクリアできる水準にあるかどうか。総じていえば,マニュアルをクリアできているところは,そんなに多くはない。
以上は余談。
● 曲目は次のとおり。指揮は小笠原吉秀さん。
バレエ音楽『プロメテウスの創造物』序曲
交響曲第2番 ニ長調
ピアノ,ヴァイオリン,チェロと管弦楽のための三重協奏曲 ハ長調
● いずれも,ベートーヴェンの作品の中では,聴く機会の少ない曲。ぼくなんぞは,「プロメテウス」と「三重協奏曲」はCDでも聴いたことがない。
で,当日,電車の中で「プロメテウス」は全曲聴いてみたんだけど,まぁ何というのか,ピンと来なかった。バレエ音楽といったって,この曲で踊るのはけっこう大変なんじゃないだろうか。振付だって難しいんじゃないのかなぁ。そんなこともないのか。
● しかし,生で聴いてみると,また印象が違ってくる。聴いたのは「序曲」ですからね,純粋な管弦楽曲ってことになるし。
2番もベートーヴェンの交響曲の中ではマイナーだとしても,もはや堂々たるベートーヴェンで,圧倒されるしかない。音楽を聴くことの快感っていろいろあると思うんだけど,筆頭にくるのはこの圧倒される快感だものな。
● 「三重協奏曲」はさらに豪華。ピアノが丹千尋さん, ヴァイオリンが三上亮さん, チェロが遠藤真理さんというラインナップ。
演奏中の遠藤さんは,鬼の形相。怖いほどにね。普段は,たぶん,穏やかで温和で可愛らしい人なんだろうけど。
このトリオの演奏を聴けるのは,これが最初で最後だろうし,「三重協奏曲」そのものを生で聴ける機会があるかどうか。
● Sinfonia Resonanz(シンフォニア・レゾナンツ)は,「2011年4月にベートーヴェンの交響曲を全曲演奏するために結成された楽団」で「プログラムは全てベートーヴェン作曲によるもので組まれている」。
「団員はその多くが大学生であり,大学オケなどでコンサートマスターやトップを経験した方が数多く参加して」おり,「東京大学,東京工業大学,早稲田大学,慶應義塾大学など,都内の様々な大学から,当団でベートーヴェン・チクルスを演奏するために集まってい」るという。
練習の場所は東大の駒場キャンパスにある。週1,土曜午後に練習しているらしい。
プログラムの紹介記事によると,コンサートマスターは東京大学フィロムジカ交響楽団のコンマスを務めた人。ひょっとすると,Sinfonia Resonanzはフィロムジカ交響楽団の別バージョンであるのかもしれない。
仕事も忙しい人に頼めと言うように,それぞれの場所で活動しながら,それ以外に別の場所を持っているほどに活動量の多い人は,たぶん質も高いものだろう。
● 2011年10月を皮切りに,今まで4回にわたって演奏会を開催してきた。次回の「第九」をもって活動終了となるらしい。
気づくのが遅すぎたか。って,チラシは何度か目にしたことがあったんですけどね,やはり東京まで出るのはなかなか大変でね,その都度見送ってしまってたんですね。仕方がない。
● 開演は午後2時。チケットは1,000円。当日券を購入。
チケットを買ってから会場の席に座るまでの間,何度「ご来場ありがとうございます」と挨拶されたか。このあたりも,接客マニュアルが徹底されているようで,なかなかに気持ちが良かった。
● マニュアル接客というのは,昔から批判(非難)の的にされていた。たぶん,批判しやすいものなんだと思う。
昔でいうと,スチュワーデス(当時の言葉)がそうだった。目が笑っていないなんぞと,無茶苦茶なことをいうヤツがいた。今だと,マクドナルドがやり玉にあげられることが多いですかねぇ。
● 前に読んだビジネス書に,こんな話が紹介されていたのを記憶している。ある人がマックでハンバーガーを50個注文したら,マニュアルどおりに「こちらでお召しあがりですか,お持ち帰りですか」と訊かれた,という話。
店内でハンバーガー50個を喰うはずがないだろ,お持ち帰りに決まってるだろ,いちいち訊くな,というわけだ。要するに,状況に応じて,対応を変えなければいけない,いつもマニュアルどおりにやっていてはダメだ,と言いたいわけですね。
● この話が本当にあったものか,どこかの馬鹿が頭の中でこしらえたものか,それは知らない。
店員の対応は間違っていない。マニュアルどおりでいい。逆に,こういうときこそ,マニュアルを守れるかどうかが問題になる。万にひとつということがある。その可能性を常識で排除してはいけない。テイクアウトするのであれば,客側が,「いいえ,違います」とひと言答えればいいだけのことだ。
● サービス提供者にマニュアル以上の対応を求めるのは,客側の驕りだ。問題はマニュアルの出来と,接客者がそのマニュアルをクリアできる水準にあるかどうか。総じていえば,マニュアルをクリアできているところは,そんなに多くはない。
以上は余談。
● 曲目は次のとおり。指揮は小笠原吉秀さん。
バレエ音楽『プロメテウスの創造物』序曲
交響曲第2番 ニ長調
ピアノ,ヴァイオリン,チェロと管弦楽のための三重協奏曲 ハ長調
● いずれも,ベートーヴェンの作品の中では,聴く機会の少ない曲。ぼくなんぞは,「プロメテウス」と「三重協奏曲」はCDでも聴いたことがない。
で,当日,電車の中で「プロメテウス」は全曲聴いてみたんだけど,まぁ何というのか,ピンと来なかった。バレエ音楽といったって,この曲で踊るのはけっこう大変なんじゃないだろうか。振付だって難しいんじゃないのかなぁ。そんなこともないのか。
● しかし,生で聴いてみると,また印象が違ってくる。聴いたのは「序曲」ですからね,純粋な管弦楽曲ってことになるし。
2番もベートーヴェンの交響曲の中ではマイナーだとしても,もはや堂々たるベートーヴェンで,圧倒されるしかない。音楽を聴くことの快感っていろいろあると思うんだけど,筆頭にくるのはこの圧倒される快感だものな。
● 「三重協奏曲」はさらに豪華。ピアノが丹千尋さん, ヴァイオリンが三上亮さん, チェロが遠藤真理さんというラインナップ。
演奏中の遠藤さんは,鬼の形相。怖いほどにね。普段は,たぶん,穏やかで温和で可愛らしい人なんだろうけど。
このトリオの演奏を聴けるのは,これが最初で最後だろうし,「三重協奏曲」そのものを生で聴ける機会があるかどうか。
登録:
投稿 (Atom)

