宇都宮市文化会館 大ホール
曲目は次のとおり。指揮は栃響では久しぶりの末廣誠さん。
ラヴェル 古風なメヌエット
マーラー リュッケルトの詩による5つの歌曲
ブルックナー 交響曲第4番 変ホ短調「ロマンティック」
● 「リッケルトの詩による5つの歌曲」のソリスト(メゾソプラノ)は山下裕賀さん。ぼくからすると,異能の持ち主と言うほかはない。
抜きん出た異能は香気を放つ。こういう言い方しかしかできない。
● 2016年のコンセール・マロニエで優勝したときも聴いているし,21年2月に開催された「林真理子の劇場で愉しむ “オペラ” なるもの」に出演したのも聴いている。
他にも数回,聴く機会があった。演奏家というのは性格が陽性であることが,一番目に求められる資質なのではないかと思っているのだが,彼女の陽性は筋金入りのように見える。もちろん,思い屈することも度々あるのだろうけれども,基本色は陽性。そうでなければやっていけないのだろうとも思う。
● 栃響がブルックナーを取りあげるのは初めてらしい。指揮者末廣さんが,「113回もの定演を重ねているオケは少ないけれども他にもある。が,その間,ブルックナーをやったことがないというのは唯一無二の存在」といった意味のことを話していた。
たしかに。言われてみれば。
● 今回,その唯一性を捨てたわけだが,初めてだからこそなのか,鮮烈なブルックナーが出現することになった。特に第4楽章の初め,マグマ大使がゴアゴンゴンの征伐に向かったときのような(わかる人はあまりいないと思うが),高揚と緊張がマックスになる場面があるのだが,そこではプロの演奏を聴いているような錯覚に陥った。
やるなぁ,中高年,と思ったのだけども,いやいや,これはどういう機序によるものか。指揮者の末廣さんの功績に帰するのだろうか。
宇都宮市文化会館 |
それでも,ブルックナーのこの曲は起伏が多く,綾も細かいので,風景が小気味よく変化する,といった程度のことは感じていた。が,こういう演奏を生で聴けると,それ以外に質量の重さ・大きさといったものもズシンと伝わってくる。ブルックナーはただ者ではないことがわかる。
● アンコールはなし。当然かと思う。
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