宇都宮市文化会館大ホール
● 栃響の第90回定期演奏会。設立40周年でもあるらしく,プログラムには何人かが手記(思い出話)を寄せていた。開演までに時間があったので(例によって,余裕を見過ぎたため)ホールの席で読んでみた。
指揮者の荻町さんが指揮者の苦労を書いている。しみじみと納得できた。彼は県立高校の音楽教師でもあるのだが,自宅のCD棚がお店か図書館のようになってきたとも書いている。激しく勉強もしているのだろう。
栃響発足時のエピソードなどもいくつか紹介されていて,それぞれ興味深い。発足当時のメンバーが何人かまだ現役でいるようだ。
● 指揮者は井崎正浩さん。何度も栃響を指揮している人で,団員も馴染んでいるようだ。曲目は,次の3曲。
スメタナ 高い城(ビシェフラド)「わが祖国」より
チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲
バルトーク オーケストラのための協奏曲
● ソリスト(ヴァイオリン)は奥村愛さん。美形の奏者。実力が同じならば,美形にしくはない。彼女のヴァイオリンが聴けるからという理由でこの演奏会に来ている人もいるかもしれない。しかも,チャイコフスキーだ。「のだめ」で何度も登場している曲だし,そうでなくても広く膾炙している曲だろう。それを奥村さんの演奏で聴けるとあれば,1,200円は安い,と。
ぼくもまた名花を充分に愛でることができて満足した。言うも愚かながら,奥村さん,実力もすごい。第1楽章が終わった時点でブラボーの声が飛んだ。もちろん拍手も。でも,協奏曲はバックの管弦楽で決まるのかもしれませんね。チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は特にそうなんじゃないか。
● 40周年記念の演奏会であることは客席もわかっていて,一緒に盛りあげようという機運があったのだろうか,相当に盛りあがった演奏会になった。アンコールも2曲。満足して帰途につくことができた。
ぼくにとっていいライブというのは,他のお客さんの存在が消えることだ。ステージを見ているのは自分ひとりだと感じる時間がある。自分ひとりがステージに対している。今回もそう感じる数分間があった。もっとも,そのためには座席を選ぶことが必要なんですけどね。ぼくが座ったのは2階の右翼席の前から数列目の一番中央よりの席。
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