2021年6月22日火曜日

2021.06.13 鹿沼ジュニアフィルハーモニーオーケストラ 第32回定期演奏会

鹿沼市民文化センター 大ホール

● 鹿沼市民文化センターにやってきた。文化センターの敷地内にある「青春の詩」という像なんですけど。この顔がオッサンにしか見えんのですよ。
 昔の若者は,若にしてすでに壮に近かったんですかなぁ。自分も昔の若者なんで,こんなふうだっんだろうかなぁ。だとすると,損をした気分になるなぁ。

● さて,ここに何をしに来たのかといえば,鹿沼ジュニアフィルの定演があることを知って,聴きに来たのだ。ただし,この情報に不安がある。
 どこで知ったのかといえば文化センターのサイトで,だ。開演時刻は未定となっているが,過去の例からすればおそらく開演は午後2時のはずだ。
 
● 問題は,それ以外に情報が一切出ていないことだ。特に,Twitterを検索しても何も引っかかってこないのが気になる。ジュニアのメンバーは中学生と高校生だ。Twitter仲間に聴きに来てねとつぶやくはずだ。つぶやかないではいられないはずだ。
 しかるに,それが出てこない。みんな鍵アカなんだろうか。過去につぶやいている人はいるんだけども,その人たちも今回は一切発信していない。

● ひょっとすると無観客開催なんだろうか。あるいは,保護者等の関係者のみに限定しているんだろうか。と,疑心暗鬼になってくる。
 コロナ禍でそういうことが頻繁に起こっているからね。ネットに開催情報が一切出ていないというのは,けっこう無気味。
 ま,行ってみればわかる。というわけで,けっこう早めに文化センターに到着した。

● 結果,14時から通常開催ということだった。チラシも文化センターには置かれていた。
 観客のほとんどは生徒の父兄だったようだから(あとは,中学校,高校の友人たち),内向けの発信でいいのだと思うんだけども,同時に鹿沼ジュニアフィルは当事者が思っているよりも大きな存在であるかもしれない。
 開催されるなら聴いておかないと損をした気分になる演奏会がいくつかあって,栃木県内でならその筆頭が鹿沼ジュニアフィルだからだ。ぼくの場合はそうだと言うに過ぎないんだけど。
  要は,外に向けての発信も欲しいかなってことなんですけどね。ネットがあるんだからお金をかける必要は全くない。誰かがネットにチョロっと流してくれるだけでいい。

● 入場無料。曲目は次のとおり。
 スッペ 喜劇「スペードの女王」序曲
 ムソグルスキー 交響詩「禿山の一夜」
 リムスキー=コルサコフ 交響組曲「シェヘラザード」第4楽章
 ドヴォルザーク 交響曲第8番

● 指揮したのは「スペードの女王」のみ植木孝浩さん,それ以外は益子和巳さん。
 以前からジュニアオケを統括していたのが,鹿沼東中オーケストラ部の顧問を務めていた益子さんだったっぽい。その益子さんがどうやら東小学校に異動になり,その後任が若い植木さんらしい。ジュニアオケの場合,指導者問題は付いて回るに違いないと思うのだが,とりあえず,その問題は回避されたと考えていいんだろうか。
  文化センターの「催物案内」を見ると,ジュニアオケの練習がかなり入っている。これに全部付き合うのだとすると(無給だろう),相当な負担になる。児童生徒から金銭的報酬ではない報酬をもらっているのだとしても,生半なことではない。

● スッペといえば「軽騎兵」。「スペードの女王」序曲を生で聴くのは初めてだ。
 ジュニアにしては力強いとか,ジュニアにしては縦の線が揃っているとか,そういう話になるんだろう。「ジュニアにしては」が付きものだ。
 が,このオケに関してはその接頭辞は余計なものだ。「ジュニアにしては」を取り払っても,力強いし縦の線も揃っている。

● 「シェヘラザード」では小学生がドッと登場。高学年の児童だけじゃない。東小学校の児童たちだろうか。合唱部をオーケストラ部に衣替えしたようなのだが。
 今回のプログラムも堂々たるものだが,過去にはマーラーやブルックナーも演奏していることを思えば,今回は控えめだとも言える。こういう事情があったのか。

● コンマスは曲ごとに交代した。「シェヘラザード」では女子。この曲ではその方が聴きやすいですかね。やっぱり感情移入しやすいよね。
 シェヘラザードは女性で,曲中では彼女が命を張って王に対峙している。その凛とした覚悟のほどをコンマスのヴァイオリンソロが奏でて行くわけだから。

● メインのドヴォルザーク8番。いや,立派なものだ。県内演奏界の一角に確かに存在していて,しかもその様は燦然としている。これほどのものがなぜ鹿沼にあるのかは,依然として謎だけれど。
 終演後,鹿沼駅までカラヤン+ウィーン・フィル(ベルリン・フィルじゃなく)のドヴォ8をウォークマンで聴きながら歩いた。が,聴くという体験価値の多寡の違いは歴然としている。
 生に勝るものはないと言ってしまえば,それで終わる話ではあるんだけれども,鹿沼ジュニアの力のこもり方には電車を乗り継いででも聴きに来させるだけのものがある。短く表現すれば,“価値がある” ということになる。称賛されて然るべきと思う。
 今回に関しては木管と金管,特にフルートの響きが印象に残っている。

● アンコールはビゼー「アルルの女」から “ファランドール”。最高潮に盛りあがって終わる。ステージと客席の一体感がいや増す。客席サービスにも抜かりはない。自分たちも盛りあがれるだろう。
 というわけで,絵に描いたような終演で,満足して帰途につけた。

● 唯一,課題を残したとすれば,客席だねぇ。自分の子や孫がステージにいるんだから仕方がないのかもしれないんだけれども,演奏中はスマホは消せという話だなぁ。フラッシュ撮影までしちゃっている婆さんもいて,さすがにちょっと。
 というわけで,もしできたら,自分の親や祖父母に,演奏はちゃんと録画録音しているから,素人がわざわざ撮らなくてもいいんだよ,と言ってくれないだろうか。
 あと,肖像権の話もしてあげた方がいいと思う。君たちの親や祖父母は,このあたりについては脇が甘すぎるはずだから。
 まぁ,言ったところで通じるようなタマでもあるまいけどさ。

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