2013年5月6日月曜日

2013.05.04 宇都宮北高等学校吹奏楽部第27回定期演奏会

栃木県総合文化センター メインホール

● 昨年に続いて二度目の拝聴。昨年はドジを踏んで30分の遅刻となったけど,今回はそんなこともなく,開場時刻前に到着。
 開演は午後2時。チケットは800円(自由席)。当日券は1,000円。前売券を買っておいた。

● 他高の生徒もいたし,中学生がかなりの数,聴きに来ていたようだ。県内の高校吹奏楽部においては,たぶん,抜群の知名度を誇っているのだろうな。
 受付でモギっていたのはOGだろうか。中にはホテルのフロントとか,接客を仕事にしている方もいたのじゃないかと思った。にこやかに手なれた感じでプログラムを渡された。会場のスタッフに委託していたとは考えにくいから,OGなんでしょうねぇ。

● 主催がOB・OG会ということもあってか,開演前の学校関係者のあいさつがない。能書きなしに,いきなり演奏が始まる。これがいいですな。プロっぽくなるね。
 校長あいさつなんてのはプログラムに載せておけばいいので,本人が出てきて喋ってしまっては,演奏会の格調を損なう(場の空気を冷やしてしまう)結果になるのが常。演奏会には演奏以外のものはない方がいい。

● 第1部はクラシック。オール・フランスで,ベルリオーズの序曲「ローマの謝肉祭」と,ドビュッシーの「小組曲」から第1曲(小舟にて)と第4曲(バレエ)。同じくドビュッシーの交響詩「海」から第3楽章(風と海との対話)。
 フランスって,ぼく的には苦手な分野。たんに曲を味わえばいいっていうか,聴こえてくる音楽から自由にイメージを作って,そのイメージに遊べばいいのだと思う。
 とはいうものの,音という抽象からイメージという具象を描きだすのは,けっこう脳に負荷をかける作業のようだ。どうもうまくできない。

● プログラムの「曲目解説」で知ったんだけど,「1905年に出版された(「海」の)スコアの表紙には葛飾北斎の浮世絵である富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」が使用され」たらしい。
 でもなぁ,「海」を聴いてぼくの脳内に浮かんでくるのは(あまり明確な像は出てこないんだけど),「神奈川沖浪裏」とは似ても似つかぬものなんだよなぁ。ああいう荒々しいものではないんですよね。かといって,瀬戸内のような海でもないんだけど。

● 第2部は吹奏楽曲モード。ポーターの「Be A Clown」,ガーシュウィンの「I Got Rhythm」,そしてアウグスティン・ララの「Granada」。
 演奏についていえば,さすがは北高ということ。北高クオリティ。昨年に比べると,奔放さが若干減じたかと思わないでもなかったんだけど,たとえそうだとしても,それが演奏にどう出ていたのかと問われれば,特に何も感じなかった,とさえない感想を申し述べることになる。
 「Granada」では大貫比佐志さん(サクソフォーン)がソリストで登場。北高吹奏楽部の木管トレーナーでもあるらしい。その大貫さんに引っぱられて,高校生もあっぱれな演奏で第2部のフィナーレ。

● その後,女子部員が大貫さんに短いインタビュー。驚いたことに,そのインタビューが巧いのだった。事前の打合せはしたのかもしれないけど,それが過剰ではなかったのだろう。
 そういうことよりも,これだけの観客の前で彼女があがっていなかったのがすごい。日常の延長のような感じだった。今の子は「あがる」ってことがないんだろうか。
 大貫さんの応えっぷりも良かった。こういうふうに応接してくれれば,生徒もあがらずにすむのかも。

● 大貫さんが部員たちを評して,「良くも悪くも暢気だよね」と言っていたのが面白かった。北高吹奏楽部の部員たちに限らず,今の若者全般にあてはまるかなぁと思ったものでね。
 暢気でいた方がいいときもあるし,暢気でいてもいいときもあるし,暢気でいちゃいけないときもあるんだろうけど,基本,暢気でいいんじゃないの。と,ぼくは思ってますけどね。
 息せききって走っても,悠々と歩いても,要する時間に驚くような違いはないと思ってるんで。人生とマラソンは違うぞ。

● さらに驚いたのが次の第3部。プログラムでは「ミュージカル」となっている。題目はプロコフィエフのバレエ音楽「ロミオとジュリエット」。
 昨年は「くるみ割り人形」だったと記憶してるんだけど,音楽がメインで,舞台はつけたし的な印象があった。けれども,今回は舞台が舞台として成立してた。音楽は舞台を引き立てる役回りになってたっていうか。

● ひとつには,選曲と演出による。誰もが知っている「ロミオとジュリエット」を持ってきたこと。さほどに難易度の高いダンスを盛りこまなかったこと。バレエだから言葉はないんだけど,その代わりに演者に楽器を持たせて演奏させたことも,効果的な工夫だったかもしれない。
 第2には,バックの吹奏楽の表情豊かな演奏が,充分以上に舞台にリアリティをもたらしたこと。

● しかし,第3には,ジュリエットを演じた女子生徒の功績だ。照れないで演じたのが良かった。私がジュリエットでいいの,なんて余計なことを考えてなかったのがいい(いや,考えたのかもしれないけどね)。
 メイク効果もあったろうし,ステージ効果もあったんだろうけど,貴族の娘って感じが出ていた。少女から大人への移行が終わりかけている乙女の雰囲気。
 っていうか,清楚な大人の女性のお色気が滴っているような感じね。まぶしかったですよ。こういうのってさ,有無を言わさぬ説得力があってさ,それに対抗するにはどうすればいい?

● リアルの恋愛だって演技によって成立している。弱い男が強いふりをして。強い女が弱いふりをして。
 いつまでも「ふり」を続けるわけにはいかないから,恋愛の持続時間は長くはない。そうでなかったら困ることになる。強いふりを続けなければならない男は,全員,過労死にいたるだろう。

● ということなんだけど,恋愛ってのは,バレエでもオペラでも永遠のテーマですな。その心は? 青春への郷愁なんですかねぇ。そんなことでもないと思うんだけど,鉄板のテーマだね,恋愛って。
 でも,恋愛が似合うのは,やはりこれから生殖年齢を迎える若い男女であって,ジジババの色恋はあまり美しくはないよな。美しくなくても,やるのは自由だけどさ。

● プログラムの冊子も面白くできてて,楽しめた。特に「3年生紹介」。3年生部員を一人ずつ紹介してるんだけど,紹介文のセンスがかなりいい。当然,合作でしょうね。
 もし,これだけのものを一人で書いたんだったら,そいつはある種の天才だ。いうところのクリエイティブな方面に職を求めるべきだな。しかも大学なんか行かないで,いきなり始めちゃった方がいいだろうね。

● 添えられている写真も凝っている。よく考えられたコラージュになってますな。勢いよく配置を決めていったんだろう。その勢いが活きている。
 一方で,作業にはコンピュータを使っているんだろうけど,手間ひまもかけてる感じ。結果において,面白い仕上がりになった。

● コピーも斬新だ。ひとつだけあげろと言われれば,「遠目イケメン!」ってやつ。何でもないようだけど,すごいぞ,これ。
 すでにどこかで誰かが言っているのをパクった? そうではなく,オリジナルだとしたら(たぶん,オリジナルなんだろうけど),一も二もなく脱帽する。

● 白昼堂々と女子にこういうことを言っても大丈夫な時代になったんだなぁ,ってことにもちょっとした感慨あり。吹奏楽部という場があって,その場を共有している者に限って許される話ではあるんだけど,それにしても時代は変わってきてたんだなぁ,って。
 もちろん,そういうことを言わせ得る彼女もすごい。どちらかというと,彼女の方がすごい。

10 件のコメント:

  1. いきなりのコメント失礼します。接客業をしているのではと感じた方は小柄でしたか?

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    1. 小柄でした。ホテルウーマンかキャビンアテンダントかと思いました。
      ただし,あの場に大柄な方はいませんでした。

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  2. お褒めの言葉ありがとうございます!
    2部で司会をしました女子部員です(笑)

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    1. お読みいただき,ありがとうございます。
      あの演奏会は色々と楽しかったのですが,基本,あの演奏水準があればこそ,ですよね。

      今度は(大学)受験ですか? がんばりすぎない程度にがんばってくださいね。

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  3. 遠目イケメンです(笑)
    遅くなりましたが、ありがとうございました!

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    1. 遠目イケメンって失礼しちゃいますよねぇ。
      ざけんなよ,どこ見てんだよっ,ですよねぇ。

      近目イケメンにもなれる方法をお教えしましょうか。
      少し時間はかかるかもしれませんが,お金はかかりません。
      整形よりは効果があると思います。

      自分は近目でもイケメンだと思ってしまえばいいのです。
      なに,それ? と思ったでしょう。
      でも,これ,真理です。

      顔じたいはもちろん変わりませんが,思いこめれば,近目イケメンオーラが自分の顔を包むんです。
      人は顔そのものではなくて,そこからちょっと浮いたオーラ(適当な言葉じゃありませんが)を見ているものです。

      要するに,根拠のない自信です。
      自信を持つのに根拠は要らない,根拠があろうとなかろうと,自信は持ったもの勝ち,と気づけるかどうか。
      自信が先で,根拠は後です。
      何事もそうです。

      自分は近目でもイケメンだと思いこんでしまえれば,実際にそうなります。
      事実はあとから付いてくるんです。

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    2. なんだか、とてもありがとうございます!(^_^)a
      近目でもイケメンになれるように頑張ります!

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    3. いや,がんばらなくてもなれますよ。
      ただ,思いこめるまでに少々時間がかかるかもしれないというだけです。

      ちなみに,私はこのことに気づくのが遅すぎました。
      テヘヘ,残念。

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    4. やっぱり、ステージに立つからにはいろんな意味でイケメンになりたいです!笑

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    5. そうですよね。ステージに立つ者としては,それが最も大切な心構えだったりしますもん。
      なってください。なれますよ。

      根拠のない自信を持ってしまって,自己像を高く掲げて,これからの人生を押しわたって行ってください。

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