2018年5月21日月曜日

2018.05.12 埼玉大学管弦楽団 第93回定期演奏会

埼玉会館 大ホール

● 埼玉大学管弦楽団の定演を初めて拝聴。
 じつは埼玉大学は相方の母校なんですよ。宇都宮の実家から新幹線通学をしたらしい。本人の話によれば,授業をさぼって新宿に繰りだして遊んでたってことなんですが。彼女は嘘をつくような人じゃないので,実際にそのとおりだったんだろうと思ってるんですけどね。
 さらに申せば,彼女,小さい頃にピアノを習っていて,高校ではクラリネットを吹いていたというんだけど,現在は音楽とは無縁な生活をしている。ピアノやクラリネットに恨みでもあるんだろうか。

● 開演は午後2時。チケットは500円。もちろん,当日券を購入。
 ちょっと,宇都宮でのんびりしすぎてしまった。着席したのは開演2分前。もちろん,はなはだよろしからず。間に合えばいいというものではない。

● 曲目は次のとおり。
 ヴェルディ 歌劇「ナブッコ」序曲
 シベリウス カレリア組曲
 シューマン 交響曲第1番 変ロ長調「春」
 しごく真っ当なプログラムなのだが,最近は重量級のプログラムが当たり前になっている。これを軽いと感じてしまう。困ったものだ。

● カレリア組曲は5日に学芸大学管弦楽団の演奏で聴いたばかり。どの演奏で聴いてもいいものはいい。
 元々は劇音楽として作曲されたものらしい。それをあとから取捨選択して3曲からなる組曲とした。それをしたのはシベリウス自身だとしても,そこに編集という過程が入ったわけだ。
 それぞれの曲に相互に関連があるとは思われないけれども,それゆえに編集の妙を発揮しやすいというか,発揮された結果をぼくらは楽しむことができる。

● シューマンの「春」は熱演。シューマンの曲はどことなく落ち着きがない。どこに行ってしまうのかわからない。しっかり手綱を握っていなければいけないけれど,握りすぎても興ざめる。
 この曲を指揮するのはなかなか難しい作業になるだろうと想像するが,奏者にとっても同様だろう。どう演奏すればいいのか決めかねるところが,多々あるのではなかろうか。演奏という具体に翻訳するのが難しい作品であるだろう。
 ぼくらはできあがったものを聴いて,ああでもないこうでもないと勝手なことを言う。しかし,シューマンに関しては決定版というものは想定しにくいように思う。

● ステージはかなり暑かったようだ。奏者は汗だくになってた(だから熱演だったというわけではない)。男子はジャケットを着用している。たまらなかったろうな。
 アンコールの「雷鳴と雷光」「田園ポルカ」も佳品。

● この楽団は他大学からの参加を拒んでいない。インカレ的な団体のようだ。実際,他大学から参加している人もいるようだ。
 それができるのは首都圏という地の利があるからだけれども,団員が思うように集まらないという苦しい事情もあるようだ。どこの大学オケでも同じだろうが,初心者で入団してくる場合もあるらしい。

● それでもこういう演奏ができるようになるのだから,若い人の可塑性は素晴らしいと言いたくなるのだが,どうもそれだけではない。
 大学オケという場の持つ力も大いにあるのだろう。トレーナー陣も充実している。これだけの陣容を整えることができる市民オケはおそらく存在しない。大学なればこそ。

● “裏プログラム”というのは初めて見た。学生サンの遊び心がつまっているが,可能ならば表と合体させた方が良くなると思った。遊び心はそれだけの集合体にするよりも,建前とか真面目の間に散らした方がかえって光るものだろうから。
 コストの関係で難しいのかもしれないが。っていうか,これだけ遊んじゃってると,散らかす余地もないかな。

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