2020年5月6日水曜日

2020.05.05 間奏64:生演奏を聴けない期間を何で埋めるか

● 生演奏を聴く機会は当分訪れないだろう。その間を何で埋めるか。
 功成り名を遂げた大家の演奏をCDで聴けばいいとなる。とりあえずはそういうことだ。

● が,かつてはなかったけれども今は身近になったインフラがある。インターネットだ。ぼくはあまり詳しくないのだが,ベルリン・フィルは以前からネットを使った映像配信サービスに熱心だったと聞く(→「デジタル・コンサートホール」)
 こうしたインターネットを使った配信で最も気になるのは音質だろうが,ベルリン・フィルのこのサービスは「音質はCD並み。映像もハイビジョンの高品位」であるらしい。料金は年額18,500円だが,現在は(期間限定で)このサービスが無料開放されている。

● 国内の楽団もストリーミング配信を試みるところが増えている。コンサートホールに観客を入れての演奏はできなくなった。そうしたコロナ禍にあって,できることをしようということでもあろうし,聴衆へのサービス精神の発露でもあるだろう。
 演奏家が演奏する機会を与えられない。自らのレーゾンデートルを自らが問わなくてはいけない事態だ。それを確保するための手段でもあろうことは当然だ。

● こういう未曾有の事態に見舞われてみると,演奏家がこうむるシリアスさとは比べものにならないものの,聴き手も観客にはなれないわけで,その間をどうやって埋めればいいかと考えだす。
 で,ネット空間をウロウロして,こんなのもあったのか,あれ,こういうのもあるぞと,遅ればせながらの発見をいくつかすることになるというわけなのだった。

● ネットは多くの選択肢をもたらしてくれる。とりわけ,将来,大家になるであろう(ならないかもしれないが)若い人の演奏も視聴できる。これは大きい。たとえば,これだ。
 こういうものを聴くと,今どきの若者は大したものだと思う。闊達で屈託がない。楽しそうだ。苦行にしていない。ショーマンシップにも欠けるところがない。
 屈託を抱えて内向きになることもあるはずだし,見えないところで楽しくない練習をしているに違いないのだが,その素振りを見せない。
 何より,これを見ていると元気になれる(気がする)。

● 昔の若者は内向癖,深刻癖,反抗癖があったように記憶する。戦前の旧制高校の生徒ほどではなかったかもしれないけれども,難しいとされる本を読んで悦に入ってるやつもいた。
 内向して青春を悩み,将来を深刻に考え,政府や国家は権力であり,親や教師は反動的なるものであり,反抗する対象でしかなかった。

● 言っちゃなんだが,内向したり深刻がったり反抗するのは安易で簡単なのだ。頭を使わなくてもできるんだよ。早い話が,バカでもできるものなのだ。
 20歳のときの自分と只今現在の20歳の若者を比較すれば,今の20歳の方が人格的に練れている。たぶん,多くのものを見,聞き,体験している。しかも,素直で吸収力が高い。

● 話が広がりすぎた。元に戻そう。
 こうしたものをスマホで視聴するなら,スマホをXPERIAに替えた方がいいんだろうかな。ストリーミング配信をいい音で聴きたいとなると,圧縮音源もハイレゾ相当に復元して再生してくれる端末の方がいいやね。
 あるいは,ダウンロードしてWALKMANに転送するか。そこまでこだわることもないかねぇ。という些末かもしれない問題を考えだしちゃったりする。

● 「クラシカ・ジャパン」もそういうものがあるってことは知っていた。「日本で唯一のクラシック音楽専門チャンネル」という謳い文句も。
 が,基盤がスカパーだ。CSなんてのはそれそのものが近い将来に消えてなくなると思っているので,気に留めることもなかった。料金が月額3,300円とあっては,とても元が取れるとは思えなかったし。

● 今回知ったんだけど,CSやケーブルTVの他に,ストリーム配信にも対応してたんだね。一部は無料で見られるようにもなっている。2017年の12月からだから,けっこう前からじゃないですか。
 といって,そのサービスを利用するかというと,なかなかそうはならない。

● CDに代表されるオールドメディアがまだまだ幅を効かせているからで,積ん読ならぬ積んCDや積んDVDを大量に抱えている音楽ファンが多いのではないかと推測する。
 ネットもいいけれども,その前に積んCDを聴かなきゃ,積んDVDを見みとかなきゃ,と考える人もいるだろう。正直,音質だけでいえば,CDをハイレゾ再生するコンポで聴く方が快適だろうし。

● ちなみに,クラシック音楽をCDで聴くときには,すべてカラヤンでいいんじゃないかと思っているほどに,ぼくは大雑把な人間だ。が,唯一,カルロス・クライバーはカラヤンに優先する。
 畏れ多いことながら,ベートーヴェンでも6番にはちょっと気だるさを感じることもある。のだけど,カルロス・クライバーで聴くと,印象が違ってくる。何ていうんだろ,気分が浮き立つような。

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