● Sinfonia Resonanz(シンフォニア・レゾナンツ)は,「2011年4月にベートーヴェンの交響曲を全曲演奏するために結成された楽団」で「プログラムは全てベートーヴェン作曲によるもので組まれている」。
「団員はその多くが大学生であり,大学オケなどでコンサートマスターやトップを経験した方が数多く参加して」おり,「東京大学,東京工業大学,早稲田大学,慶應義塾大学など,都内の様々な大学から,当団でベートーヴェン・チクルスを演奏するために集まってい」るという。
練習の場所は東大の駒場キャンパスにある。週1,土曜午後に練習しているらしい。
プログラムの紹介記事によると,コンサートマスターは東京大学フィロムジカ交響楽団のコンマスを務めた人。ひょっとすると,Sinfonia Resonanzはフィロムジカ交響楽団の別バージョンであるのかもしれない。
仕事も忙しい人に頼めと言うように,それぞれの場所で活動しながら,それ以外に別の場所を持っているほどに活動量の多い人は,たぶん質も高いものだろう。
● 2011年10月を皮切りに,今まで4回にわたって演奏会を開催してきた。次回の「第九」をもって活動終了となるらしい。
気づくのが遅すぎたか。って,チラシは何度か目にしたことがあったんですけどね,やはり東京まで出るのはなかなか大変でね,その都度見送ってしまってたんですね。仕方がない。
● 開演は午後2時。チケットは1,000円。当日券を購入。
チケットを買ってから会場の席に座るまでの間,何度「ご来場ありがとうございます」と挨拶されたか。このあたりも,接客マニュアルが徹底されているようで,なかなかに気持ちが良かった。
● マニュアル接客というのは,昔から批判(非難)の的にされていた。たぶん,批判しやすいものなんだと思う。
昔でいうと,スチュワーデス(当時の言葉)がそうだった。目が笑っていないなんぞと,無茶苦茶なことをいうヤツがいた。今だと,マクドナルドがやり玉にあげられることが多いですかねぇ。
● 前に読んだビジネス書に,こんな話が紹介されていたのを記憶している。ある人がマックでハンバーガーを50個注文したら,マニュアルどおりに「こちらでお召しあがりですか,お持ち帰りですか」と訊かれた,という話。
店内でハンバーガー50個を喰うはずがないだろ,お持ち帰りに決まってるだろ,いちいち訊くな,というわけだ。要するに,状況に応じて,対応を変えなければいけない,いつもマニュアルどおりにやっていてはダメだ,と言いたいわけですね。
● この話が本当にあったものか,どこかの馬鹿が頭の中でこしらえたものか,それは知らない。
店員の対応は間違っていない。マニュアルどおりでいい。逆に,こういうときこそ,マニュアルを守れるかどうかが問題になる。万にひとつということがある。その可能性を常識で排除してはいけない。テイクアウトするのであれば,客側が,「いいえ,違います」とひと言答えればいいだけのことだ。
● サービス提供者にマニュアル以上の対応を求めるのは,客側の驕りだ。問題はマニュアルの出来と,接客者がそのマニュアルをクリアできる水準にあるかどうか。総じていえば,マニュアルをクリアできているところは,そんなに多くはない。
以上は余談。
● 曲目は次のとおり。指揮は小笠原吉秀さん。
バレエ音楽『プロメテウスの創造物』序曲
交響曲第2番 ニ長調
ピアノ,ヴァイオリン,チェロと管弦楽のための三重協奏曲 ハ長調
● いずれも,ベートーヴェンの作品の中では,聴く機会の少ない曲。ぼくなんぞは,「プロメテウス」と「三重協奏曲」はCDでも聴いたことがない。
で,当日,電車の中で「プロメテウス」は全曲聴いてみたんだけど,まぁ何というのか,ピンと来なかった。バレエ音楽といったって,この曲で踊るのはけっこう大変なんじゃないだろうか。振付だって難しいんじゃないのかなぁ。そんなこともないのか。
● しかし,生で聴いてみると,また印象が違ってくる。聴いたのは「序曲」ですからね,純粋な管弦楽曲ってことになるし。
2番もベートーヴェンの交響曲の中ではマイナーだとしても,もはや堂々たるベートーヴェンで,圧倒されるしかない。音楽を聴くことの快感っていろいろあると思うんだけど,筆頭にくるのはこの圧倒される快感だものな。
● 「三重協奏曲」はさらに豪華。ピアノが丹千尋さん, ヴァイオリンが三上亮さん, チェロが遠藤真理さんというラインナップ。
演奏中の遠藤さんは,鬼の形相。怖いほどにね。普段は,たぶん,穏やかで温和で可愛らしい人なんだろうけど。
このトリオの演奏を聴けるのは,これが最初で最後だろうし,「三重協奏曲」そのものを生で聴ける機会があるかどうか。
0 件のコメント:
コメントを投稿