宇都宮市文化会館大ホール
● 23日の天皇誕生日には,宇高・宇女高合同演奏会の「第九」を聴きに行った。高校生の演奏は8月の鹿沼高校管弦楽団に次いで二度目。13時半から宇都宮市文化会館大ホール。
主催は学校ではなくて,両校音楽部のOB会・OG会。
● 両校とも栃木県を代表する名門。どんな演奏を見せてくれるんだろうか。
加えて,第九である。第九じたいが持つ力は20日に味わった。同じ力に再び包まれる快感を想像して出かけた。唯一の不安は第4楽章しか演奏しないわけじゃあるまいなってこと。
● ところが,結果においてその不安が的中した(→今思えばそれが当然。なぜ第九をそっくり演奏するものと思いこんでしまったのか)。
3部構成になっていて,第1部は両校合唱部の演奏。どちらも途中から部活動を引退している3年生と卒業生が加わった。宇女高が先。乙女たちの聖なる調べということなのだが,合唱部の部員が数名しかいないのは以外だった。最後に校歌まで歌ってくれた。
宇高の合唱部は数が揃っていた。こちらは「箱根八里」や「斎太郎節」(宮城県の民謡ですね。マツッシマァアノォってやつ)などを歌った。
第2部は両校の管弦楽の合同演奏。ビゼーのカルメン組曲から,アラゴネイズなど3つ。
そして第3部が合唱+管弦楽。が,いきなり第九ではなくて,まずヘンデル「メサイア」からハレルヤを。次がやっと第九になる。ただし,第4楽章のみ。
● ぼくも高校生のとき,ハレルヤにかり出されたことがあった。某高校と合同で合唱した。ぼくは積極的な理由があって音楽を選択したわけではない。美術にはまったく自信がなかったし,書道も何だかなぁというわけで音楽を選んだデモシカ音楽選択生に過ぎなかった。それゆえ,義務感だけでやっていたので,今ではほとんど記憶から脱落している。そのあやふやな記憶を辿って書くのだけれども,音楽の時間以外に練習をやったという記憶はない。お相手との合同練習も1回だけだったような気がする。
というようなことを思いだしながら,両校のハレルヤを聴いていたのだが,聴いている分にはすぐに終わってしまうねぇ。
ぼくらは,当時,これだけしかやらなかったわけだが,主催者としてはもっとやらせたかったろうねぇ。こちら側の負担を慮ってくれて,最小限の要求にしてくれてたんだなぁと,今にしてわかる。
● さて,おめあての第九。ソリストは,先生つながりで選んでいる。テノールは菊川祐一さん。宇都宮北高校の先生。バリトンは氏家中の校長さん。合唱団は両校の合唱部と音楽選択の2年生。指揮は宇高の音楽担当教諭の藍原先生(国立音大の出身らしい)。
男声が幼い。致し方のないことだ。まだ骨格も完全にはできあがっていない男子高校生が歌っているのだから。その点,女声に幼さはない。発育の男女差がクッキリと現れる。
オーケストラは宇女高の方が駒が多い。両校のオーケストラをガッチャンコしてパート別に配列するわけだから,自分の隣にいるのが女の子だったりするわけだ。嬉しいだろうねぇ,宇高生諸君。
● 特徴的だったのは,相当にゆっくりした演奏だったこと。なぜなのか理由がわからない。何らかの教育的配慮だろうか(テンポを落とした方が,音を合わせやすいから?)。
もっとも,その昔は今よりずっとゆっくりした演奏だったと聞いた記憶もあるんだけど。カラヤンが速くしてしまった,みたいな。
両校のオーケストラは相当な実力を秘めているのに,その実力を引きだせていないように思えた。じれったさのようなものを感じましたね。
このオーケストラで第九の全体を聴きたいとの思いも残った。
● しかし。藍原先生の説明によると,新型インフルエンザのために,例年のような練習ができなかったそうだ。例年だと,合唱団とオーケストラの合同練習を5~6回はするのだけれども,今年は一緒に演奏するのは,この本番が初めてなのだという。
生徒の集中力に脱帽するとおっしゃっていたが,まことに高校生畏るべし。オーケストラの実力を引きだせていないと感じたのも,練習時間がなかったせいか。
今回の演奏会であらためてわかったことがある。結局のところ,自分は管弦楽を聴きたいのだなってこと。合唱ではなく管弦楽を聴きたいんだ。
● 開場前に長い列ができていた(それでも当日券があったけれど)。大ホールがほぼ埋まった。客席の多くは生徒の父兄なんでしょうね。演奏中にデジカメやケータイカメラで撮影してたり,終演近くなると,壁際に立って写真を撮る人まで出る始末。
演奏会の性格からして,そういうものじゃないかと言われれば,それまでのことではあるけれど。
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