● 鹿沼ジュニアフィルの定演。定演は3回目の拝聴になる。開演は午後6時。入場無料。
● 毎回,かなり難易度の高い曲に挑んでいるようなのだが,今回はムソグルスキー(ラヴェル編)の「展覧会の絵」とフンパーディンクの歌劇「ヘンゼルとグレーテル」抜粋版。
指揮は今回も益子和巳さん。
● 「展覧会の絵」のような難しい曲をどうしてジュニアがチョイスするのかというのはさておいて,冒頭の金管がやや苦戦しているっぽかった。ジュニアなんだからそれがあって当然だ。
途中でバットを止めないで振り切ってしまえばいい,と気楽な観戦者は思う。小事故にとどめようとしないで,中や大になってもいいから,振り切ってしまえ。
ワンステージで失敗なんか何度したってかまわない。縮こまるな。堂々と間違えろ。未熟を恥じるな。“今”はあくまで途中経過にすぎないのだ。
● とはいっても,演奏する方とすればオッカナビックリを免れないだろう。本番で震えるというのもなくはないだろう。
そうであっても,本番をムシャムシャと喰ってしまえるくらいのメンタルタフネスがあると,これからの人生を生きていくうえで大きな武器になる,とぼくは思う。
それは,たとえば勉強ができるとか,成績がいいとか,生まれつきルックスに恵まれているとか,そういうことよりもはるかに効用の大きなものだ。
特に,男子奏者にこのことを訴えたい。少しくらいのミスでびびるな。ポーカーフェイスを維持しろ。
● 弦のうねりは素晴らしい。ヴァイオリン,ヴィオラ,チェロ,コントラバスのいずれも。恐れ入ってござるというレベルにある。
豊富な練習量があってのものだろう。「展覧会の絵」全曲を通じて,不安を感じさせることは一度もなかった。
鹿沼市民文化センター |
グリム童話の元になった話もたぶん存在するのだろう。身も蓋もないような話なのであろうと思うのだけどね。
● その分,歌い手も含めた演奏やセットがものをいう領分が大きくなるかもしれない。今回はジュニアオケが主役なのだから,オケをあまり喰わないように配慮したのだろう。
当然,いわゆるコンサート形式だし,全曲ではなくハイライト版になった。歌い手陣は荻野桃子,大西千恵子,坂寄和臣,菊川敦子,岩瀬進の5氏。
● コミカルな楽しい舞台だったのだが(岩瀬さんの貢献が大きい),管弦楽としてはコミカルだの楽しいだのとは言っていられないはずだ。
自分たちが楽しんでいなければお客さんも楽しめない,というのは,ざっくり言ってしまえば嘘だ。そんな予定調和は存在しない。演奏する側が苦しんでいるから観客は楽しめるのだ。
で,ステージ上で演奏するジュニアはだいぶ苦しんでいるように見受けられた。
● 当然ながらアンコールはなし。終演は20時。夜の鹿沼の街を見るのはひょっとしたら初めてかもしれない。といって,夜の鹿沼の街で新たな発見があったわけでもない。
ともあれ,夜の鹿沼の街をJR駅まで歩いて,ちょうどやって来た日光線に乗り込んだのだった。
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