2011年8月31日水曜日

2011.08.13 第5回宇女高OGオーケストラ演奏会

栃木県総合文化センター メインホール

● 8月13日は総合文化センターで宇女高OGオーケストラの演奏会があった。もともとは3月に予定されていた。震災でいったんは中止になったものの,復活してこの時期の開催にこぎつけたというわけだ。モーツァルトのクラリネット協奏曲が演奏されるというので,予めチケットを買っていた。

● 今年が5回目の演奏会になるのだが,開催は不定期らしい。全体練習もあまりできないというのを関係者のブログで読んだことがある。
 栃響のメンバーが何人か賛助に入っていた。男性奏者も3人。

● 曲目のひとつめは宇女高校歌。現役の合唱部の有志が参加。指揮は宇女高で教鞭をとったこともある荻野久一さん。
 次は,宇女高創立130周年記念賛歌「礎」ってやつ。平成17年が130周年だったらしい。指揮は沼尾守夫さん。

● ここからが本番で,まずはモーツァルトのクラリネット協奏曲。
 指揮者はもうひとり大井剛史さんも登場するはずで,ここから彼が指揮するのかと思ったのだが,そうではなかった。ここまで沼尾さんが指揮棒を取った。

● モーツァルトのクラリネット協奏曲の主役は管弦楽であって,クラリネットではない(と,ぼくは思っている)。
 とはいうものの。ソリストはOGの岡静代さん。OGの中から比較的巧い人を持ってきたんだろうと思っていたら,これがとんでもなかった。彼女はドイツ在住で,世界中を飛び回っているプロの演奏家。
 宇女高の誇りっていうのはたくさんあるに違いない。彼女の存在もまたそのひとつだろう。彼女が今の彼女になるにあたって,宇女高が果たした役割は限りなくゼロに近いだろうけどね。

● 岡さんのクラリネットはもう,ぼくがどうこういうレベルではない。アンコールでバッハのパルティータ第3番を演奏したんだけど,これは曲芸を見ているようだった。
 数分間,ずっと吹き続ける。息継ぎの間もない。鼻から吸うのと口から吐くのを同時にやる。循環呼吸というんだそうだ。アクロバティックな演奏だ。

● 7月に聞いたニューフィル千葉は素晴らしかったな,それと今回とを比べてはいけないよな,なんぞと思いながら演奏が始まるのを待った。
 けれど,そう思うことじたいが不遜だった。個々の演奏が作品なのだ。その作品を味わえばよいのでしたね。そのように思い直すことができたのは,岡さんの技量の然らしめるところ。
 今回はこちらの体調も万全で,ステージに集中することができたし,ちゃんと堪能することができた。

● メインはブラームスの交響曲第1番。これは大井さんが指揮。演奏の出来を決めるのはオーケストラの力量であって,指揮者なんて誰でも同じじゃないかと以前は思っていた。
 のだが。彼が指揮する宇女高OGオーケストラは先ほどまでのオケとは違っていた。
 また,指揮者の指揮ぶりもパフォーマンスのひとつであって,ステージをまとめるという役割のほかに,それ自身が重要な奏者なのだということがわかる。

● ブラームスの1番はすでに何度か聴いているが,今回の演奏も立派なもの。最初から最後までステージに集中できた。集中させるだけのレベルを保った演奏だった。
 チケットは千円。千円でこれだけの演奏を聴かせてもらえるとは,まずは文句のないところ。

● 大学オケのOB・OGによる演奏活動の例はいくつか知っているけれど,高校のそれは宇女高以外に知らない。吹奏楽ではなく管弦楽を擁している高校は,栃木県ではそんなに多くないしね。
 母数が少ない以上,OB・OGの活動も少なくて当然ではあるんだけど,宇女高は他校よりも求心力が強いのかもしれないねぇ。おそらく,彼女たちは充実した高校生活を送れた人たちなのだろうなぁ。

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