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2017年10月16日月曜日

2017.10.07 レイディエート・フィルハーモニック・オーケストラ 第27回定期演奏会

大田区民ホール アプリコ 大ホール

● 最近(といっても,だいぶ前から),コンサートに出かけてもフワッと聴いてしまっているような気がする。一期一会というとさすがに大げさになるけれども,この一回という真剣さが目減りしている。
 開演前の緊張感を聴衆のひとりとして共有しなければいけないのだけど,その構えにも欠けるところが出ているように思う。

● 馴れてしまったということか。そういう態度でしか聴けないのであれば,奏者に対して失礼だから,聴きに出かけてはいけないとも思うのだが。
 聴き巧者になる必要は必ずしもないと思っている。ただし,真剣な聴き手である必要はある。これがないと自分の人生もないと思えるくらいの場に仕立てることができればいいのだが。

● さて,レイディエート・フィルハーモニック・オーケストラの定演。拝聴するのはこれが2回目。前回聴いたのは,2014年の第21回。
 開演は午後2時。チケットは1,000円。

● ホールに入ってみると,ステージには何も置かれていない。オーケストラはといえば,ピットに入るようだ。ということは,ステージではバレエダンサーが華麗に踊りを繰り広げるのだろう。
 おいおい,1,000円でこんな贅沢をさせてもらっていいのかい?

● ということにはならず,ステージ上には奏者が座る椅子が並べられていた。コントラバスもスタンばっていた。バレエなしの,あくまで音楽を演奏するのだった。そりゃそうだよね。
 曲目はグラズノフ「バレエの情景」とプロコフィエフ「シンデレラ(組曲版)」。指揮は小倉啓介さん。

● 演奏の前にプレトークがあった。話者は団長の山崎慎一さん(クラリネット)とチェロの山野雄大さん。山野さんの本業は音楽ライターだそうだ。っていうか,そちこちで健筆を振るっている人ですよねぇ。そりゃあ,蘊蓄を蓄えているはずだ。そういう人がここでチェロを弾いていたのか。
 曲とその背景を解説したんだと思う。だけど,ぼくが憶えているのは,シンデレラのストーリーにとらわれず,自分が振付師になったつもりで,自分ならこの音楽にどういう踊りを振り付けるか,そこを想像しながら聴いてみれくれ,というところだけ。
 が,それはなかなかに高度な技だね。音楽からリズムとストーリーを紡ぎだして,それをダンスに置き換える。かなり高度な技だな。

● どちらも初めて聴く。「バレエの情景」はCDも持っていない。「シンデレラ」も演奏されたのは組曲版だったんだけど,組曲版のCDはやはり持ってない。
 チャイコフスキーやストラヴィンスキーのような例外はあるにしても,バレエ音楽って,音楽だけ聴いてもさほど面白いものではないという先入観があった。
 踊るための音楽だから,リズム重視で,他はないがしろにされている,という理由による。が,ぼくが思っている以上に例外が多いのかもしれない。

● 「バレエの情景」のうち,第4曲「スケルツィーノ」は演奏されず。山野さんによれば“大人の事情”による。つまり,難解で本番までに形にするには時間が足りなかったということのようだ。
 「シンデレラ」は曲目解説によれば「深い叙情と透明感」とあるんだけど,“金管の咆哮”的な場面も登場する。あぁ,やっぱりロシアなんだなぁとは思うんだけど,それ以上にはなかなかいかないね。
 これにどんな踊りを合わせるか,まったく見当もつかないや。いや,それ以前に踊りについて知らないものね。

● バレエ音楽では,オケはピットにいて,舞台ではダンサーが華やかに踊っているっていうのがいいね。その方が受け身の気楽さを享受できるというわけですよね。
 それを生で観るというのは,とんでもない贅沢ではあるんだけどね。

● ところで,指揮者の小倉啓介さん。彼もまたユニークというか破天荒というか,面白い人なんですね。彼が半生を語っているインタビュー記事がネットにあるんだけど,これが無性に面白い。
 藝大付属高校を卒業したのに藝大に落ちた話。部外者はアッハッハと笑えるんだけど,本人は複雑だったろうねぇ。

● ここに書かれているところがその通りなのだとすれば,藝大の教授陣にもケツの穴が小さすぎる男たちがいて,そういう男たちが若者の生殺与奪の権を握っていたってことだよね。つまらん大学だね,藝大って,という印象になってしまう。
 小説かドラマになりそうな話ですよ。ま,今だったら同じことをやってもセーフだったかもしれない。時代が小倉さんに追いついてきたってことでしょうかね。

2014年8月18日月曜日

2014.08.16 レイディエート・フィルハーモニック・オーケストラ第21回定期演奏会

大田区民ホールアプリコ 大ホール

● 立川から南武線で川崎へ。京浜東北線に乗り換えて,蒲田で下車。せっかく東京に出てきたんだからというわけで,久しぶりのダブルヘッダー。
 これをやると,印象が散ってしまう。あんまりいいことじゃないと思うんだけど,印象なんてものは時間がたてばどうせ散る。

● 南武線はギャンブルラインでもあるようで,沿線には競馬・競輪・競艇の施設がたくさんある。競輪だと思うのであるけれど,予想紙に真剣に赤ペンを入れている中年の男性がいた。
 ぼくの見るところ,こういうものに入れ込む資格のある男性はさほどにいないように思われる。だいたいは,波打ち際でチャプついている手合いだろうから,家族に害を及ぼすこともない。
 が,中には深みにはまった人もいるはずだ。こうなると,失うものが大きくなりすぎて,人生とギャンブルを引き換えることになるかもしれない。
 中には,そうしてもなお,人生再建をやりとげる人がいる。資格のある男だ。
 ぼくは単純に臆病者だから,そういうものには近づかないことにしている。自分に博才がないこともよくわかっている。わざわざネギを背負ったカモになることもあるまい。面白味のない男である。

● 蒲田駅構内の“おむすび権米衛”でおにぎりを3個買って,腹ごしらえ。ここのおにぎりを3個も喰うということは,一合は軽く超える米を喰ったことになる。
 喰いすぎだ。わかっているんだけど,“権米衛”のおにぎりはじつに旨いから困る。

● 開演は午後7時。チケットは1,000円。当然にして,当日券を購入。
 指揮は小倉啓介さん。曲目は次のとおり。
 フンパーディンク ヘンゼルとグレーテル序曲
 ブラームス ハイドンの主題による変奏曲
 ドヴォルザーク 交響曲第8番 ト長調

● レイディエートは「バレエ音楽の演奏を専門とするオーケストラ」で,演奏会でもずっとバレエ音楽を手がけてきているようだ。「今回は趣向を変えたプログラムに取り組みます」とのことなんだけど,次回はハチャトゥリアン「ガイーヌ」の予定。
 じつは前から名前だけは知っていた。バレエ音楽をもっぱら手がけていることも。ただ,バレエ音楽って音楽だけ聴いてもあまり面白くないっていうか。そんなふうに思っちゃってて。逆に,ストラヴィンスキーの「春の祭典」なんかになると,これにどんなバレエを振り付けるんだよとか思っちゃって。

● ドヴォルザークの8番を久しく聴いていない。CDではちょこちょこ聴いているんだけど,生では。で,聴けるんだったら聴いておこうかというくらいの感じで行ってみたんですけど。
 驚かされた。かなり練られている。音大卒もけっこうな数,いるんでしょうね。

● 3楽章のスイーティーな舞曲。スラブ乙女が友だちと楽しそうに語らっていたり,小走りに走り寄ってきたり,洗濯してたり,乙女どうしが手をつないで歩いていたりっていうシーンが,ぼくの脳内に浮かんでは消えていった。男が勝手に作った乙女のイメージではあるんだけどね。
 4楽章冒頭のファンファーレも決まっていた。着地もまた。

● つまるところ,今まで見過ごしていたことをちょっと悔やみたくなった。ただね,悔やもうと悔やむまいと,べらぼうな数のオーケストラがあるんだからね,東京には。
 ひととおり全部聴いたうえで,どれとどれとどれを選ぶなんてことはできる相談じゃないわけでね。それこそ,ギャンブルチックに決めて行くしかないということもあってさ。こういうケースが出るのも致し方がないな。