栃木県総合文化センター サブホール
● 聴きたいコンサート,チケットを購入済みのコンサートは,手帳にタイトルと開演時刻と会場名を書いておく。書かないで記憶だけでやりくりして,ダブルブッキングを犯してしまうことがしばしばあったので。同じ日の同じ時刻に催行される2つの演奏会のチケットを買ってしまったなんてこともあった。 さすがにちょっと懲りたというかね。ので,今は地道に(?)手帳に書いている。
● ところが,その手帳を見ないで同じ失敗をすることもあってね。それじゃ手帳に書いておく意味がないんだけれども,手帳を開くのが億劫で,記憶に頼ってしまう(どれだけ横着なんだ?)。
でね,このコンサートは16日だと思い込んでいて。どうしてそう思い込んだのかはわからないんだけども,16日だと思い込んでいた。
● 手帳を見て今日だったと気がついたのは11時。正午開演なので1時間前。グワッ,間に合うのか。急いで家を出て,徒歩→電車→バスという交通手段で会場に向かった。
結果的に,どうにか間に合った。開演3分前に会場に到着して,1分前に着座できた。やれやれ。手帳はこまめに開きましょうね。
● このランチタイムコンサートは正午から1時間の小コンサート。途中,休憩はなし。 トリオ・ラ・プラージュは渚智佳(ピアノ),田口美里(ヴァイオリン),近藤千花子(クラリネット)の3人で構成されるトリオ。3人はいずれも栃木県が主催するコンセール・マロニエ21の優勝者で,それが結成のキッカケになった。
● トリオ・ラ・プラージュとしての演奏は過去に3回しか聴いたことがないが,それぞれが栃響の定演でソリストとして招かれていたり,単独で登場した演奏会もある。それらも含めるとけっこうな回数,聴いたような気がする。
田口さんは都響,近藤さんは東響の団員でもあって,都響や東響の演奏まで含めるとさらに増える。
● モーツァルトの「フィガロの結婚」序曲から始まり,次は “世界音楽紀行” と題して日本の「夏の思い出」「ふるさと」を演奏してから,ヴィヴァルディ「四季」から「夏」の第3楽章,ウェーバーのクラリネット協奏曲第1番の第2楽章,ガーシュインの「ラプソディ・イン・ブルー」の一部を演奏した。
このあたりの編曲は渚さんが担当しているらしい。こういうエンタメを意識した演奏ほど名手のそれで聴きたいものだ。
● 次はミヨー「クラリネット,ヴァイオリンとピアノのための組曲」。今回の演奏会で最も聴けて良かったと思ったのがこの曲だったのだけれども,じつはこの曲のCDを持っているにもかかわらず,たぶん聴いたことは一度もなかった。
というか,CDを持っていたこと自体,忘れていたくらいのものだ。今日を機に聴くようになれば,それも収穫のひとつに数えていいだろう。
● 最後はチャイコフスキー「くるみ割り人形」から “マーチ” “金平糖の精の踊り” “トレパーク(ロシアの踊り)” “花のワルツ” の4曲。
アンコールは「栃木県民の歌」というサービスぶり。「栃木県民の歌」は1962年(昭和37年)に制定されたもの。高度経済成長に向かう頃の単純な “前向け,前” 的な歌詞になっている。
「生産は日ごとに伸びて」とか「とこしえに若さあふるる」とか,今となってはちょっと待てよと言いたくなるようなところもあって,もはや賞味期限が過ぎているとぼくは思っているが,そうは言っても唱和する声が客席から聞こえてきた。
● というわけで,1時間のコンサートが終わった。アタフタしてしまったけれども,開演の1時間前によくぞ勘違いに気がついたものだよ。
おかげで優雅きわまる真昼の1時間を得ることができたわけだから。こういうのって,代替が利かないからねぇ。