● 開演は午後3時。「とちぎ未来づくり財団」が無料で催行するもの。入場料を取ってメインホールでやっても成立するんだろうけど,今回は整理券方式でサブホール。
● 「あの名曲たちがうまれるまで」という副題が付いている。作曲の秘訣とかを聞けるのかなと思っちゃったりして。
が,秘訣などというものがあるのかどうか。あったとしても,クリエイターがそれを意識化,定式化できるものかどうか。
● Everything,この夜を止めてよ,Someone's calling,月の庭,永遠,琥珀色の記憶,グラスホッパー物語,幸せをフォーエバー,passion cacche,ベルベットノワール,消えた約束,を演奏。アンコールは,「明日へ」。
途中,トークコーナーや質問コーナーをはさんで,2時間半のコンサート。ミニじゃなくて,存分に堪能できる本格的なコンサートだった。
● ステージに登場した松本さんの印象は,何ていうか,規則正しい生活をしている人だな,っていうもの。朝まで飲み明かすとか,遊び呆けるとか,そういう放縦さとは無縁な人のような感じ。
この業界でも無頼派は影を潜めているのかもしれない。
● ていねいに慈しむようにして,ピアノを弾く。クラシックより訴えてくるものがあるとも感じた。
っていうか,曲からイメージや映像を浮かべやすいんですね。タイトルもその手助けをしてくれる。ポップス的というか(ってか,ポップスなんだろうけど)。
● アーティストが輝くように,それを第一に考えて曲を作っている。自身のアルバム「ピアノイア」について,ピアノに歌わせるつもりで作った,とも語った。
実際,そうなのだろうなぁと思わせる弾き方なんですねぇ。
● 質問コーナーでは多くを語ってくれた。次のようなこと。
・旅先ではなく,帰ってから思いだしているときに曲想がわく。
・サビだけ,尻尾だけという部分を作って,最後にコラージュ的に組み合わせるというやり方はしない。全部つくる。途中でいきづまったら捨てる。
・他人の曲を聴くと影響されるからと聴かない人もいるけれども,自分はいろんなものを聴くことにしている。それが自分の中で溜まって混ざって,自分のものとして出てくればいい。
・スポーツでも演奏でも,練習しないと腕が鈍る。作曲も同じで,しばらく離れてしまうと感覚がおかしくなる。だから,依頼がなくても作ることもある。
・一番大事なことはやはり努力ではないだろうか。努力といっても,好きなことなら苦労ではない。特に,秘訣っぽいものはないですよね。普通っちゃ普通のこと。普通をきっちりできることを非凡というのかもしれないね。
● 驚いたのは,お題いただきますコーナー。客席から出されたお題に即した曲を即興で作るというもの。で,その題が「小学3年 女子」。
ソッコー弾き始めた彼のピアノの中で,たしかに小学3年生の女の子が飛び跳ねているんだよねぇ。男の子ではなくて,女の子がね。
彼にとっては造作もないことのように見えたんだけど,ぼくらから見たら驚天動地。彼の中にはいろんな音のパーツがぎっしり詰まっていて,イメージに合ったものがポンポンでてくるんでしょうかねぇ。
あと,たぶん,曲を作るときの型のようなものがあるんでしょうね。型にはめる感じでパーツを取りだしてくる,っていう。バッハ的というかなぁ。
● 前半と後半で衣装を替え,アンコールはまた別の衣装で登場した。サービス業に身を置いている人なんだなぁと思った。
サービス精神がハンパない。律儀だし,手を抜かない。むしろ,過剰にやる。
● 女性性を豊富にたたえている。両性具有的な。感情の表出をためらわないし,感激屋でもあるようだ。ひょっとすると,泣き虫かもしれない。アンコールの「明日へ」を弾いているときには,泣いているようにも見えた。被災地への感情移入のゆえだろうか。
曲を作るうえでの秘訣を求めるとすれば,どうやらこのあたりではあるまいか。
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