益子町民会館
● 益子町民会館で「花王ファミリーコンサートin栃木」というのがあった。クラリネットの赤坂達三さんとピアノの三舩優子さんのデュオで,クラシックやら映画音楽やらジャズを演奏する。
こういう田舎のコンサートっていうのは,コンサート慣れしていない人が多い。その分,とりすましたところがないというか,批評家然とした人が少ない。初老の夫婦や50過ぎのおばさんたちのグループが,初めて遠足に出かける子供のような,素朴なワクワクドキドキを現している。
● 最初に花王の取締役執行役員の挨拶があった。ことしで5回目になるらしい。計画から準備,運営まで花王の社員が行っているんだそうだ。チケットは千円なんだけど,そのチケット収入の全額を益子町と市貝町(花王栃木工場の所在地です)の文化教育事業に寄付するというから,運営費はすべて花王が負担しているわけだ。
● 出演者の赤坂さんと三舩さんは,けっこう前からコンビを組んで演奏活動をやっているらしい。冒頭にひとつだけ文句をいうとすれば,チラシやプログラムに載っている写真がだいぶ昔のものだったこと。たいていそうなんだけどね。
三舩さんなんか,写真ではほっそりしたイメージの美女なんだけど,まぁ,実物も美人でありました(中学生か高校生の娘がいるらしい)。
● 演奏の合間に彼らのトークがあって,これがけっこう楽しめた。トークに関しては素人だから,流れるようなってわけにはいかないんだけど,たとえば,三舩さんが赤坂さんのクラリネットを「遠くから聞こえてくるようなあるいは遠くに消えていくような」と評するのを聞くと,この表現を知っただけでも来た甲斐があったと思った。
● 赤坂さんはパリに長く住んでいた。三舩さんは小さい頃はアメリカにいた帰国子女で,留学先もアメリカだった。
三舩さんの解説によれば,クラリネットはフランス生まれの楽器。普通はオーケストラのパートのひとつとして聴くくらいなのだけれども,フランスではわりとソロ演奏が成立しているらしい。知識がひとつ増えた。
ガーシュウィンがユダヤ系ロシア人であることも知った。彼の「ラプソディ・イン・ブルー」がジャズの影響を受けていることはぼくにもわかるのだが,作曲したガーシュウィンはとりあえずアフリカとは縁もゆかりもない人だったんですな。
● 会場はほぼ満席状態。左右の端の方は空席があったが,ギッシリ埋まった。
ぼくの右隣には小学生の男の子を連れた母親が座ったのだが,その男の子がイヤイヤ連れてこられたことを態度に出してくれた。演奏中に居眠りのポーズを入れたり,母親に文句を言ったり。隣でこれをやられるとけっこう堪えるのだった。これがひとつだけ残念だったことだ。
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