2011年11月30日水曜日

2011.11.26 グローリア アンサンブル&クワイアー第19回演奏会

栃木県総合文化センター メインホール

● 26日(土)は総合文化センターでベートーヴェンの「荘厳ミサ曲」を聴いた。「グローリア アンサンブル&クワイアー」なる団体が催行している。19回目の演奏会とあるから,毎年この時期にミサ曲や「レクイエム」などを演奏しているのだろうが,今まで気がつきませんでした。
 ともあれ,今回初めて出かけてみた。合唱付きの演奏会は「第九」を除けば初めて。チケットは2千円だった。

● 指揮は片岡真理さん。荘厳ミサ曲の前に,バッハの「前奏曲ロ短調(平均律クラヴィア曲集第1巻より)」とシベリウスの「アンダンテ・フェスティーヴォ」が演奏されたんだけれど,こちらの指揮は粂川吉見さん。
 合唱のソリストは,小林晴美(ソプラノ),栗林朋子(アルト),小林彰英(テノール),押川浩士(バス)。いずれもプロの人たち。
 管弦楽は実質的には栃響選抜。

● 片岡さんは国立音大の声楽科の出身で,県内のいくつかの合唱団を指導している。「グローリア アンサンブル&クワイアー」も創設時から手塩にかけているらしい。
 そうした思い入れのゆえだと思うのだが,プログラムに載せている挨拶にこう書いている。
 「練習は困難を極め,このような心境にも至りました。“痛みを伴いながら,音符がはがされていく。その痛みが音楽を奏でるのだ”」「この曲を演奏することにより,確実に栃木県の音楽水準の高さを内外に示すことが出来ることを誇りに思い・・・・・・」
 団員代表の小田八千子さんが最後に謝辞を述べていて,これが落ち着いた日本語なので救われた感じがしたが。

● 「Members' words」と題してプログラムに団員の声を載せている。これがけっこう面白い。「ベトの超怪作。まさか文化の谷底,関東の極北で歌えるとは! 来年は救世主再来でしゅ」と書いている人がいた。
 指揮者が「栃木県の音楽水準の高さを内外に示すことが出来ることを誇りに思」っているというのに,団員が「文化の谷底」などと本当のことを書いていいのか。

● まぁね,はるかな昔から,「文化不毛の地」が栃木県の代名詞になっている。他県の人が栃木を指してそう言うのではなく,自分たちが自虐的に言い続けてきたんだと思うんだけどね。
 京都や金沢のような絢爛たる過去を持たないことに,劣等感を感じているのかもしれない。(文化的には)未開の地に住む民だ,と。
 空っ風に代表される栃木の風土や,栃木の言葉(オーッ,オメヨー,ソーダッペー。チガーノゲ?)が,文化なるものとはいかにも相性が悪いと思っているのかもね。
 さらには,他県の人に自信をもって提示できる郷土料理がないことも,ボディーブローのように効いているかなぁ。シモツカレじゃしょうがないもんな。関西や北陸,東北と比べて,栃木の食の水準が低かったことは紛れもない。内陸で海産物と無縁だったからね,食材で負けてたよなぁ。

 個人的には,過去や伝統や歴史なんてのはどうでもいいと思ってますけどね(そう思う以外に選択肢がないじゃないか)。
 はやい話が,現在に限定していえば,東京以外の地方すべてが「文化不毛の地」ではないか。文化生産?においても,東京一極集中はくっきりしてて(ただし,それを担っているのは地方から東京に出てきた人たち),それはメカニカルにそうならざるを得ないものでしょ。

● さて,コンサートの中身の話。きちんと練習しているのは見てとれた。ぼくなんぞはいくら練習してもこのレベルにはとてもなれないので,すごいものだなぁと思うしかない。これだけの大曲を素人が表現するわけだから,ひと通りさらうだけでも容易じゃないだろう。
 これだけの集団になれば,ばらつきは当然ある。ひょっとして団員が膨らみすぎているのかも。
 来年はヘンデルの「メサイア」をやるそうだ。

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